Sunshine

Sunshine ⑪ -ふたりのカタチ side story -

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次の日、玄関で有給取るって言い張るショウ君をなんとか宥めて送り出す。

あの調子じゃ……早退して来ちゃうかも?

後で佐々木さんに連絡しとこ……。

洗濯機を回して、リビングを突っ切るおいらの後ろを、ノアが追いかけてくる。

虎次郎はまだ来てない。

窓を全開にすると、朝の涼しい風が流れてくる。

うん、気持ちいい!

空気を思いっきり吸い込んで、空を見上げると、雲一つない快晴~!

ハーブと野菜に水をやり、日向ぼっこでコーヒーを飲む。

「洗濯物干したら、出かけよっか?」

隣のノアに声をかけると、ノアがミャと短く返事した。



ノアにキャリーケースに入ってもらって、電車に乗る。

昼間の電車はガラガラで、すぐに座れて助かる。

乗ってる時間が結構長いけど……、ノアなら大丈夫だよね?

そっと籠の中を覗き見ると、ノアが、おいらを見上げて小さく鳴く。

電車の中では静かにしなくちゃいけないのもわかるみたい。

てか、普段からノアの鳴き声は小さいけど。

座って周りの景色を見回す。

同じ車両に乗ってるのは10人くらい?

サラリーマン風の人や学生っぽい人。

主婦同士でどこかにお出かけ?

そんな人たちがポツポツ。

あ、向いに座るお婆さんがおいらの籠を気にしてる?

この電車は横長の座席だから、だいぶ距離はあるけど、

たまにガサゴソ動くノアに気付いてる?

……そう言えば、京都の電車でも、お婆さんと女の子に出会ったっけ。

不思議なキャンディをもらって……。

あの二人はいったい何だったんだろ?

悪い人には見えなかったんだけどな……。

電車の揺れが心地よくって、なんだかだんだん眠くなる……。

今寝ちゃったら、降りる駅わからなくなっちゃう……。

そう思うのに、瞼が重くて……。

ダメ……寝ちゃダメ……。

いつしか重たい瞼が完全に閉じて……。



真っ白な空間。

見えるのは夢の中のおいら。

あ……おいら寝ちゃったんだ。

夢の中のおいらがブルブルッと頭を振る。

頭をすっきりさせたくて。

そしたら、ドンと何かがぶつかって来る。

見てみると、腰に抱き着くノアで……。

「ノア……。」

「ね?明日にしてよかったでしょ?」

「でも、おいらが連れて帰ってくれば、昨日会えてたかもしれないよ?」

「そうだけど……。僕も行きたかったんだもん。」

おいらはクスッと笑って、ノアの頭を撫でる。

「お出かけしたかったの?」

「うん。いろんなとこ見たいし……。猫って、思ったよりどこにも行けないんだもん。」

「そっか。じゃあ、こんなお出かけも楽しいね?」

「うん!楽しい!」

「おいら、あの白い猫がブランかどうか自信ないのかと思っちゃったよ。」

「え~!!あれは絶対ブラン!僕が間違えるわけない!」

ノアがおいらの腰を抱きながら、ピョンピョン跳ねる。

「んふふ。そうだね。双子だもんね。」

「うん。兄弟の中でも一番仲良し。

 ううん。世界中で一番仲良し!」

「そうなんだ。」

ブランの話を嬉しそうにするノアが可愛くて、おいらの目も細くなる。

「ブランはね、とっても頭が良くて、いろんなことができちゃう。

 僕とは全然違うんだ。」

「自慢の弟なんだね。」

「うん!帝……パパとママンは僕とブランにとっても厳しいんだけど……、

 二人だから大丈夫。」

「厳しいのは、二人を愛してるからだよ。」

おいらはノアの頭を優しく撫でる。

「違うよ。僕のことが嫌いなんだ。僕がダメだから……。」

「ノア……。」

「僕、ずっとあなたと一緒にいたい!ブランと一緒に……ダメ?」

ノアの黒く大きな瞳がおいらを見つめる。

この顔で言われると……いいよって言いたくなる。

でも、それはできない。

きっとパパとママンが心配してる。

ショウ君似のパパが、じっとしてられるわけないよね?

「家出の理由は……それ?」

ノアがコクッとうなずく。

「僕達の……実験…イタズラがバレて……。」

「じゃ、しょうがないじゃん。ちゃんとごめんなさいって謝らないと。」

「謝ったって、帝…パパは聞いてくれないよ。

 大きな体で目を三角にして……大抵の人は怖くてしゃべれなくなっちゃう。」

そんな怖いパパなのか……。

ウチのショウ君とはえらい違いだね?

ショウ君は優しいもん。

でも、目を三角にして怒るってのは……同じ?

同じ顔だと同じように怒るんだ……。

「でも、まずはちゃんと謝らないと。謝って、それからノアの話を聞いてもらおう?

 おいらも一緒に行ってあげるから。」

「本当?」

「うん。」

おいらが笑うと、ノアがぎゅっと抱き着いてくる。

「ありがと……。本当にママンみたい。」

「ママンには……話したの?」

ノアが首を振る。

「ママンは小さな弟たちがいるから忙しいの。

 僕達のめんどうは、教育係と家庭教師の先生が……。」

……ノアはすっごくお金持ちの猫なの?

猫の家庭教師って……?

猫界も結構大変なのかも……?

「もしかして教育係って虎次郎……?」

「違うよ。トラさんは公園で泣いてたら声を掛けてくれただけ。」

そうなのか……。

虎次郎が教育係だったら……すごい猫に育ちそうなのに!!

「あ、そろそろ起きないと……。」

小さなショウ君のノアが、ふっとおいらから離れた。










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