Sunshine

Sunshine ⑨ -ふたりのカタチ side story -

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携帯を見ると、マー君で。

「もしもし。」

「あ、サトシ?」

「うん、何かわかった?」

「それがさ、ドッグランの飼い主仲間に聞いてみたんだけど、

 あそこは犬ばっかりで……。」

そりゃそうだよね。ドッグランだもん。

猫を走らせる人は……いないよね?

「風間もお客さんや知り合いに聞いてくれたんだけど、

 手がかりはなさそう。」

「ノアの飼い主も、ブランも?」

「うん、どっちも。」

「そっか……。」

おいらはちょっとがっかりしてノアを見る。

ノアは首を傾げたまま大きな瞳でおいらを見つめてる。

心配してる?

その奥、庭の真ん中で、ズデンと横になって……いつも通りの日向ぼっこをしてる虎次郎。

ま、そんなもんだよね。

虎次郎の目が光った気がしたから、一瞬、なんか期待しちゃったけど。

「ありがと、マー君。」

「ごめんね。役に立たなくて。」

マー君の声がちょっと落ちる。

「そんなことないよ。ありがとう。」

「なんでも屋さんとも話したんだけどさぁ。」

そうだった!

そっちもあった!

「なんて?」

「そういう依頼はないって。」

そうだよね。

そんなに簡単に見つかるわけないよね。

「でも、たまに行くカフェで昨日、白い猫を見かけたって。」

「え?」

おいらは携帯を握り直す。

「朝、店を開けようとしたら、ドアの前にいたんだって。

 食べ物屋だし、どうしようかと思ったんだけど、

 店長がいいよ、飼い主が見つかるまでって言ってくれたらしくって。」

「じゃ、そのカフェにいるの?」

「白い猫がね?でも、そこからだいぶ遠いよ?」

「いい、行く!少しでも手がかりがあるなら!」

「ブランちゃんって子猫でしょ?そんな遠くに行けるかなぁ。」

「何かの拍子にトラックに乗っちゃったりとか、あるかもしんないじゃん!」

ん~と、マー君が考えるような間が開く。

「待って、なんでも屋さん、あんまり可愛いから写メったんだって。

 それ、今から送るから。一旦、電話切るね?」

マー君がそう言うと、すぐにツーツーって音がして……。

マー君、おいらその写真見ても、ブランかどうかわかんないよ?

見たことないんだもん。

でも……ノアならわかる?

ノアの方を見ると、ノアがテトテトと歩いて来る。

すぐに携帯が震えて、開いてみると画面いっぱいに白い猫の画像が飛び出す。

「うわっ。可愛い。」

映ってるのは毛が長めの白い猫。

瞳が……青い!

おいらはそれをノアに見せてみる。

ノアが前足で画面を擦り始める。

「ね、この子がブラン?」

ノアは、おいらを見上げてミャアと鳴く。

前足で画面を撫で続けるノアを見て、確信する。

きっと、この子がブランだ!

すぐにマー君に電話を掛ける。

「マー君、この子のいるカフェってどこにあるの?」

「え~っとね、海の近く……ちょっと待ってて。メモったから……。」

携帯からガサゴソと音がして、おいらはノアに視線を向ける。

「ノア、この子がブランなら、会えるよ。」

ミャア~とノアが小さなキバを見せて鳴く。

庭で虎次郎がゴロゴロと喉を鳴らす。

今日は虎次郎にも煮干し、大サービスだ!



マー君から聞いた住所は、言ってた通り、だいぶ遠い。

おいらじゃ車は出せないから、電車。

今から行ったら帰って来るのは夕方?

仕事……。

〆切はまだ少し先だけど、同時進行のがあるから……。

いいやっ!

明日、今日の分も頑張る!

まずはブランが先!

でも、電車に乗るのに、ノア……連れて行けるかな?

おいら一人じゃブランかどうかわかんないもんなぁ。

ノアをチラッと見ると、不思議そうに首を傾げ、大きな瞳が一瞬細くなる。

あ……。

庭の陽だまりで虎次郎が大きな欠伸をする。

釣られて、おいらもも大きな欠伸が出て……。

まだ午前中なのに、睡魔が……。

でも、行くなら寝るわけには……。

おいらはフラフラとソファーに沈む。

ちょっとだけ……。

5分……。

5分だけ……。

おいらの瞼は閉じ、ノアがソファーに飛び乗って、おいらの首の辺りで丸くなった。



最近は、昼寝になるとこの景色。

どこだかわからない白い世界。

そこにいるのは、小さなショウ君のノアと夢の中のおいらだけ。

「ブラン!」

ノアが掛け寄って来る。

「あれはブラン!絶対!」

ノアの目が輝いてる。

「そっか。ならおいら一人で行ってきても大丈夫だね?」

「ダメ!僕も行く!」

「でも、ノアは電車に乗れないよ?」

「大丈夫。明日なら僕も行けるって!」

「……明日なら?誰が言ったの?」

ノアが視線を逸らして小さくつぶやく。

「それは……、そんなことはいいから!」

ノアがおいらの両手を握る。

「僕だって今すぐ行きたい!でも明日なら一緒に行ける!」

「今日、行って、おいらが連れて帰ってきてもいいんだよ?」

「……連れて?」

ノアが口を引き結んで、グッと悩んでる。

どっちがいいか考えてる?

今日、おいらが一人で行ってブランを連れて帰ってくれば今日中に会える。

でも、万に一つ、あの白い猫がブランじゃなかったら?

ノアは絶対ブランだって言ってたけど。

携帯画面だから、ちょっと自信がないのかも?

明日なら、ノアが確認できて、ノアを家に一人にしなくて済む……?

なんでだろ?

なんで明日?










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