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白が舞う

白が舞う 一話

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「智~っ!廊下の雑巾がけはどうした!?」

「そんな時間ないっ!遅刻っ!」

学ランの前も止めないで鞄を引っ掴む。

「朝、起きなかったのはお前だろ!」

「わかってるけど、眠いんだもん!」

やべっ、マジ遅刻っ!

「毎日毎日、同じ言い訳するなっ!」

父ちゃんだって毎朝毎朝同じ小言言ってるじゃん!

「だって、それ以外言えないしっ!いってきますっ!」

「こら智っ!」

急いで靴を引っ掛けて、玄関を出るっ!

「智~~~っ!待てっ!」

父ちゃんの声が聞こえたけど、もう出ちゃったもんね!

境内を突っ切りながら、靴に踵を入れる。

右側だけ、踵が折れてなかなか入らない。

……めんどくせぇな。

どうして学校はサンダルじゃダメなんだろ?

仕方なく、踵に指を入れて靴を履く。

歩きながら、トントンと軽く蹴って履き心地を確認。

ん、ちょっと靴下寄ったかな?

鳥居をくぐり、チラッと家の方を振り返る。

いつ見ても古い小さな神社。

父ちゃん、追っかけては来てないな?

掃除くらい、父ちゃん一人でもできんだろ!

大した広さじゃないんだから!

鳥居を見上げると、空は青空、清々しい。

晴天!

空気もなんだか気持ちいいぞ?

今日は何かいいこと、ありそうな気がする!

道路を渡りながらスマホを開く。

やべっ!

マジ遅刻だっ!

猛ダッシュで駅まで急ぐ。

まさかこれから運命の出会いがあろうとは露知らず……。

いつものように学校へ急ぐ俺。

この時、雑巾がけちゃんとして、遅刻してたら……。

いや、それでも先延ばしになっただけだな。

運命の出会いはやっぱり運命の出会いだもんな!



キンコーンカンコーン。

ガラッと教室のドアを開く。

ひとまずセーフ。

「間に合った~~っ!」

「おおちゃん、今日もギリギリ!」

風間が、人の良さげな笑顔で迎え入れてくれる。

ギリギリでも間に合ってるんだから!

「もうちょっと早く起きれないの?」

斗真がクスクス笑いながら自分の髪を引っ張って揺らす。

あ、やべ、跳ねてる?

髪を引っ張ってみようとして、さらにクスクス笑われる。

「それじゃ見えねぇよ!」

差し出された斗真の手鏡で見てみると、右側の髪が、クルッと上を向いてる。

まぁいいよ、今さら直せないし!

「ね?それくらい直してきなよ、身だしなみ!」

「ダメだよ、おおちゃん、見た目気にしないもん。」

気にしないわけじゃないんだけど、朝そんな時間ある?

「ちゃんとすればイケメンなのに。」

斗真が不服そうに鏡を鞄にしまう。

俺がイケメン!?

外国人みたいな顔した斗真に言われても、説得力ない。

鞄を机に放って、椅子に座ると、ガラッと教室の前のドアが開く。

一応、ちゃんと座り直して鞄を退ける。

いつものように先生が入って来て……知らない顔も一緒に入って来る。

あれ、誰だ?

教室中から、ほぉーっと声が上がる。

付いて来たのは転校生?

見たことない茶色の制服に乗ったイケメン!

すっげぇ男前!

キレイで大きな二重。

スッと通った鼻筋。

厚めの赤い唇。

マジ、イケメン!

「転校生だ。櫻井君、自己紹介して。」

先生に変わって教壇に立ったイケメンは背筋を伸ばして教室中を見回す。

「櫻井です。父の仕事の都合で京都から来ました。

 急な転校だったので、色々間に合わず、

何かとお聞きすることになると思いますが、よろしくお願いします。」

言い終わると、もう一度教室中を見まわして、俺と視線が合う。

え?俺?

ニコッと笑ったイケメンに、クラス中の女子の悲鳴が轟く。

イケメンはまだ視線を外さない。

ま、負けないぞ!

こういうのは最初が肝心!

俺も負けじと視線を返し、ニコッと笑う。

クスッと笑うイケメン。

え……なんで笑われた?

「席は……。」

先生が、前から2列目の空いてる席を指さそうとした時、

櫻井君が素早く俺の隣を指さす。

「あそこですよね?」

有無を言わせぬ眼力に、思わずうなずく先生。

櫻井君はそのまま教室の真ん中を突っ切って、一番後ろの俺の席の隣まで来る。

櫻井君を追うクラス中の視線。

囁き合う声。

「これからよろしく。」

櫻井君が笑顔で俺に手を差し出す。

反対側の斗真には見向きもしないで。

「あ、あぁ。」

握手しようとその手に触れると、ピリッと電流みたいなものが体中を走る。

なんだ?静電気?夏なのに?

櫻井君がにっこり笑ったまま、ギュッと握ってくる。

俺もギュッと握り返す。

ピリッとした電流は一瞬だけで、もう感じなかったけど、

握手なんて久しぶりすぎて、いつ手を離していいかわからない。

「名前は?」

「ああ、ごめんごめん。俺、大野。」

「大野君か。いろいろお世話かけちゃうかもしれないけど、よろしくね。」

「う、うん……。」

櫻井君の押しの強さにちょっと怯(ひる)む。

てか、顔だよな。

この顔で言われたら……なんでも『うん』って言っちゃいそう。

「いつまで手、握ってんの~?」

風間が声を上げて、クラス中が笑い声で沸く。

パッと離す手。

なんか、俺が手、握ってたかったみたいじゃね?

タイミングわかんなかっただけだから!

「さ、授業、始めるぞ~。」

櫻井君がどう思ったか、気になったけど、先生の声で授業が始まった。

チラッと隣を見ると、黒板を見る櫻井君の横顔の奥で、

斗真が面白くなさそうな顔してるのが見えただけで……。

俺も黒板に向かって、ノートを広げた。

しっかし、櫻井君、横顔もイケメン!










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