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Happiness(やま)

Happiness ②

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イケメンは、黙ったまま俺を見下してる。

どう見ても、どこから見ても、俺が作ったフィギュアそのままの顔。

高い鼻。

大きな目。

ちょっと膨らんだ唇。

筋肉質な体。

くそでけぇ……。

目、目の前にあんだから、嫌でも目に入ってくんの!

え?じゃぁ、俺のフィギュアは?

慌ててテーブルの上を見ると、やっぱり何もなくて。

「え?ってことは……?」

テーブルの上とイケメンを交互に指さし、目も上下する。

「俺のフィギュア……?」

イケメンはにっこり笑ったまま、俺の前に立っている。

俺が作ったフィギュアそのままに。

「大きくなった……?」

ば、ばかっ。

こんなことあるか?

あれ、ただの粘度だぞ?

膨らし粉もゴムも入ってねぇぞ?

なんでこんな巨大化……。

「あ~、珍しい魔法使うね、ユー。」

え?フィギュアがしゃべった?

「そんな顔しないでよ~。」

いやいや、イケメンの口は動いてねぇぞ。

「だ、誰だ!」

「大声だしたらこの子がびっくりしちゃうよ~。」

イケメンの肩の辺りから首だけだしたのはおじさん……いや、お爺ちゃん?

「え?誰?」

「通りすがりの神様♪」

か、神様~?

どう見てもただのお爺ちゃんだぞ?

着てる物もその辺のお爺ちゃんが着てるようなジャンバーだし、

若ぶったキャップなんて被ってるけど、どこからどう見ても、普通のお爺ちゃん!

どうやって入った?

窓からか!?

急いで窓に近寄ってみたけど、窓は閉まってて鍵も掛かってる。

カーテンの開いた窓からは月もキレイに見えてて……。

「泥棒なんかじゃないよ。神様だって言ってるじゃない。」

お爺ちゃんがにっこり笑う。

「ユー、意外と現実主義なのね。」

「ほんとに?ほんとに神様?」

「そうだってさっきから言ってるのに~。」

「ほんとに?マジ?マジで?」

神様だと名乗るお爺ちゃんをグルグルと見て回る。

いや……どう見てもお爺ちゃんだけど。

「マジマジ。本当に通りすがりの神様♪」

「神様って通りすがったりするの?」

「神様だって出掛けなきゃいけないこと多いんだよ。

 八百万の集会とか、祭礼の度に呼ばれるし。」

へ、へぇ~、そうなんだ。

「でも、今回はセンチメンタルジャーニー。」

「せ、せんちめんたる?」

何昔の歌みたいなこと言ってるの!

「愛しのラファエルちゃんが結婚しちゃってさ。

 傷心を癒す為にちょっと遠出。」

お爺ちゃん……もとい神様が、両手を胸の前で組んで、キュンッてポーズを取る。

あれ?神様って日本の神様じゃないの?

ラファエルって名前からして外国だよな?

「あ~、天界では日本も外国もないから。

 みんな神様。みんな天使。」

神様がニコッと笑う。

あれ?なんで俺の思ったことわかった?

「わかるよ~、神様だもん。」

テヘって感じで小首を傾げる神様なんて……いるか!?

「いるんだから、しょうがない!」

「イチイチ俺の心を読むな!」

「読まなくてもわかっちゃうの。神様だから。」

「わかった、わかったから!」

そうだよ、それよりこの……。

「イケメン問題ね。」

そうだよ、それ!

このイケメンはどうしてこんなことになった!?

まさか、神様のせいか!?

「違うよ。ユーが魔法かけちゃったんだよ~。」

「俺が!?」

「そうだよ。自分で作った人形の中に髪の毛入れちゃったでしょ?」

髪の毛……?

入れてねぇぞ?

「じゃ、偶然入っちゃったのね。」

あ~、髪の毛切ろうと思ってたかんな。

「それとあれ!」

神様が窓の外を指さす。

あれって……月?

「そう、満月の明り。月光は神秘の光。」

神様が月を見上げる。

確かに……神秘的な美しさではあるけど……。

満月の日に人形作ってるやつなんてたくさんいるぞ?

髪の毛が入ることくらいあんだろ?

それが全部巨大化してたら……新聞もニュースも大変なことになる!

「チッチッチ。」

神様が顔の前で指を左右に振る。

「それだけじゃないんだな~。」

まだ何かあんのか?

俺、何かやっちゃった?

「そう、ユー、やっちゃってるよ。」

な、なに?

何したんだ俺?

さっきまでの自分を思い出す。

ビール飲みながらフィギュア作ってて……。

こんなの今までだって何度もやってる。

満月の日だって何度もあったに違いない。

できあがったフィギュア眺めて……。

ビール飲んで……。

「そうそう、その後!」

「その後?」

テーブルに顎付いてフィギュア眺めて……。

神様が、俺を見ながら、うんうんとうなずく。

こんなイケメンだったらって羨ましくなって……。

「はい、そこ!」

神様がピシッと俺を指さす。

「そこ?」

キョロキョロと辺りを見回すけど、何もない。

「違う違う、ユーの記憶!」

記憶……?

「羨ましくなって、何したの?」

羨ましくなって……俺、何した?

「特には何も……。」

「したでしょ!ちゃんと思い出して!」

え?なんだろ?何したっけ?

ん~……羨ましくなって……。

溜め息でフィギュアが倒れそうになって危ないと……。

「ほら、やった!」

「やった?」

「やった、やった!」

「な、何を?」

「人形に、息、吹きかけちゃったでしょ?」

え?溜め息?

「そう、それ!」

スパッと神様の手が空を切る。

「人形に魂を吹き込んじゃった瞬間ね。」

え、え~~~っ!

魂吹き込んだ?

俺が?

「そう、ユーが魂吹き込んだの。この人形に。」

神様がイケメンの腰に手を回し、ニッと笑って俺を見下す。

イケメンのでっけぇのが、ブランと揺れる。

「だから、責任取らないとね。」

せ、責任~~~~~っ?

揺れる股間から目が離せない~~っ!

「そう、この子、この世界は初めてだろうから。」

な、なんで俺が!?

目は股間を見つめたまま、心の中で叫ぶ。

「当たり前じゃない。ユーが作り出したんだから。」

「そ、そんな~!」

「大丈夫。何もなければ……1週間で元の人形に戻るから。」

「1週間……。」

そんなにかかるのか~。

なんか、蝉みてぇだな。

「但し……ま、これはいいか。」

「な、なんだよ、言えよ。もう、何言われても驚かねぇから!」

「いいの、いいの気にしないで。」

神様はブンブンと顔の前で手を振り、イケメンから離れる。

「偶然は必然。ユーが命を吹き込んだのは事実。

 しっかり面倒見てあげてね~。」

そう言いながら手を振る神様は、スッと窓の外に消えていった。

まるで手品みたいに。

嘘だろ。

マジか。

マジ、神様か。

残された俺とイケメンは……顔を見合わせ、引きつった笑いを浮かべる。

と、取りあえず、服着せないと~!

……でかく作りすぎたかなぁ。

チラッと自分の股の間を見つめる。

ええいっ!俺のは普通!あいつのは理想!

現実的にはこんなもん!










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