Hello Goodbye ⑦ － タイムカプセル 中学生編 －

新人戦が始まった。

3日間ですべての部活が地区予選を終わらせるから、

学校からも先生がいなくなって、文化部の生徒は3時間授業。

俺のバスケ部も近くの体育館で朝から試合だ。

3年の先輩にとっては最後の試合。

俺も精一杯頑張ったよ。

おかげでバスケ部は都大会進出！

やりぃ～！

バスケ部は2日で試合が終わったから、久しぶりに学校に行ったら、

運動部の生徒がいなかったから、席がすっかすか。

うわさではサッカー部も今日勝てば都大会出場だって。

後、ショウちゃんに取材が来たとか、

ジュン君が他の学校の女の子から告白されたとか、

相変わらず、あの二人のうわさで持ちきりだった。

給食を食べ終わると、俺はサトシのクラスに顔を出した。

サトシはすぐ気づいて、ニッコリしながら、俺の方にやってきた。

「今日、部活は？」

「ないよ。顧問が新人戦にかりだされちゃった。」　

サトシがペロッと舌を出す。

「じゃあさ……。」

久しぶりに映画でも見に行こうよ、と言いかけて、サトシに先に言われてしまった。

「ジュン君とショウ君の応援に行かない？土手の脇のグラウンドで試合なんだって。」

サトシはニッコリ笑ってる。

え～？せっかく休みなのに～？

と思ったけど、反対もできなくて、俺はニッコリ笑ってうなずいていた。

ま、いっか。サトシと二人だし♪



俺らは昇降口で待ち合わせして、そのままグラウンドに向った。

そのまま行かないと、試合に間に合いそうもなかったし、

一度帰るのはちょっとめんどくさかったから。

「マー君。」

サトシが小走りで駆けて来る。

「サトシ！」

俺も手をあげて答える。

「マー君♪」

サトシの後ろからカズがひょっこり顔を出した。

いつも、マー君なんて呼ばないくせに！

「カズに会ったから、誘っちゃった。」

サトシはニコニコ笑って俺の腕を引いた。

サトシはみんな一緒が嬉しいんだね。

仕方ないなぁ。俺は二人でもよかったんだよ？

「サトシと二人になんて、そう簡単にはさせませんよ。」

カズがおかしそうにニヤリと笑った。

ま、いいよ。それでも。

カズだっていろいろ大変で、サトシのこと大好きなんだもんね。

「しょうがないなぁ。さびしん坊！」

俺がカズの頭をグシャグシャにしてニヤっと笑うと、

ムッとして追いかけてきた。

「うわぁっ！サトシ行こ！」

俺はサトシの腕を引いて走り出した。



グラウンドに着くと、試合はもう始まってて、

フェンスの周りは結構な人でびっくりした。

俺、サッカーのルール、詳しくはわかんないけど、まだ前半戦の真ん中くらい？

1－0で勝ってるらしい。

ジュン君が髪をなびかせてボールを蹴るたび、黄色い歓声があがってた。

ショウちゃんは何か叫びながら、両手を広げてゴールを守ってる。

すごい！あんなボールも取れるの？

ショウちゃんが試合してるとこ、初めて見た。

やっぱりジュン君もショウちゃんもカッコいいんだなぁ。

そっと隣のサトシを見てみると、サトシも目を輝かせて二人を見てる。

あのカズでさえ、釘付け。

あ～、俺の試合も見て欲しかったなぁ。

俺なんて10点は入れてるんだけどなぁ。

ひゃっひゃっひゃ。

サッカーの点数と比べちゃダメだよね？

前半はあっと言う間に終わって、1－0のまま。

ベンチに戻って来たジュン君とショウちゃんに、サトシが叫んだ。

「ジュン君！ショウ君！ちゃんと見てるからね～！」

興奮気味のサトシが二人に向って手を振ってる。

俺も一緒に手を振った。

「俺、勝ったよ～！二人とも負けちゃったら、俺がかっこよくなっちゃうよ～！」

二人が俺らのことをじっと見てたから、俺はわざとサトシの肩に手を回した。

二人の顔が変わったのが、遠くてもわかった。

俺の手はすぐにカズに振り払われたけど、後半も二人の大活躍で、

3－0で試合が終わった。

二人がグラウンドから出てくると、俺らは急いで二人に駆け寄っていった。

でも、50ｍ、7秒を切る俺より早く、女の子達が二人を取り囲んだ。