Sunshine

Sunshine ⑩ -ふたりのカタチ side story -

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夢から覚めると、虎次郎はもういなくて。

ノアはおいらの横で眠ってる。

時計の針は、あれから5分くらいしか経ってなくて……。

とりあえず、今日カフェに行くのは止めにした。

ノアに確認してもらうのが間違いないよね?

ショウ君にも話したいし……。

おいらもなぜか、明日の方がいいかなって思った。

ノアを一人にして出かけるのはちょっと怖いってのもある。

まだ子供だし……。

猫だし……。

あ、一人じゃなくて一匹か。

ということは……。

今日、明日の分も仕事しないと!

おいらはアトリエのドアを開けたままにして机に向かう。

なんか、今日はすっごく描けるような気がする!

机のライトを点け、椅子を引いてペンを持つ。

うん、いい感じ!



「ただいま~。」

ショウ君の声に、おいらもノアも玄関に走り出す。

「お帰り~。」

おいらはショウ君の首に抱き着いてお帰りのチュー。

ノアは、足元でおいら達を見上げてミャア~と鳴く。

「今日のお出迎えは待ってましたって感じだね?」

ショウ君が満面の笑顔で、大きな荷物を廊下に置く。

「これ……お土産?」

「そうだよ。」

靴を脱いだショウ君が、ノアを抱きあげ、お土産を持ってリビングに向かう。

ショウ君のお土産は大きな包みと小さな袋が二つ。

「開けていい?」

「いいよ。」

上着を脱ぎながら、ハンガーに手を伸ばすショウ君。

おいらとノアはワクワクしながら包みを開く。

なんかさ、おいらにじゃないのはわかってるんだけど、

包みを開けるのってワクワクするよね?

ノアの目もキラキラしてて、ワクワクしてるのがわかる。

ほら、前足出して、早く早くって急かすし!

バリバリと包みを破ると、中から出て来たのは……。

「これ……。」

「そ、キャリーケース。」

「……キャリーケース?」

おいらの目の前には白い籐で編んだ大きな籠。

持ち手もついて、ショルダーにもなる……?

「これね、猫のベッドにもなるんだって。」

そう言って、ショウ君が籠を横にすると、こっちに大きな穴。

ノアはその籠の匂いを嗅いで、不審そうに中を覗く。

「持ち運べて、出かけた先でベッドにできる優れもの。

 見た目も可愛いし、これ見た瞬間、ノアにはこれだ!って思ったんだよね。」

ショウ君は、時計を外して、ノアとキャリーケースに視線を向ける。

「これで一緒にお出掛けもできる。」

ニコッと笑うショウ君。

あ……これで明日はノアと一緒に電車に乗れる!?

そういうこと?

確かめようとノアを見ると、ノアが恐る恐るキャリーケースに入って行く。

「ノア、気に入った?」

ショウ君が、おいらの隣に座って、キャリーケースを覗き込む。

ソワソワと中の匂いを嗅ぎまくるノア。

そこへ、小さな袋から鼠のおもちゃと羽根の付いたおもちゃを取り出すショウ君。

紐のついた鼠をノアの前に出し、羽根の付いた棒をおいらに持たせる。

「これ?」

「これでたまに遊んであげるといいよって。」

「あ、風間君とこ行ったの?」

「知ってるとこのが安心だから。」

ショウ君がニコッと笑う。

それにしては帰るの早くない?

仕事終わってから行ったら1時間以上かかっちゃう……。

「まさか、仕事中に行った?」

ショウ君をじっと見ると、ショウ君が、ふふんと鼻を鳴らす。

「取引先に行ったついで。」

「ほんとにショウ君は~。」

おいらが頬を膨らませると、それを指先で突っついて、楽しそうに笑う。

「何?ノアにヤキモチ?」

「違うっ!公私混同しないんじゃなかったの?」

「オンとオフのメリハリは付けるけど、行動は合理的な方がいいよね?」

ショウ君の指がおいらの頬を撫でる。

「時間は有効に使わないと。」

……そういうの、屁理屈って言わないの?

おいらは溜め息をついて、羽根のついたおもちゃを見る。

色とりどりの羽根はフワフワで、ノアの黒い体に良く似合う。

「ほら、ノア。」

ノアの前に羽根をだし、ちょっと揺する。

ノアはじっと羽根の先を見て、グッと溜めて、羽根に飛びつく。

その姿の可愛いこと!

思わず頬が緩んで、ショウ君のことなんか忘れちゃう!

「ほら、ノア、こっちこっち。」

今度はショウ君がねずみの紐を引っ張る。

ノアはそれにも飛びついて……でも、寸前で逃げられて、

追いかけてキャリーケースから出てくる。

テーブルの上からラグに、ソファーに、逃げるショウ君ねずみをノアが追いかけて……。

捕まえさせてあげればいいのに、負けず嫌いのショウ君。

相手が子猫でも手を抜かないんだから!

そんな二人が可愛くて、おいらはクスクス笑いながら追いかけっこを眺める。

そう言えば、もう一つ袋……。

残った小さな袋には四角い箱?

「そっちはサトシに。」

おいらに?

箱を開けると、中には……美味しそうなチョコケーキ。

「後で食べよう。」

ショウ君がニコッと笑う。

ショウ君、ちゃんとおいらにもおみやげ買ってきてくれたんだね!

「ノアばっかりだとサトシが不機嫌になっちゃうでしょ?」

そんなことないけど……でも嬉しい!



「で、明日行くの?」

「うん、キャリーケースがあるから、電車で行けるし。」

ベッドの上のおいらは、ショウ君の腕の中。

おいらの腕の中にはノア。

「車、出してあげようか?」

「いいよ~。ショウ君仕事でしょ?」

「全然有給あるよ?」

「でも、突然休んだら周りに迷惑かけちゃ……やんっ。」

ショウ君が、ノアに買って来た羽根でおいらの首筋をくすぐる。

「持ってきたの?」

「これ、サトシにも使えるな。」

ショウ君が羽根の匂いをクンッと嗅ぐ。

「ノアがいるよ。」

「いてもいいよ……。」

ショウ君の唇がおいらの唇に重なって……。

「あ…ふ…ぅん……。」

ショウ君とのキスは、さっき食べたチョコケーキの味がする。

ちゃんと歯磨きしなかったのは……おいら?ショウ君?

舌が絡まり出すと、ノアがピクッと顔を上げる。

おいらはショウ君から唇を離して、ノアの頭を撫でる。

「ほら、寝ないと……。」

鼻の上を撫でると、ノアが眠そうに目を細める。

「今日も……お預け?」

おいらはコクッとうなずく。

だって、見られてると恥ずかしいんだもん。

ノアは小さいショウ君なんだよ!?










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