FC2ブログ

ワイルドアットハート(やま)

ワイルドアットハート 27

 ←ワイルドアットハート 26 →ワイルドアットハート 28


智君と一緒に楽屋のドアを開ける。

「どこのトイレですか?もう待てませんよ!?」

マネージャーの焦った声。

え?トイレ?

「昨日、何食べたんだろうね?」

「翔ちゃん、すんごい出てるんだと思う!

 こればっかりは途中で切るの無理じゃん?」

「アイドルが踏ん張ってるなんて……言ってないよね?

 俺、臭いイメージつくのやだよ?」

お前ら……。

よりにもよって、なんちゅうごまかし方!

「あ、帰って来た!」

相葉君が俺らを指さす。

振り返るマネージャー。

「あ、櫻井さん、お腹の調子、大丈夫ですか?

 収録、始めてもらっても……?」

「あ、ああ、大丈夫。お願いします。」

「じゃ、言ってきますから、すぐ来てくださいよ!」

マネージャーがバタバタと駆けていく。

「ごめん、みんな……。」

智君が頭を下げる。

「その様子じゃ上手くいったんですね?」

ニノが片頬上げて、ニヤッと笑う。

俺らは顔を見合わせ、頭を掻きながらうなずく。

「なんだ、上手くいっちゃったのか。つまんねぇの。」

松潤が、笑いながら口を尖らす。

「翔ちゃん、よかったね。でも……俺、諦め悪いから。

 頑張るから、見ててね!」

「え~、しつこい男は嫌われるよ?」

ニノが不満そうに口をへの字にする。

「諦めるのがきらいなんです!」

「じゃ、俺、相葉さんが泣いて戻ってきても追い返すよ?」

「え……頭撫でてくれないの?」

「振った相手に甘えんな!」

「え~、ニノ~っ。」

相葉君とニノがじゃれ始め、松潤が智君の前に立つ。

「ちゃんと話せた?」

「ん……。」

智君が複雑そうに笑う。

「ごめん、松潤……。」

見上げる智君の頭を松潤が抱えるように撫でる。

「リーダーの辛そうに笑うの見るよりずっといいよ。」

「松潤……。」

今、若干涙腺弱まってる智君の瞳が潤む。

「翔さん。」

松潤が俺の方に向き直る。

「リーダー……泣かせたら許さないからね?」

「お、おぅ、わかってる。」

「変なストーカーからもちゃんと守ってよ?」

「……ストーカー?」

智君を見ると、智君が少し困った顔をする。

「前にリーダーが話してくれたでしょ?張られてるって。

 あれ、マスコミじゃなく、ストーカーっぽいんだよ。」

……確かに、家を探り当てて張られてたら、一般人相手ならストーカー……。

智君、そんな危険な状況だったの~!?

ガチャッと、いきなりドアが開く。

「準備できました!お願いします!」

スタッフが勢いよく言って、俺らを誘導する。

ストーカー?

マスコミでも困るけど、マスコミとは危険度が違う。

智君、そんな話、してなかったじゃない!

智君は松潤と何か話しながら、部屋を出る。

気になるけど……俺も急がないと!

小走りでニノと相葉君に並ぶ。

「あのごまかし方、ニノ発案?」

「そうですよ。いいごまかし方でしょ?」

ニノがウィンクしてくる。

「もし俺が……智君捕まえられなかったら、どうしようと思ってたの?」

「そしたら……。」

ニノがニヤッと笑う。

「下剤飲んで苦しんでもらえば、嘘にならないかなって。」

首をクイッと曲げて、アイドルスマイルで笑うニノ。

ニノ~っ。

俺、これでもあなたと同じ、アイドルなんですけど!

臭いイメージついたアイドルなんて、聞いたことないんですけど~?



押して始まった収録もなんとか終り……。

もちろん、始まる前にスタッフには頭を下げたよ?

中には俺がトイレだって聞いてる人もいて……。

「こればっかりはどうしょうもないよ。」

と肩を叩かれたり、

「そろそろ櫻井さんも肉より魚って歳かな?」

と笑われたり。

いいさ、そんなの!

なんと言われようと、智君が戻って来てくれるなら!

ストーカーなんて、俺が追い返してやる!

ウチのマンションの防犯設備はバッチリだし、マネージャーと事務所にも話して、

できるだけスケジュール合わせて……。

俺がストーカー対策を考えながら楽屋に戻ると、

先に戻ってたニノと相葉君が、智君を囲んでる。

「マジ?ストーカー?」

「ファンじゃないの?」

困った顔の智君が、余計なこと言うからって感じで松潤を睨む。

「こういうのはみんな知ってた方が対策できるじゃん?」

松潤は笑いながら、でも目は真剣に返事する。

「もう、その件は大丈夫だから。」

智君が帰りの支度をしながら、二人を宥める。

「え?大丈夫ってどういう意味?」

「もういなくなったってこと?」

「まぁ、そんなようなもん。」

智君が鞄を肩に掛ける。

「その確証はあるの?ちょっと姿を見せないだけかもしれないよ?」

「そうだよ~。用心しすぎることはないよ?」

ニノと相葉君はさらに続ける。

「もっと危ないこと考えて準備してるのかもよ?」

「そうそう!きっと部屋中写真だらけでさ?」

「赤い蝋燭とか点けちゃって!」

「ゴミ持って帰ったりとか。」

「リーダーの写真、舐めたりとか。」

それはストーカーと言うより変態……。

「もう大丈夫。智君が俺んちに戻ってくれば、

いくらストーカーだって何もできないでしょ?」

俺がエスカレートする二人を諫めるように言うと、智君がふんわり笑う。

「俺、翔君ちには行かねぇよ?」

え?なんで?

戻って来てくれないの?

「どうして……?まさか、俺を危険な目に合わせない為……?」

それじゃ、まだストーカー、続いてるってことじゃん!

「ダメだ。智君にはウチに来てもらう。

 そんな危ない家に一人でいさせるわけにはいかないよ!」

「そうだよリーダー。例え翔さんでもいないよりはずっとマシ!」

ニノの言葉に相葉君と松潤もうなずく。

って、そりゃ、あんまり役に立てるとは思わないけど……。

意外と頼りになる男よ?俺!

それより何より、一人じゃない方が相手も手を出しにくいし!

みんなで智君を見ると、智君は溜め息と共に首を振った。










関連記事
スポンサーサイト



総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Baby Blue(いちご)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
【ワイルドアットハート 26】へ  【ワイルドアットハート 28】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ワイルドアットハート 26】へ
  • 【ワイルドアットハート 28】へ