FC2ブログ

イチオクノホシ(やま)

イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑫

 ←イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑪ →イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑬


「イッちゃっていいよ?全部飲んであげる。」

下から上へ舐め上げられて、すぐに口に含まれる。

これでイクでしょ?と言わんばかりに舌先で先端をグリグリされて、

指で根元から強めに扱かれて、吸い上げられて……。

智がいつも、俺をイカそうとする時やるやつ。

うわっ、やばいっ!

マジでそう思った。

そう思ったけど……。

何度も何度も扱かれて、吸われて。

でも、俺のは最後の最後がなかなかイカない。

イカないって言うより……イケない。

相手が焦って来るのがわかる。

意地でもイカせようと必死で俺のポイントを探してる。

暫く頑張ってたけど……だんだん疲れてくる顎。

動きが緩慢になってくる。

唇の締め上げも弱くなってきた。

「もうやめれば?」

俺の言葉で、相手が顔を上げる。

徐々に慣れて来た目が、相手の輪郭をぼんやり捉える。

智より短い毛先が、外の明りをうっすら反射する。

「無理だよ。智じゃないと俺はイカない。」

「な、なんで!どうして違うって……。」

「どうしてって……。」

「そっくりだったでしょ?俺、そっくりだって……。」

「そっくりだったけど……リズムが違う。」

「リズム……?」

そう、智とはリズムが違う。

智のリズムはイチオクノホシ。

バレエとは違って、スローなバラード。

こいつのは微妙にアップテンポ。

人が、自分の中に持つリズムやメロディはそれぞれ違う。

それぞれのリズムを感じ、それぞれのリズムで奏で合い、鳴らし合う。

似たリズムの人もいれば、全く違うリズムの人もいる。

自分のリズムを合わせられる人もいれば、合わせられない人もいる。

改札を上手く通れない人がいるみたいにね。

上手く調和すれば、それはすばらしいハーモニーを奏でる。

気持ち良く満ち足りて……徐々に昂る心が開放されていく感じ。

そう、最高の瞬間。

智とのエッチは、俺にその瞬間を与えてくれる。

パッションとエモーションの沸き立つ瞬間。

「作曲家……なんだっけ?」

俺はコクリとうなずく。

売れてないけどね。

ガチャッと音がしたと思ったら、バンッとドアが開いて、誰かが走ってくる。

パチッと照明が点いて……。

眩しさに目が霞む。

「翔っ!!!」

智の叫び声。

「智っ!」

よかった!無事?

智を見ると、目の焦点が合ってくる。

ワナワナと震える智の顔……?

ハッとして、視線を自分に戻す。

今まで暗闇だった光景が目の前に広がる。

「な、何してんだよっ!」

体中から血の気が引く。

俺の目の前には、いつかの後輩。

俺と後輩の間には……下着から飛び出た俺の……。

「ま、まさか……。」

「ち、ちがっ!」

「違うって何が?」

「何がって、ぜ、全部っ!」

「全部ってだから何がっ!」

「か、勘違いしないでほしい!」

「勘違いも何もあるか!」

「あるんだよっ!話を聞いて!」

「いいから、さっさとそんなもんしまえ!」

俺は慌てて下着の中にナニを押し込む。

まずい。

まずいまずいまずい!

「さ、智に説明してくれっ!」

後輩に懇願するけど、後輩もどうしていいかわからない様子で、

俺と智を交互に見るばかり。

ジッパーを上げながら、後輩を足の上から押し退ける。

「さ、智は今まで何してたんだ。」

「おいらはすっかり酔っぱらって……。」

智は思い出すように、視線を天井に向ける。

「……覚えてない。」

「覚えてない!?」

「起きたら、隣にケントがいて、翔が迎えに来るって教えてくれて……。」

智が後ろを見る。

いたのか。

全く気付かなかったケントは、細面のイケメン。

こいつか!智にちょっかい出してたやつは!

キッと睨むと、智が話を続ける。

「侑李が翔の相手してるから大丈夫って……。」

それどころじゃなかった!

まずは身の潔白を……。

潔白……でいいよな?

咥えられちゃったけど……キスもされちゃったけど……。

智が後輩を睨みつける。

「相手って……こういうこと?」

「だ、だって!」

ベッドの上に座り直した後輩が智を見上げる。

「大野さん、酔い始めたら、櫻井さんの話ばっかりし出して……。」

「俺の?」

後輩がコクリとうなずく。

やばっ。

顔がニヤける。

「しまいには翔はベッドテクもすごいとか言い出して……。」

え?

「アレも相当でかいとか……。」

ええ?

「白鳥の王子と違って、櫻井さんは絶対大野さんを間違えないなんて言うから……。」

「智……。」

俺が智を見ると、智がブンブン首を振る。

「ぜ、全然覚えてない!」

「お、俺!」

後輩が声を上げる。

「大野さんに似てるってよく言われてて……。

 初めて付き合った男の人が……大野さんの元カレで……。」

え?えええ?

「え……まさか……マサユキ……?」

後輩が、またコクリとうなずく。

「大野さんに憧れてたから……似てるって言われて嬉しくて……。

 いろいろ教えてもらって……。」

それでか。

だからところどころ智に似てたのか!

「だ、だから……櫻井さんだって間違えるかもって……。」

後輩が項垂れる。

「もちろん……間違えなかったよね?」

智が両手を腰に当て、一歩前に出る。

「ま、間違えてないよ!」

間違え……なかったよな?

イカなかったし……。

「本当に?」

「ほ、本当だよ!」

「本当に?」

今度は後輩に聞く。

「は、はい……。」

後輩がチラッと俺を見る。

な、なんだよ、その視線!

それじゃ智が誤解する!

「だから、ちゃんと説明するから!」

朝までに……誤解は解けるのか?

溜め息をついて、智をベッドに座らせた。










関連記事
スポンサーサイト






総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 白が舞う
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑪】へ  【イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑬】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑪】へ
  • 【イチオクノホシ ~ Swan Lake ~ ⑬】へ