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ワイルドアットハート(やま)

ワイルドアットハート 25

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急いで楽屋に戻ると、楽屋にいたのは相葉君一人。

「おはよ。みんなまだ来てないの~?」

相葉君がいつもの笑顔で笑う。

「智君は?まだ?」

「まだじゃない?」

俺の勢いに怪訝そうな相葉君。

「そっか……。」

せっかくついた勢いを、どうしていいかわからず、ドカッと椅子に座る。

早く来い!智君!

すると、はかったようにドアが開く。

「おはよ……。」

入って来たのは智君で。

俺はガッと立ち上がり、ズンズンと智君に歩み寄る。

「智君!」

びっくりして体を引く智君。

その手をぎゅっと握ろうとして避けられる。

「話がある。来て。」

「やだ。」

間髪入れず、答える智君が一歩退く。

逃がさない!

ズンっと前に出る俺。

「どうしても、聞いて欲しいんだ。」

「いやだっ!」

智君が身を翻し、部屋を出る。

「智君っ!」

智君を追って走り出そうとする俺を、相葉君が呼び留める。

「翔ちゃん!始まっちゃうよ!二人もいなかったら……。」

「ごめん、俺……。」

振り返ると、俺を見た相葉君がしょうがないなぁって顔で笑う。

「いいよ、こっちはなんとかする。追い掛けたいんでしょ?」

俺は力強くうなずく。

「あ~あ、相葉さんはほんとお人よし。」

戻って来たニノが、両手を頭の後ろで組んでニヤッと笑う。

「早く行けったら。リーダー見失っちゃうよ?

 こっちは俺らでごまかしとくから。」

「ニノ……。」

二人が並んで笑う。

「なんだよ、ニノだってお人よしじゃん。」

「相葉さんのがうつったんでしょ?」

ニノ……相葉君……マジ、でっかい感謝!

「ほんと、ごめんっ!」

小さく頭を下げ、走って部屋を出る。

「早く早く!」

「戻って来たら、1週間分の宅配、翔さんに付けとくから!」

1週間だろうが、1ヶ月だろうがいくらでも付けろ!

心の中で叫んで、エレベーターホールでエレベ―ターを待つ。

ここは6階。

2台あるエレベーターは、3階へ下りるのと、4階へ上るのと。

智君はエレベーターに乗ってる?

どこへ?

外?

階段を使おうか迷って、エレベーターを待つ。

6階のランプが点いて、矢印が下を向く。

開いたエレベーターに勢い込んで飛び乗った。

ドンッと。

誰かにぶつかって、おでこを撫でる。

「痛っ。」

同じくおでこを押さえてるのは松潤。

「え?翔さん?」

「智君は?見なかった?」

「え?ああ、なんか急いで出てったけど。」

「出てったって、どっち?外?」

「うん。」

松潤が不審そうに俺を見る。

「ごめん!」

俺は松潤を押し出し、閉まるボタンを押す。

エレベーターのドアが閉まる。

「え?ちょっと、翔さん?」

「急いでるんだ!話は後で!」

何かに気づいたような松潤が、閉まるドアの間から笑ってるのが見える。

「やっと動いたか!頭いいのにほんとバカなんだから。」

チンとドアが閉まって動き出す。

タコだのバカだの……ほんと、いい奴ら!

焦る気持ちにエレベーターは遅い。

どこにも止まるなと念じながら、1階に着く。

ドアが開いた瞬間、走り出す。

受付の前を抜け、外に向かって走り続ける。

智君は?智君はどこ?

周りを見回しても智君の姿はない。

こうなったら勘が頼り。

絶対智君を見つけ出す!

会って、話を聞いてもらわないことには、何も先に進まない。

タコだバカだと罵ってくれて構わない。

でも!ちゃんと伝えなきゃ。

ううん、伝えたい!

どっちだ?

ええいっ!右だ!

俺は右に向かって走り出す。

俺に気付いた人が振り返る。

「あれ、櫻井翔じゃね?」

「まさか。櫻井なら車でしょ?」

「ロケ?」

「カメラどこ~?」

そんな会話を振り切って、走り続ける。

こめかみを汗が伝う。

心臓がバクバク音を立てる。

足が重い。

側溝に躓いて転びそうになる。

「うわっ……ってってって。」

片足で踏ん張って、なんとか転ぶのは堪えたけど、

靴の底がベロッと剥ける。

「え?あれ?」

走ろうとすると、靴底がパカパカする。

これじゃ走れない!

仕方なく、片足だけ靴を脱ぎ、走り続ける。

櫻井翔が片足靴下で、はぁはぁ言いながら走ってる姿なんて、滑稽だろうけど、

そんなこと気にしてる余裕はない。

とにかく、智君を見つけ出さないと!

信号を待つのももどかしく、走れる方に曲がる。

智君。

智君。

智君、どこ~っ!

二つ目の信号を曲がると、トボトボ歩く猫背が見える。

あれは……間違いない。

智君だ!

「さ、智君っ!」

智君は道の向こう側。

俺らの間を車が行き来する。

「智君っ!」

声に気付いた智君が振り返る。

俺を見つけ、一瞬びっくりして、すぐに走りだそうとする。

「待って!逃げないで!」

智君は困ったように首を傾げ、その場に立ち止まる。

「俺っ!智君のことがっ!」

ブォォォォと車が通り過ぎる。

「え?何?」

「お・れ!さ・と・し・くん・の・こ・と!」

大きな声で叫ぶ。

喉がつぶれちゃうんじゃってくらい、大きな声で。

「え?なん…言っ…の?……君?」

智君の声もとぎれとぎれにしか聞こえない。

俺はガードレールを飛び越え、信号で車が止まったのを見計らって、

道の向こうへ走る。

智君のいる、向こう側。

あっちの道へ。










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