Sunshine

Sunshine (24) -ふたりのカタチ side story -

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その次の日、虎次郎も姿を見せなかった。

その次の次の日も。

虎次郎も来なくなっちゃったのかと寂しくなっていたら、三日後の晩……。

おいらとショウ君が夕飯を食べていると、ショウ君が、ん?と顔を上げる。

「どうしたの?」

「ノアの鳴き声……聞こえなかった?」

「ノア?」

猫の鳴き声……?

二人でシーンと耳を澄ませる。

確かに聞こえてくる。

小さな小さな鳴き声。

二人一緒に立ち上がり、リビングのカーテンをガバッと開ける。

リビングの明りが庭を明るく照らすと……。

庭いっぱいの猫!

隣との境の塀の上にも、虎次郎がやって来る生垣の間にも!

何匹いるんだろ?

わかんないくらいいっぱいの猫!

その一番前に座っているのは白と黒の子猫。

「ノア……?ブラン?」

急いで窓を開け、声を掛ける。

ノアとブランが、テトテトとおいら達の前にやってくる。

「ショウ君……。」

見上げると、ショウ君も驚いて目をキョロキョロさせてる。

ノアとブランがおいらの足元目がけてジャンプする。

それを掬い取り、抱きあげる。

「ノア!ブラン!」

二匹を両手に抱きしめ、頬ずりすると、ノアとブランがペロペロおいらの頬を舐める。

ショウ君も嬉しそうにノアとブランの頭を撫でる。

「ちゃんと謝れたんだね?」

ノアがミャアと鳴く。

「話、聞いてくれたでしょ?」

今度はブランがニャアと鳴く。

「よかったね。」

ぎゅっとノアとブランを抱きしめていると、

「ミャ~ゴ!」

と、低い声が響き渡る。

ノアとブランもピクッと顔を庭に向ける。

庭の真ん中、いつも虎次郎がいるところよりちょっと手前に、

明らかに他の猫と違う、なんだろ?威厳に満ちた猫……?

少し大きな白い猫と、黒い猫。

毛の長い、青い目の白猫と、艶々の黒毛が輝く、シャープな筋肉質な猫。

もう一度、黒猫が鳴くと、ノアとブランがおいらの腕から飛び降りる。

「ノア!ブラン!」

ノアとブランは白猫と黒猫の間に戻って行く。

「ママンとパパ?」

返事するようにノアが鳴いて、ノアが黒猫、ブランが白猫に頭を擦りつける。

「よかったね。仲直りできて。」

ショウ君の腕が、おいらの肩を抱く。

「こんなにどこにいたんだか……。

 ノアとブランは猫界のロイヤルプリンスなのか?」

ショウ君が楽しそうに笑う。

「お礼に来てくれたの?」

庭に向かって声を掛ける。

猫だから、返事してくれたわけじゃないけど、

きっと、子供達がお世話になりましたって、ママンとパパが挨拶に来てくれたんだね。

「またおいで!いつでも!」

ノアとブランがミャアと鳴き、黒猫がミャ~ゴと鳴くと、猫たちがざわざわと戻って行く。

塀から飛び降り、生垣を抜け……。

大移動の最中、シャム猫みたいな猫が、おいら達の方にやってくる。

おいらがしゃがんで近寄ろうとすると、ニャ~!と黒猫がキバを剥く。

仕方なさそうに戻って行くシャム猫。

「ママンとパパも、たまには遊びに来て。おいら、煮干し用意して待ってるから!」

白猫と黒猫が……笑ったような気がした。

あの二匹には煮干しじゃダメ?

もっと高級なエサの方がいいかな?

最高級のサバ節とか?

白猫と黒猫にじゃれるようにノアとブランも帰って行く。

「またね!」

ノアとブランの鳴き声が、誰もいなくなった庭に響いて……。

ショウ君がおいらをギュッと抱きしめる。

「よかったな?ちゃんと帰れたみたいで。」

「うん……。」

最後に、みんないなくなったのを確認するように、虎次郎がのっそのっそとやってくる。

「虎次郎!」

「あれが虎次郎?」

「うん。」

虎次郎は庭を見回し、大きなお尻をゆっくり振って生垣の間を戻って行く。

ガサッと生垣が音を立て、シーンと静まり返る。

おいらとショウ君も、にっこり笑って窓を閉めた。



それから3日経って、庭に虎次郎が姿を現した。

「虎次郎!」

いつものように、のっそのっそと庭の真ん中までやってくる。

水と煮干しを出してやると、嬉しそうにするでもなく、

やっぱり、のっそのっそと近づいてくる。

「よかった。虎次郎も来なくなっちゃうのかと心配したよ。」

おいらの手から煮干しを取り、庭の真ん中に戻って行く。

「ありがとね。二人を連れ帰ってくれて。」

前足を使って、上手に煮干しを食べる虎次郎を見て、おいらも庭に足を伸ばす。

温かい太陽。

気持ちいい風。

前と同じ日常。

「ノアとブラン、またパパとケンカしてない?」

虎次郎が答えてくれるわけもなく。

おいらは独り言のように続ける。

「ノアもブランも……ママンはもちろん……パパが大好きだからね。

 だからケンカしちゃうんだよね。」

煮干しを食べ終わった虎次郎が、目を細めて寝そべる。

「おいら、気付いてたよ。

 黒猫の後ろ髪、ピョコンと跳ねてたの。」

虎次郎が、少しだけ片目を開ける。

「また来てくれるといいな……。

 たまになら……、虎次郎が一緒なら怒られないでしょ?」

虎次郎はめんどくさそうに前足で顔を隠す。

もう、寝かせてくれよと言ってるみたいで、おいらはクスッと笑う。

風に乗ってハーブの香が漂う。

ミニトマトの葉が揺れる。

もうすぐ花が咲くかな?

今日もおいらは幸せです。










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