FC2ブログ

愛と勇気とチェリーパイ(5人)

愛と勇気とチェリーパイ #24 下

 ←愛と勇気とチェリーパイ #24 上 →明日に向かって吠えろ ~ 或る作家の呟き ~ ②-上

あたしがワクワクして見ていると、カランカランとドアが開く。

誰よ~、今日はもう店終い!

邪魔しないでよね!

そう思って振り返ると、寒そうに体を縮こまらせた店長が、

真っ直ぐショウ君の所へ向かって行く。

「ショウ君、超寒い~っ!」

店長と一緒に入って来た空気は確かに超寒い!

あたしもブルッとして、膝に掛けてたストールを引き上げる。

店長は、三人を通り過ぎ、ショウ君の前に行くと、思いっきりショウ君の手を握る。

「ほら、ね!超冷たいっ!」

突然の店長乱入にびっくりしてるショウ君はされるまま。

冷たい手で手を握られてるのに、ピクリともしない。

しないけど、だんだん頬が緩んでく。

「今日は来ないと思ってた。」

「来ない予定だったんだけど、来ちゃった。」

ふにゃりと笑う店長の必殺スマイル。

う~、これ言う女見たら、はぁ~?って顔になっちゃうと思うんだけど、

店長だと許せる!

むしろ可愛い!

「あ~、こんなに冷たくなって……ほら、ちゃんと温まって。」

ショウ君は店長の手を握り返し、その手の平を自分の頬に押し当てる。

「これで手の平も甲もあったかいでしょ?」

「あったか~。」

嬉しそうな店長がショウ君を見上げ、優しい笑顔のショウ君が、店長を見つめる。

なんだ!?なんなんだ、この雰囲気!

すっかり二人だけの世界。

周りにハートは飛んでるし、なんならホワイトもかかってる!

こうなると、ただ黙って見守るしかない。

ってか、見守りましょう!みんなで!

三人も呆気に取られて茫然としてるし。

あたしは珈琲を飲んで、はぁと溜め息をつく。

何て言うの?

美しい絵画を見ながら飲む一服。

うん、至福の時♪

すると突然、アイバ君が叫ぶ。

「あ~っ!ショウちゃんの手、店長が取った!ずるい!」

店長達を指さして言うアイバ君に、店長がきょとんと首を傾げる。

「ずるい?」

「そうだよ、今みんなで……ん、むぐぐ……。」

隣にいたニノちゃんがアイバ君の口を塞ぐ。

「ほんと、あなたヤボで鈍感なんだから。」

「鈍…感……?」

ニノちゃんの指に抑えられながら、なんとか喋るアイバ君。

「そうだよ。アイバさん、こういうとこ鈍いんだよね~。」

MJもニヤリと笑って、カウンターに頬杖を付く。

「え、え~?どういう意味?」

ニノちゃんとMJが顔を見合わせてニヤッと笑う。

「今日はさ、商工会議所の集まりで店長が来ないって言うから、

 ショウさんしょげちゃうんじゃないかと思ってさ。」

「商工会議所、最後は飲み会になっちゃうからね。」

二人にアイバ君も交じって、うんうんとうなずく。

「私とMJが盛り上げてあげてたってのに。」

「当の店長が来たんだから、ショウさん勝手に盛り上がってくれるでしょ?」

「変なとこも盛り上がっちゃう?」

二人が意味深な顔でニヒヒと笑う。

え~、いやんっ、どこ?どこが盛り上がっちゃうの~?

てか、男同士でも盛り上がってくれますか~?

私も会話に混ざりたいっ!

でも、そこは自粛。

腐女子って言うのは日陰の女。

表だってはいけないの。

真実を見、そこから妄想を膨らませ、裏でこっそりほくそ笑む。

そう言うもの。

そして、そう言うのが楽しい!

「で、どうするの?ショウさん、早めに帰る?」

MJが聞くとショウさんが店長に目配せする。

店長もにっこり笑って頷いて……。

「悪い。じゃ、今日はみんなに甘えさせてもらうよ。」

いつの間にか頬から降りた手は、まだ握られたまま!

