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ワイルドアットハート(やま)

ワイルドアットハート 3

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「智君、用意できた~?」

洗面所で、髭を確認しながら声を掛ける。

「うん、できた~。」

智君が返事をしながら洗面所を覗きに来る。

ドアから、顔だけ出した智君がニコッと笑う。

なんか……照れる。

照れる……のは、俺だけ?

「今日は何時くらいまでかかるかなぁ。」

智君が靴を履きながら聞いてくる。

「順調にいけば、そんなに遅くならないんじゃない?

 収録の後、車回しとくから。」

今日は俺達の番組収録。

2本撮りだから、そんなに遅くはならないはず……。

「ん~、わかった。」

靴を履き、一緒に玄関を出る俺達。

やっぱ、新鮮!

エレベーターで地階に下りると、迎えの車が待ってる。

二人で乗り込んで……。

わざわざ離れて座るのもあれなんで、隣に座ると、智君がいつものように目を閉じた。

「帰りも、一緒に帰るから。」

運転席のマネージャーに声を掛け、隣の智君をチラッと見る。

目を閉じた智君は、もうすでに寝入ってる。

いつもはあんまり見ることのない智君の睫毛が、車の振動で揺れる。

う~ん、やっぱり新鮮!



収録も順調に終り、楽屋に戻ると、松本が智君を呼び留める。

「リーダー、今度のツアーなんだけど……。」

松本はいつでもライブのことを考えてくれてる。

こんなのがやってみたい、あんなのはどうかな?

そういう話をよくメンバーに相談する。

特に智君に。

「ん~?」

智君が急ぐ風でもなく振り返り、松本が掛け寄る。

「アルバムも決まってないから、どうなるかわかんないんだけど……。」

キラッキラの松本が、瞳をキラキラさせて智君を見つめる。

さすがアイドル。

最近はとみに可愛さが増している。

肩の力が抜けて、いい感じに自然に笑う。

俺も智君も、一番年下の松本のこの笑顔に弱い。

突っ張ってた時期も見てるからかな?

年の近い可愛い弟が、「お兄ちゃん、お兄ちゃん!」と寄ってくれば、

俺らだって無碍(むげ)にできない。

ニノと相葉君とも、ちょっと違うこの感じ。

当然、智君も同じで、ニコニコしながら松本の話を聞いている。

「……っての、やってみたいんだけど、どう思う?」

「いいんじゃない?」

ほら、智君の笑顔も優しい。

俺は着替えをしながら、二人の様子をチラチラ見る。

ニノは二人の話を聞きつつも、そそくさと帰る。

いつも通り、速攻で帰って行くニノは、ある意味尊敬。

相葉君も、用事があるのか、スマホを気にしながら、俺の後ろを通り過ぎる。

「じゃ、お疲れ~。」

「お疲れさん。」

告白されてから、意識してるのは俺だけか?

全く普段と変わらない相葉君に、こっちがビビる。

あれ、いったいなんだったの?

もちろん、だから付き合ってって言われても困るけど……。

楽屋のドアに手を掛けた相葉君が振り返る。

「あ、翔ちゃん、来週の水曜ってなんか予定ある?」

「来週?なんで?」

手帳を開くまでもなく、スケジュールは頭に入ってる。

水曜は時間が合ったら、友達と飲みに行く約束をしている。

こんな仕事だから、予定は未定だけど。

「舞台、見に行くんだけど、翔ちゃんも行きたいかなと思って。」

「舞台?」

「うん、後輩の。」

「チケット取れんの?」

「2枚あるから。」

相葉君はいつもと変わりなく、行けたら行こうよって感じで笑う。

そうだな。

最近、後輩の、観に行ってないもんな。

行っとこうか……。

「スケジュール、調整してみる。行けそうだったら連絡する。」

「わかった。じゃ、お先~。」

相葉君が笑顔を残して帰って行く。

なんか、俺も前と変わらない感じで答えちゃったけど……、よかったのか?

帰り支度を終え、智君を見ると、まだ松本と話し込んでる。

どうしようか?

取りあえず、水曜日の件、連絡してみるか。

手帳とスマホを取り出すと、智君が俺を見てることに気付く。

「翔君、先帰っていいよ。もうちょっとかかりそう。」

隣の松本も振り返って…….。

なんかちょっと嬉しそうなのは、気のせい?

「わかった。先、帰ってるわ。飯、炊いとく?」

松本に対抗するわけじゃないけど……俺も、俺ら感を出してみる。

俺ら、一緒のとこに帰る仲だから!

ご飯も一緒に食べるから!

「飯炊いても翔君、作れないじゃん。」

智君がおかしそうに笑う。

「作れないから……早く帰って来て。」

わざとふざけてそう言うと、智君がプッと吹いた。

「わかったわかった。でも、今日は適当に食べて。

 どうせ、飲んで寝るだけなんだから。」

ま、確かにそうなんですけど。

「翔さん、リーダーにお世話されっぱなし?」

松本がニヤニヤと笑う。

「リーダー、料理上手いもんね。前に作ってくれた、煮物も旨かったし。」

え?お前、智君の手料理食べたことあんの?

「意外と綺麗好きだし。」

「意外か?」

「うん、そういうの、どうでもよさそうに見えるもん。」

「そんなことないぞ。」

「でも、風呂入るのとか、めんどくさがるじゃん。」

「風呂、嫌いなんだよ。のぼせるから。」

なんだ?なんなんだ?

この一緒に住んでたことあります的な雰囲気。

「ちゃんとあったまって、疲れ取らなきゃダメだよ。

 もうおっさんなんだから。」

松本がクスクス笑う。

「お前だってあんま変わんねぇだろ。」

「俺まだアラサー。」

智君が、ん?と考えるように視線を上に向ける。

松本は誕生日来てないから、34。

アラサー。

智君は37。

がっつりアラフォー。

そう言えば、こういうのって、四捨五入でいいんだよね?

「うるせぇ。同じ三十代!三十路だろ!」

智君、厳密には三十路は30歳。

三十代のことではありません。

笑い合う二人を見て、俺は荷物を肩から下げる。

「早く帰るから。」

智君が少し項垂れ気味の俺に向かってそう言って、ニコッと笑う。

「え?今晩一晩、一緒に考えようよ。」

松本がニヤニヤしながら俺を見る。

なんだよ、その顔は!

「ふざけんな。そんなに俺が持つはずねぇだろ?もうすでに眠いわ。」

智君もクスクス笑って眠そうに目を擦る。

あ……眠いのは、朝ご飯作ったりしたから?

「じゃ、少しリーダー借りるね。早めに帰すから。」

「本当に早めに帰せよ?」

「わかってる。」

松本が、片目をつぶってニヤッと笑う。

「大丈夫。すぐ帰るよ。」

智君もそう言って、バイバイと片手を上げる。

本当に早く帰ってくるかな?

アイドル業は体が資本!

智君がいつも言ってることだよ!

健康第一!

早く帰って……来るよね?










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