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白が舞う

白が舞う 二話

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「ね……何してるの?」

櫻井君が覗き込んできたのは、後15分位で3時限目が終わろうとしてる頃。

声を殺した櫻井君、ちょっとエロい。

「ラクガキ。」

「ラクガキ?」

鉛筆を動かしながら、返事する俺に、さらに近寄って来る。

「そ……。」

ん~、この鼻がイマイチ……。

頭をシャープペンの背でポリポリ掻きながら、ちょっと引いてノートの端を見る。

自慢じゃないけど、俺のノートは全ページ落書きで埋まってる。

「上手いね……。」

「んふふ、そう?」

そりゃ、こんだけ毎日描いてれば。

イケメン転校生に褒められれば悪い気はしない。

「これ、あの先生でしょ?」

櫻井君がシャープペンの背で先生を指す。

「そ、チェリー……。」

チェリーは数学の先生。

昔のマンガの登場人物でチェリーってのがいて、それにそっくりらしいけど……。

俺は読んだことないからわからない。

代々そう呼ばれて来たから、今でもそう呼ばれてる。

男子の間じゃ、あだ名の元は童貞から来てるんじゃないかって言われてて。

ないでしょ、チェリー結婚してるしって笑ったのは斗真だったかな?

風間だったかも……忘れた!

「ふふふ、大野君、口、尖ってる。」

「え?」

顔を上げると、イケメンが目尻に皺を寄せて、キラキラ笑ってて。

ほぇ~ってなる。

「絵、描いてる時、尖るのね?集中した時のクセ?」

「なってる?自分で見たことないからな……。」

櫻井君がさらにクシャッと口元まで皺を寄せて笑う。

「なってるなってる。すっごく可愛い。」

ははは、可愛いって、俺、高3男子なんですけど。

「そこ!何しゃべってる!前出て、この問題やってもらうぞ。」

クラス中が振り返る。

視線の先の俺と櫻井君は、顔を見合わせ、背を丸くして小さくなる。

注目されるのは……あんまり得意じゃない。

「ほら、出て来い!」

チェリーに言われ、仕方なく立ち上がる。

できないのわかってるくせに、チェリーめ!

ガラッと椅子が鳴って、櫻井君も立ち上がる。

あ~あ、今日はいいことありそうな予感してたのにな。

項垂れる俺の肩を、ポンポンと櫻井君が叩いた。



「櫻井君、すごいんだね。」

学校からの帰り道。

なぜか帰りも櫻井君と一緒。

方向が一緒なのかな?

「そんなことないよ。」

櫻井君は爽やかに笑う。

「前の学校の方が少し先に進んでたから。」

チェリーにやらされた問題は、俺には全くちんぷんかんぷんだったけど、

黒板の前に立った櫻井君はスラスラと解いていった。

チョークの粉が、パラパラと落ちてくその手の動きが、

あんまりにも鮮やかで、見惚れてボォーっとしてたら、

予想外に櫻井君ができるのが面白くなかったチェリーが、俺に八つ当たりしだした。

「大野!お前も早くやれ!」

できないの、わかってて言ったら、ただの意地悪じゃん。

解き終わった櫻井君が、俺の方を見て、ニコッと笑う。

え?と思ってる内に、つつっと俺の隣に並び、今度は俺の問題を解き始めた。

「止めろ!それは大野に出した問題だぞ!」

「僕が……授業の進み具合を大野君に確認していたせいで、

 大野君に迷惑をかけてしまったわけですから……これは僕の問題でしょう?」

櫻井君がチョークを止め、チェリーを見据える。

さりげなく俺を庇ってくれるなんて、イケメンは性格までいい!

「先生が話を聞いてくれれば……大野君がこの問題を解くことはなかったでしょうから、

 僕が解いてもなんら問題はないのではありませんか?」

櫻井君は問題を解き続け、チェリーもそれ以上は何も言えなくなった。

つまり……チェリーは櫻井君に完敗したってことだ。

相手が悪かったな。

チェリー、いつもはそんなに悪い先生じゃないんだけどね。

「あ、櫻井君、家どこなの?」

「2こ先の信号曲がったマンション。」

結構、俺んちと近いな。

「ちょっと寄って行かない?」

「え……家?」

「うん、せっかく仲良くなれたから。

 新しい学校のこともいろいろ聞きたいし。」

教えてあげるようなこと、何もないけど……。

あ、今日のチェリーみたいなこと?

でも、櫻井君に教えたい女子、いっぱいいたのに、さらっと断ってなかったか?

休み時間になる度に、学校案内してあげるって女子が群がってたぞ。

意外とイケメンは女子が苦手?

この顔なら、どんな女子でも優しくなりそうなのに!

ま、そういう俺も、インテリ爽やかイケメンに興味もあって。

「いいの?母ちゃん、びっくりしない?」

見上げる俺を見て、櫻井君が笑う。

「誰もいないよ。気がねなくどうぞ。」

櫻井君の母ちゃん、仕事してんのかな?

じゃ、お言葉に甘えて……。

「コンビニ寄って行こ。俺、腹減った。」

「ふふふ、そうだね。家には大したものないから、その方がいいかも。」

1つ目の信号を渡った先にコンビニがある。

ちょうどよく、信号が青だ。

でもチカチカしてる!

「渡ろ!」

櫻井君の腕を引いて走り出すと、背筋がゾワッとして、ブルッと震える。

不気味な空気を感じ、走りながらチラッと振り返る。

一匹の大きな犬が、俺らの方に走って来る。

あんな大きな犬?

首輪してなくないか?

飼い主はどこだ!?










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