店長も握られたままで、うんとうなずく。

「店長、任せたよ!」

MJの言葉に店長が大きくうなずく。

「任せといて。」

「え~、ずるいっ!俺もお祝い~!」

アイバ君の口をまた塞ぐニノちゃん。

「ほんと、あんたは鈍感なんだから!」

「そんなことないよ~っ!」

「あんたには、私とMJがみっちり教えてあげますよ。」

「教えて……?何を?」

ニノちゃんの手を振り解き、アイバ君がニノちゃんを見つめる。

アイバ君はこの目が可愛いんだよね~。

小動物みたいなつぶらな瞳!

なんでも教えてあげたくなっちゃう!

ニヤッと笑うニノちゃんが、アイバ君に顔を近づける。

「明日には、誰にも鈍感なんて言わせないくらい……敏感にしてあげます。」

ニノちゃんが、チラッとMJを見て、MJも楽しそうに笑う。

「え、ええ~?俺、元々敏感だし!」

「どこが!ま、いろいろ敏感なとこはありますけどね……。」

いや、いやん♪

ニノちゃん、アイバ君の敏感なとこ、知ってるの~?

ね、ね、どこが敏感だか、お姉さんに話してごらん?

「明日もちょっとくらい遅くてもいーですよ?」

ショウ君に向かって、ニノちゃんがまた意味深に笑う。

今日のニノちゃん、こんな顔ばっかり!

「それは……サトシ君次第かな?」

一つ歳を取ったショウ君が、大人っぽい顔で笑って、店長の手の平にチュッと唇を当てる。

うわわわわぁ~っ!

何これ?なになに?

ドキッとした!

あたしがされてるわけじゃないけど、ドキッとするってか、バクッ!

そんな顏でそんなことされたら、普通の女子なら卒倒する!

意識失っても手の感触だけは忘れたくないっ!

救急車に乗っても、お願いだから誰もあたしの手に触らないでっ!

そう思いながら昇天する!

「んふふ、ショウ君が起きれないだけでしょ?」

笑う店長に、ショウ君が恥ずかしそうに頭を掻く。

「そうかも。」

二人を見ていたMJが、後ろに回って二人の背中を押す。

「じゃ、後はやっておくから、さっさと帰んなよ。

 早く帰らないと明日になっちゃうよ?」

二人が嬉しそうな顔で見つめ合って。

この空気感!

あ~、妄想させられる!

絶対、何かあると思っちゃう!

あってもおかしくないと思っちゃう!

カウンターから出て来た店長が、あたしに気付いてニコッと笑う。

「お姉さんも来てたんだ。ごめんね。ショウ君お持ち帰り~。」

どうぞどうぞ、好きなだけ持って帰って!

で、できれば、その後の話を聞かせてもらえれば……。

とは言えないから~。

「ううん、誕生日くらい、のんびり過ごしたいもんね。

 ショウ君、お誕生日おめでとう♪」

店長の後ろからカウンターを出たショウ君が、ニコッと笑う。

「ありがとう。お姉さんもゆっくりしてって。」

「うん。」

ぜひぜひその後の話をお聞きしたいけど!

きっと教えてはくれないだろうから……。

勝手に妄想!(笑)

たっくさんあっためてあげてね~!

二人が帰って行くと、残った三人がテキパキと後片付けをし始める。

カウンターの後ろを通る度、アイバ君の腰を掴むMJ。

下げ物を持って来る度、アイバ君の隣に並ぶニノちゃん。

アイコンタクトで意味深に笑い合うニノちゃんとMJ。

二人がいなくても、ここには癒しが広がってる!

まずは……鈍感なアイバ君をニノちゃんとMJが敏感にしていく……。

話の断片を探り出さないと!

ニノちゃん、MJ!

アイバ君はどこが敏感なんですか~?










関連記事
スポンサーサイト






総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 白が舞う
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【愛と勇気とチェリーパイ #24 上】へ  【明日に向かって吠えろ ~ 或る作家の呟き ~ ②-上】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【愛と勇気とチェリーパイ #24 上】へ
  • 【明日に向かって吠えろ ~ 或る作家の呟き ~ ②-上】へ