FC2ブログ

明日に向かって(やま)

明日に向かって吠えろ ~ 或る作家の呟き ~ ③

 ←WONDER-LOVE Ever -118- →Sunshine (73)


『……サトシが始めてそれを意識したのは中学2年の頃だった。

 同級生の唇がふと目に留まった。

 ふっくらと厚い、熟したイチゴのような唇。

 その唇が動く度、ズクリと腹の奥で何かが蠢く。

 彼がしゃべる度、そのズクリがムクムクと大きくなり、

 どうしようもない衝動に駆り立てられる。

 その衝動の正体がわからぬまま、ただ、目が離せない。

 口の中に溜まった唾を、ゴクンと嚥下する。

 音が、大きく響き渡ったような気がして、俯いてやり過ごした。

 今思えば、あの日はきっと満月だったに違いない。

 サトシは自分の下で身悶えるショウを見て、変わって行く自分を強く感じる。

 ――あの頃から……俺はショウを見つめていた。

 赤く潤った唇に、引き寄せられるようにサトシの唇が重なる。

 体の奥から突き上げる衝動を、サトシはショウの中に送り続けた。

 「う……ぅあっ……。」

 窓から差し込む月明かりが、変わって行くサトシを白く染める。

 「あぁ……サト……っく!」

 サトシが最後の衝動をショウに送り込む。

 「ぁあっ!サトシっ!」

 ブルッと震えるショウを見下し、サトシが月に向かって咆哮を上げる。

 「オォォォォォ~~~ンッ!」

 ショウは自分を組み敷くサトシの目が、青く光るのを見つめた。

 無限に広がる宇宙のような瞳。

 ただ、綺麗だと思った。

 その肢体も、瞳も、……運命も。

                     《続く》』

「ねぇ先生、これで続くはずるくない?」

「ずるい方が、続きが読みたくなるだろう?」

「それにしたってさ~、二人が可哀想だよ。」

「可哀想か?」

「だって、このまま二人ではいられないんでしょ?」

「それはどうかな……。」

「だって、Hの後、抱き締めたり、こうやって話したりできないんだよ?

 オオカミになっちゃうんだから。」

私の腕の中で、新しい連載を読んでいたサトシが、パサッと雑誌をシーツの上に落とす。

自分の腹を隠すように置かれた雑誌を、パタンと閉じる指が長くて美しい。

私はその指をそっと掬い、指先に唇を当てる。

「おいら、後のこういう時間が好き。」

んふふっと笑う智が可愛くて、指先を少し噛む。

噛まれる指を見て、顔が赤くなる智が、これまた可愛い。

カジカジと数回爪の上から噛み、舌先でその後を確認する。

うっすら凹んだ指先が愛おしくて、指の腹側に唇を滑らせ、舌でなぞる。

「あ……センセ……。」

「痛いか?」

舌を滑らせながら、指の股を押し開く。

丹念に舌を滑らせると、サトシから吐息が漏れる。

「はぁ……、先生の顔……。」

「顔?」

「……エロ……。」

「そりゃエロいだろ?エロいことしてるんだから。」

クスクス笑いながら、手の平の生命線を舐める。

くすぐったいのか、手を引こうとするのを、無理やり開いてペロペロと舐める。

「はぁ…ん……ダメ……、くすぐったいっ!」

「お前の性感帯はどこにでもあるんだな?」

手首に近い親指の付け根をなぞると、智の体がビクッと震える。

「ここ?」

筋肉の盛り上がりを、軽く唇で食む。

「ん……んんっ。」

また引こうとする手を、肘ごと引き寄せ、智の首の下にあるもう片手で智の肩を抱え込む。

「あ……センセ、……終わったばっか…り……。」

「それがどうした?こういうのは回数が決まっているのか?」

「ん、んあっ……そうじゃ…ないけど……。」

頬を上気させた智が、恥ずかしそうに体を離そうとする。

「じゃ、かまわないだろ?」

「でも、でもさ?」

智がまた腰を引こうとする。

それを私が受け入れるはずもない。

「この二人は……何度もできないんだよ?」

「それがどうした?」

「そんな二人を読んだ後で……何度もするのは悪いって言うか……。」

「小説の中のことだ。実際、狼男なんているわけないんだし。」

「そ、そうだけど……。先生の小説はリアルって言うか、想像させられるって言うか……。」

「だから何だ?」

読者からそう言われることはよくある。

物書きとしては当たり前……物書き冥利に尽きる褒め言葉だが、

それが智とのセックスにどう影響を与えると言うのだ?

「そんな二人の前で二度目は……悪いよ!」

どうやったらこんな純粋な子に育つのだろう。

こんなに純粋で、よく都会でやっていけたな。

後で女将に取材してみよう。

私は智の手首を軽く齧る。

「はぁ……。」

痛さですら感じているくせに、我慢するというのか?

この二人の為に?

「では続きはこうだ。

 オオカミに変化したサトシは、月の光で自分をコントロールする術を身に着ける。

 セックスを重ねる度、少しずつ人間でいられる部分が増えていくんだ。

 最後には、耳と瞳以外は人間のままでいられるようになる。

 どうだ?これなら可哀想じゃないだろう?」

智は想像したのか、口をへの字に曲げながらも、うんと頷く。

私も想像してみる。

耳だけ狼の智……。

ピョンと立った耳が、裸の智の髪の間から覗く姿……。

可愛いじゃないか。

いや、智は何をしても、何もしなくても可愛いのだが。

「だから安心しろ。」

智を引き寄せ、下腹を撫でる。

「なんだ、智だってその気じゃないか。」

「な、なんでそう言うこと口にするかな……。先生のばかっ!」

智が本気で逃げようとするのを、後ろから抱きしめ、

私の昂りを押し付ける。

「生意気な口を叩くのはどの口だ?この口か?それとも……。」

上の口を塞ぎ、下の口を……。

「センセ……ほんとずる……。」

さて、二回戦目は……智を上にするか?

今夜は満月だ。

しかもストロベリームーンだと言う。

私は迷信は信じない。

だが、月明かりに踊る智は、さぞ美しいことだろう。

小説の続きも決まった。

現実で、狼に変身するのは私だが、狼に変身する智を想像するのは、なかなかオツなものだ。

「ん、んんっ、センセ……。」

智が喘ぎながら、私の耳たぶを噛む。

私は手を伸ばし、そっとカーテンを開く。

私の耳に夢中になっている智は気づかない。

さぁ、智をどうやって躍らせようか?

考えただけでゾクゾクするのは……狼の性だ。

已む(やむ)を得ん。

ゆっくり智を堪能するとしよう。










関連記事
スポンサーサイト






総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 白が舞う
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【WONDER-LOVE Ever -118-】へ  【Sunshine (73)】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【WONDER-LOVE Ever -118-】へ
  • 【Sunshine (73)】へ