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「短編」
短編(いろいろ)

トビラ ④

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俺は、小屋に行くたび、智を求めた。

猿に自慰を教えると、やり続けると言うのと同じ……。

だけど、回数を重ねれば、例え中学生だって、上達はする。

「ここ?……こう?」

「あっ……ぁあっ、ダメ……しょ…くっ……おねが……。」

「綺麗だよ……。智は本当に……綺麗……。」

じりじり焦らすと、智の妖艶さが増す。

焦らせば焦らすほど、最後、放たれる時の智のなんとも言えない顔。

その顔だけでもイケそうなほど、俺は智に溺れていた。

智も……。

智の方が力は強いのに、決して抗ったりしないのは、

智も俺を求めてるからだと、そう信じて疑わなかった。

けれど、智は妖艶になればなるほど、この小屋に来なくなった。

あれ?今日は来ない……?

体を重ねた日以降、ほぼ毎日来てたのに、

そう思う日が続き、3日後にやってきた智に飛びつくようにキスをする。

「ん、んっ、しょ…く……。」

胸の辺りのボタンだけ外し、指先で肌を撫でる。

「んっあ……。」

上気し始めた智の顔は嬉しそう。

決して、嫌そうではない。

俺とのセックスが嫌で来なくなったわけではなさそうだ。

ならなぜ来ない?

溜まったものを押し付けるように、激しく腰を振る。

「しょっ……ダメっ…もた……。」

智はすぐに最後の声を上げ、その顔で、すぐに俺もイッた。

昂るものを放出したせいか、少し落ち着いた俺が俺に言い聞かせる。

大丈夫。

智は俺のことも、俺との行為にも満足してる。

抱きしめた腕の中で、智がふっと微笑んだ。

でも……智の足はどんどん遠のいて行く。

時々、智を責めてしまうくらいに。



久しぶりに会えたその日も、俺と智は体を交わらせ、

毛皮の上で、半裸の体を寄り添わせていた。

「今日の智……すごく綺麗だった。」

細い腕で智を抱き寄せる。

成長期とは言え、まだまだ智より小さい。

筋肉が……もっとあれば……。

そう思いながら、智を抱きしめる。

智は黙って、俺の胸に頬を寄せる。

掛けてある、ブランケットに埋もれる智の動きは緩慢。

智の髪を撫で上げ、見つめる。

「疲れた?少し寝るといいよ。見てるから……。」

智が気だるげに視線を上げる。

「大丈夫。」

笑う智の顔に……翳りを感じて、頬に手を当てる。

智はその手にそっと唇を当て、そのまましゃべり始める。

「俺……留学する。」

「……留学?」

驚いて智を見つめると、智の目は俺を見ているのに、

ずっと遠くを見ているようで……。

「どうして……?」

「もっと……絵の勉強がしたくて……。」

「そ、そっか。いつ……帰ってくるの?」

留学というワードだけで動揺していた。

少しの間でも……智と離れるなんて我慢できない。

でも……智の為に我慢しなければ……そう思ったのに。

「帰ってくるか……わからない。」

「え……?」

俺は智を見つめる。

智の目は、遠くを見つめたままで……。

「それって……どういうこと?」

智は俺から視線を逸らし、睫毛を伏せる。

「言葉通り……。」

「うそだっ!」

俺は智の顔を両手で挟む。

「絵の勉強ならここでもできる!

 ここで出来ないなら、隣町まで行けば……。」

智はゆっくり首を振る。

「いいの?智はいいの?俺と……離れ離れになっても……。」

両手で智の顔をぎゅっと掴む。

智は目を伏せ、赤い唇がわずかに開く。

「……決めたんだ。」

「智っ!」

俺は思いっきり唇を押し当てる。

智の唇を割り、舌を忍び込ませ、絡めとる。

「んんっ……しょ……。」

嫌がる智の両頬を固定させ、唾液を送り込む。

「ん、んんっ……。」

蹂躙するようなキスを続け、それでも抵抗を続ける智に……。

ムカついて、唇に噛みついた。

「んっ……しょ…ぉ……。」

唇から、ほんの1センチほど垂れた赤い筋。

「智は俺から離れたいの?俺と離れて……バラバラで……。

 耐えられる?今みたいに会えなくなるんだよ?

 そんなの嫌だっ!」

「翔君……。」

智と会えなくなるなんて、考えることもできなかった。

智のいない生活は、悍(おぞ)ましさしか感じられない。

三日会えないだけで狂いそうになるのに、ずっと?

俺にとって智は全てで、智にとってもそうだと思っていた。

でも、現実は違う……?

「行かせない……。智をどこにも行かせない!」

俺は自分の服と鞄を掴むと、小屋の扉まで走って行く。

「翔君っ!」

智は上半身を起こし、その頬を涙が一筋流れる。

普段、外してある南京錠は、入口脇に置いてある。

それも掴んで、扉を開ける。

「智は俺のもの!一生、俺のものだから!」

扉を閉め、ガシャッと南京錠を掛ける。

その重たい音は、この扉は永遠に開かないと、

俺を安心させると同時に、恐怖も植え付ける。

南京錠の鍵が、どこにあるのかわからない。

それでもよかった。

智さえ、どこにも行かないなら!

「翔君っ!!」

小屋の中から智の叫ぶ声が聞こえる。

耳にも鍵を掛け、手早く服を着、振り返ることなく走った。

どこをどう通ったのかわからない。

ただ無我夢中だった。



その後、一度も小屋には行っていない。

怖くて行けなかった。

智が逃げたと知るのも嫌だったし、そのままそこで……。

それを考えるのも怖かった。

智が、小屋から逃げられたのか、そのまま小屋の中にいたのか、

それを知る術は、当時の俺には何もなかった。










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