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「Sunshine(やま)」
Sunshine(やま)【61~80】

Sunshine (61)

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「なぎささん、そのピアス……。」

なぎささんがニコッと笑う。

「あ、これですか?」

軽く耳に触れ、ピアスをそっと撫でる。

「気に入ってるんです。」

「うん、すっごく似合ってる。」

マー君もニコニコ顔でピアスを見つめる。

注目を集めて、恥ずかしそうに顔を伏せるなぎささんに、

他の飼い主さんから声がかかる。

「あ、それ、“ろうかん”じゃないですか?いい物をお持ちですね。」

「ろうかん?」

マー君が首を傾げる。

「ジェイド……翡翠の最高ランクですよ。」

「どうでしょう……私にはよくわかりません……祖母の形見なんです。」

「おばあさま?」

おいらが聞くと、なぎささんが小さくうなずく。

「よく見ると、模様みたいなのが入ってて……。」

「見て、いい?」

隣の席のマー君が、なぎささんにさらに近づく。

恥ずかしそうに頬を染めて、うつむきながらうなずくなぎささん。

マー君がじっと耳たぶについたピアスを見つめる。

「ほんとだぁ、何か小さく……魚の鱗みたいな模様が付いてる!」

マー君がおいらを呼んで、見て見てって感じで体を引く。

「おいらも見ていい?」

聞くと、コクッとうなずくなぎささんが、おいらが見やすいように、

耳をおいらの方に出してくれる。

うん、マー君が言うように鱗みたいな小さなのが石の奥の方に見える。

しかも綺麗に並んで。

青海波みたいな感じ?

「なんか、素敵だね。」

「ありがとうございます。」

おいらが体を戻すと、恥ずかしいのか、耳に掛けた髪を元に戻す。

「昔からある青海波って模様に似てる。未来永劫、穏やかな波のように。

 そんな願いが込められてるみたい。」

なぎささんが嬉しそうに笑う。

「あ~、だからなぎささんなのか~。」

マー君が納得したって感じで、うんうんうなずく。

「穏やかな波のように……で、なぎささんって名前になったんじゃない?」

なぎささんが紅茶カップに手を添え、マー君を見上げる。

「はい……。そうみたいです。

 穏やかな幸せが手に入りますようにって。」

「素敵な名前だよね~。」

マー君がニコニコ笑ってケーキを頬張る。

フォークから零れたチーズケーキが、マー君の前に落ちると、

なぎささんが、サッと拭く。

「あ、ありがと。」

なぎささんがニコッと笑って……。

なんか、もうすでにいい感じなんじゃない?

小姑のおいらなんか、必要なくない?

「サトシさん、サトシさんはどんなアクセサリーが好きですか?」

なぎささんとマー君に夢中になってて、隣の知念さんを忘れてた!

「お、おいらはアクセサリーは……。」

「なんでも似合うと思うけどな……よかったら今度プレゼント……。」

「え、あ、いや……。」

「サトシさんならネックレスかな?ピアスは開いてないですよね?」

知念さんがおいらの耳をじっと見る。

そんな見られたら恥ずかしいから!

「ダメダメ、そんなことしたら、サトシ一生ドッグランに来れなくなるよ?」

マー君が笑って断ってくれて、なぎささんも笑ってうなずいてくれて。

「そうか……それは困る。」

諦めてくれたらしい知念さんに、ホッとしたおいらもケーキを口にする。

ほろ苦い甘さが口いっぱいに広がって……。

うん、美味しい!

ショウ君にもお土産に買って帰ろう!

そう思って時計を見たら、もう6時を回ってた。



「ごめん~、遅くなった~。」

家に帰ったら、もう明りが点いていて。

「遅いよサトシ~。」

不満顔のショウ君。

でもまだ7時過ぎだよ?

ショウ君も帰るの早くない?

「迎えに行ってもよかったのに。」

「そんなのいいよ~、反対方向だもん。」

おいらはケーキを冷蔵庫にしまって代わりにお肉と生姜を出す。

「いや、迎えに行ってあいつに警告したかったのに。」

だから、それが嫌だったんだってば~。

「待っててね。すぐご飯にするから。」

おいらがいそいそとフライパンを出すと、ショウ君もキッチンに入って来る。

「手伝ってくれるの?」

「その方が早いだろ?」

……そこが難しいところ。

手伝ってもらって早くなるといいんだけど……。

おいらは引き出しからおろし金を取り出す。

「すぐできるから生姜焼きでいい?」

「いいよ。」

「じゃ、ショウ君は生姜すって……。」

生姜とおろし金を渡そうとしたら、後ろからギュッと抱きしめられた。

「ショウ君……。」

「一日ぶりのサトシの香り……。」

ショウ君が、おおげさに息を吸う。

朝、いってらっしゃいしたじゃん。

「あの……チワワの飼い主に何もされなかった?」

「されないよ。」

仕方なく、おいらが生姜をする。

「二人で会おうとか……言われなかった?」

「言われません。」

「アドレス……また渡されなかった?」

「渡されません。」

「手を握られたり、しなかった?」

「してません。」

「抱きしめたり、匂い……嗅いだり……。」

おいらは生姜とおろし金を置いて振り返る。

「それは今のショウ君!」

ショウ君がニヤッと笑う。

「やっとキスできる。」

ショウ君がおいらの唇に唇を押し当てて……。

「あ……ん、ショウく……。」

口を開けて甘噛みされると、クチュッと唾液の音がして……。

ほらね、早く終わらないでしょ?

ショウ君はいつだってそうなんだから。

いつだって……魅力的で困る!










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