Sunshine

Sunshine ⑫ -ふたりのカタチ side story -

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遠くで目的の駅名を言っていて飛び起きる。

ガタッと膝の上の籠が揺れ、中でノアがビクッとしたのがわかる。

「ごめんよ~、大丈夫?」

そっと中を覗くと、円い目をパチクリしておいらを見上げるノア。

「びっくりさせちゃったね。ごめんね。」

そっとつぶやいて、籠を閉める。

周りを見回してみると、見た記憶のあるのは主婦の三人連れだけ。

他の人は降りちゃったのかな?

だいぶ寝てた?

表示盤には目的の駅名が光ってる。

「あ、次。」

おいらは電車が止まるのを待って立ち上がる。

降りたのは小さな駅。

駅員さんが一人、改札にいるだけ。

駅舎も古くて、何もないけど、なんか可愛い。

ここからは、マー君から送ってもらった地図が頼り。

なんでも屋さんは絵も上手みたいで、手書きの地図が送られて来た。

駅からはそう複雑な道じゃない。

坂を上っていけばすぐ。

さ、ノア、もうすぐブランに会えるよ。

不思議とおいらもあの猫がブランだと思ってる。

……そう言えばショウ君、おいらの夢の話、疑うことなく聞いてくれたけど……。

考えてみたら不思議な話。

猫が夢の中で、人間になって話してくれるなんて。

どうして信じられたんだろ?

おいらに話を合わせてるだけかな?

道は緩やかな坂道。

陽ざしは暖かいし、風が涼しくって気持ちいい~っ。

風に乗って、ほんの少し磯の香りがする。

「ノア、気持ちいい?」

籠の中のノアに話しかける。

一度、ゴソッと動いたけど、鳴き声はしなかった。

ノアもこの空気を感じてる?

「もうすぐだよ。もうすぐブランに会えるね?」

今度は小さくミャアと鳴いた。



そのカフェは坂道の一番上にあった。

大きな樹の扉。

温かそうな雰囲気。

看板にはCafeHappinessの文字。

間違いない。ここだ!

籠に入ってるから……ノアも一緒で大丈夫かな?

重たい扉を思い切って引く。

カランと音がして、いらっしゃいませの声が響く。

扉の中は、優しい、木の温もりを感じさせる内装。

山小屋風?

ログハウスみたいな感じ?

ゆっくり足を踏み入れる。

キョロキョロと見回すと、いたるところに絵と写真が飾ってある。

わぁ~、海の絵だぁ~。

人物画もある!

しかも、上手い!

あ、これ、ショウ君に似てる!

こっちはジュン君?

カズとマー君も!

不思議。

不思議、不思議、不思議!

違う世界のおいら達みたい!

もちろん似てるだけで、みんなじゃないのはわかってる。

やっぱりみんな、ちょっとずつ違う。

でも、おいらのテンションがどんどん上がる。

「いらっしゃいませ。」

店員さんに声をかけられ、振り返る。

おいらは目を瞠る。

すっごいイケメン!

ショウ君そっくり!!

ショウ君をちょっとクールにした感じ?

黒いベストとカフェエプロンが似合ってて、とってもスマート!

「あの……お客様?私の顔に何か……?」

店員さんが不思議そうに首を傾げる。

「あ、いや……その……知り合いに似ていたので……。」

「それは不思議ですね。お客様も私の知り合いにとっても似ていらっしゃいます。」

店員さんがニコッと笑う。

「テーブル席とカウンター席、どちらがよろしいですか?」

店内には何組か、お客さんがいる。

ノアと一緒だから……どっちがいいんだろ?

「あ、あの……この子が一緒なんですけど……。」

おいらは籠を少しだけ開けて店員さんに見せる。

おいら達を見上げるノアが、ミャアと小さく鳴く。

「では窓際の一番端はいかがでしょう?テーブル席です。」

にっこり笑った顔が本当にイケメンで、ポッと頬が染まる。

ダメだ。

おいら、この手の顔に弱い……。

しかたないよね?

ショウ君がこんなカッコで笑ってくれたら、ポッてなっちゃうの。

ショウ君じゃなく、店員さんだけど……。

返事できずにいるおいらを、店員さんは席に案内してくれる。

「まだ小さいですね、何ヶ月ですか?」

「え、あ……。わからないんです。最近拾ったので……。」

席を促され、奥に籠を置く。

「奇遇ですね。ウチにも来たばっかりの子がいるんですよ?」

そうだった!

その子に会いにきたんだ!

籠の中でノアも鳴く。

「真っ白の……?」

「そうです。よくご存じですね?お客様、ウチは初めてでは……。」

「は、初めてです。友達から聞いて……。」

「友達から……?」

おいらはなんて言おうか躊躇う。

夢の話をしても……信じてもらえるとは限らない。

いくらショウ君に似てても。

「その……白い猫に会わせてもらえませんか?」

籠の中で、ノアが暴れる。

「ノア、ダメ。静かに。」

「ノア……?」

「あ、この子の名前です。ノア、ノワール。」

おいらはそっと籠を撫でる。

ダメだよ。暴れちゃ。

ここは家じゃなく、お店なんだから。

「またまた奇遇ですね。ウチに来た子もブランって言うんですよ。

 フランス語で白と黒……対の二匹みたいですね?」

店員さんが、笑いながらメニューを差し出す。

「ブラン……どうしてその名前……?」

「これが不思議なんですけどね、ウチの店長が……夢のお告げを受けたらしくって。」

店員さんが楽しそうに笑う。

「お客様に似ているっていうのは、その店長なんですけどね。」

店員さんがおいらの前にお冷を置く。

「これは……何か、縁があるのかもしれませんね?」










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