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ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 (22)

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あ~、またこの匂いの季節……。

俺はマサキを見上げる。

マサキはまだ気付いてない。

「ん~?どうした?」

マサキが俺の背中を撫でる。

「どっか行きたいとこあるの?

 あ、久しぶりにドッグラン行く?」

マサキはくったくなく笑う。

最近は特にイケメンで、オスらしい匂いがする。

これじゃ、メスがいっぱい寄って来ちゃうよ……。

俺はクンクンとマサキの匂いを嗅ぐ。

「ドッグラン、行きたいんだな~?よし、いくぞ!」

相変わらず、マサキに俺の気持ちは通じない。

そこがマサキの良い所でもあるんだけど。

マサキが走りだした!

俺も続いて走る!

別にドッグランに行きたいわけじゃなかったけど、マサキが行きたいなら。

マサキは結構足も速くて、俺も3割くらいの力で走る。

あぁ、気持ちいい!

走るの最高!

でも、あの匂いが強くなる。

きっと近くに……。

そう思った時、マサキの足がゆっくりになる。

マサキも気付いた?

「金木犀……。」

マサキの目の先には、黄色い花の付いた枝。

マサキがツツッと寄って行く。

枝を摘まんで、鼻を近づける。

「……いい香り。」

マサキが俺を見て、切なそうに笑う。

マサキにとってこの匂いは、人間のサトシの匂い。

サトシを思い出すと、時々、こんな顔をする。

番(つがい)が欲しい時期……。

マサキにもいい番がいれば……。

人間は俺らと違って、年中繁殖期らしい。

どこかにマサキの番が転がってないかな……。

俺はキョロキョロと辺りを見回し、何もないのを確認してマサキを見上げる。

「マサキ、大丈夫。マサキならいい番が現れるよ。」

「ふふふ。何?どうしたの?そんな顔して。」

マサキの大きな手が、俺の頭を撫でる。

「ドッグラン行かずに、家に帰る?」

その方がいいかな?

家でサトシとカズナリとジュンと……。

……いや!こういう時こそ、汗を流すのが一番!

俺はマサキの袖を引っ張って、ドッグランに誘う。

「ちょ、ちょっと……。」

「行こ!早く!走って!」

俺が先に走ってリードを引っ張る。

マサキは引っ張られて体勢を崩しながらも、俺について走り出す。

「ショウ!やる気出し過ぎっ!」

マサキが楽しそうに笑う。

うん、マサキにはこっちの方が似合う!

一緒に並んでドッグランまで走る。

信号待ちで、はぁはぁ言って、人を避けて歩道を走る。

たまに迷惑そうな目で見る人間がいるけど、知ったことじゃない!

マサキが元気になることが大事!

走ってる時も、フッとあの匂いがしたけど、マサキは走ってれば気づかない。

人間の嗅覚なんてたかが知れてる!

ドッグランが見えてくると、柵を飛び越しそうな勢いでナナが飛び上がる。

「ショウく~ん!」

ナナの尻尾は千切れんばかり。

あいつの嗅覚は侮れない。

ナナに気付いた飼い主のアスカも、マサキに手を振る。

「おっ、ナナちゃんもいるね~。」

マサキが嬉しそうに笑う。

俺らは軽く走ってドッグランに入って行く。

「こんにちは。」

にこやかなマサキの笑顔。

「こんにちは。」

俺も真似て、にこやかに……。

「ショウくぅ~んっ!」

ナナが俺に抱き着く。

顔をペロペロ舐められ、ウヘッと顔をしかめる。

「ほら、ナナ。女の子から迫ってどうするの!」

アスカが笑ってナナの首輪を引っ張る。

「だって~、ナナ、ショウくんに会いたかったんだもん!」

ナナはそれでも頑張って、俺に飛びつこうとする。

俺はサッと避けてマサキを見上げる。

「いいよ、行っておいで。」

マサキが俺からリードを外す。

俺は、勢いを付けてドッグランの中央へ走り出す。

ナナも後を追ってくる。

追い着かせるか!

「待って、ショウく~んっ!」

待ってと言われて待つのはサトシの時のみ!

「お久しぶりです!」

甲高い声に振り向くと、ちー君が俺の周りをチョロチョロする。

走ると言うより、飛ぶ?

ジャンプ、ジャンプ、ジャンプ!って感じ?

「あれ?今日はサトシ君は?」

「猫は散歩に出ないからね。今日はいないよ。」

「前は来てましたよね?」

「たまにね。」

「いつなら来ます?」

「さぁ?」

「教えてください!」

「サトシの気分次第かな?」

「じゃ、来たくなるようにしてください!」

「どうやって?」

「僕のこの……溢れんばかりの気持ち、サトシ君に伝えて……。」

ちー君の声が遠のく。

本気を出せば、ちー君なんて、あっという間に離してやるさっ!

あいつの話なんか聞いてられるか。

本来、猫は散歩に行かないって、誰か教えてやってくれよ!

「うふふっ!やっと追い着いた!」

気付くとナナが隣に並んでて……。

「ね?ショウ君、次の繁殖期は絶対空けといてね!

 アスカも楽しみにしてるから!」

「そ、それは……。」

「大丈夫。ナナとショウ君の子なら、絶対可愛いから!」

俺はこれ以上ないってくらい全力で走って、ナナを振り切る。

「ショウく~んっ!」

ナナの声も遠のいて、一安心した時、目の前にちー君がいて。

「待ってましたよ!」

そうだった!

ドッグランは丸く走るから、元に戻ってきちゃったんだ!

ちー君も振り切って、思いっきり走る。

だんだん疲れて、息が上がって来る。

チラッとマサキを探すと、マサキの隣に女の人?

アスカじゃない。

細身で、アスカより背が高い。

綺麗な黒髪が風に揺れる。

マサキも楽しそうに笑ってる。

新しい番……?

でもなんか、あの人の匂い……。

「ショウくぅ~ん♪」

「サトシ君をぜひっ!」

ナナに追い着かれ、ちー君に待ち伏せされ、俺はクタクタになるまで走って……。

気付いたら、女の人はいなくなってて。

マサキに聞きたいけど……マサキには俺の言葉は通じないし。

仕方なく、そのまま家に帰った。

足を洗って、ソファーに向かうと、ソファーの上で微睡むサトシの耳が上がる。

「ショウちゃん……。」

「ただいま。サトシ!」

サトシの鼻を舐めようとしたら、サトシの前足が俺の鼻を押さえる。

「シャワー浴びてくれば?」

「……なんで?汗臭い?」

俺は自分の匂いをクンクンと嗅ぐ。

「浴びといでよ。」

「ん~、疲れてるから、このまま寝たい……。」

「浴びて来い!」

サトシの前足から爪が飛び出る。

「痛っ!」

俺は前足で鼻を押さえて縮こまる。

「メスの匂いさせて帰ってくんな!」

「そんなこと言われても~。」

「あの、ナナってメスだろ?」

サトシの嗅覚は……誰よりも侮れない!

俺を見るサトシの目がまん丸から半分に……。

「何?ショウちゃん、おいらにモンクあんの?」

さらに細くなって、キラッと光る。

「……ないです……。」

慌てて視線を逸らす。

もう一度チラッとサトシを見たけど、サトシの目は変わらずで……。

仕方なく、マサキの足を撫で、シャワーを強請る。

そんな感じだったから、マサキと一緒にいた女の人の話をサトシにしそびれた。

あの匂い……サトシなら、何て言うか聞いてみたかったのに。










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