ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑳-4

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「え……あ、いや、ちょっと……。」

身じろぐマサキに詰め寄るアスカ。

「私じゃ……ダメですか?」

見上げる瞳がウルッと揺れる。

あ~、マサキ、こういうのに弱そう。

アスカ、か弱そうだもんなぁ。

か弱そうなものを守りたいと思うのはオスの性(さが)。

サトシも小さくて可愛くて、綺麗で、カッコ良くて、意地悪で、上から目線で、

守ってあげたくなるのはオスの性!

「お前の飼い主、マサキを強引に……。」

ナナがクスッと笑う。

「アスカね、割といいメスよ。」

「あれのどこが!?」

ナナは小さく鳴いて、体を伏せる。

「黙って見てて。人間のことは人間に任せるのが一番。」

笑ったナナの顔が……大人びててドキッとする。

「ダメってわけじゃないけど……。」

マサキの声に耳を上げる。

「じゃ……。」

「でも、ごめん……。」

マサキは握られた手をアスカの膝に返す。

「俺、好きな人いるから……。」

「マサキさん……。」

マサキはアスカの胸からサトシを受け取ると、自分の胸にギュッと抱きしめる。

「全然無理なんだけど……、相手にはもう別の人がいてね、

 俺の出る幕はないってわかってるんだけど……。」

マサキ……。

やっぱり人間のサトシじゃないとダメなのか?

サトシに番がいるのがわかってて……。

「それでも、好きなんだよね。」

マサキが笑う。

困ったような、しょうがないと諦めたような、そんな顔で。

「マサキさんを振るような人、見る目ない!」

マサキがまた笑う。

「そんなことないよ。好きな人の相手……めちゃめちゃいい奴だから。」

「マサキさん……。」

「だから……諦めなきゃいけないのはわかってる。

 でもね、気持ちってそんなに簡単じゃないから……。」

マサキは笑いながらサトシの頭に唇を当てる。

サトシは顔を上げ、マサキの顎をペロッと舐める。

「なに?サトシ、慰めてくれてるの?」

サトシはさらにペロペロ舐める。

「ありがとう。」

マサキがチュッとサトシの鼻にキスする。

カズナリもジュンも黙ってマサキを見守る。

みんなわかってる。

マサキの気持ち。

俺もそっとマサキの手の甲を舐める。

大丈夫。

マサキには俺達がいる。

番が見つからなくたって、俺達がマサキを楽しくしてみせる!

「マサキさん……ごめんなさい。」

アスカが突然、頭を下げた。

「え?なんで?ちょ、ちょっとアスカさん?」

頭を下げたまま、アスカが喋り出す。

「ストーカーなんて嘘。マサキさんと話したくて……。

 ドッグランで何度か会って、かっこいいなぁと思ってて……。

 でも、最近はドッグランにも来なくて……。

 どうやったら会えるだろうって考えて……。

 優しそうだから、困ってたらほっとけないだろうなって……。」

「それで生きていたくないなんて電話……。」

アスカがマサキに向き直る。

「私も……マサキさん、想い続けていいですか?」

「えっ!?」

「マサキさんが……好きな人を忘れられるまで……待ちます。」

「えええっ?」

「えええっ?」

マサキの声と俺の驚きの声は一緒。

「で、でも、いつになるかわかんないよ?」

「いいです。待ちます。」

アスカの顔は真剣で……。

ナナを見ると、ナナがニコッと笑う。

「アスカ、一途なの。周りが見えなくなっちゃうくらい。

 遊びとかって無理なんだって。こういうのってフィーリングなのにね?」

ナナがピトッと体を寄せる。

「私達はバッチリ!ね?」

「バ、バッチリ?」

「うん。匂いの相性、バッチリだなって思ってた!」

確かにナナはメスとしては魅力的なんだと思う。

よかったよ~、発情期じゃなくて。

発情期だったら、俺だって、本能に抗えるかどうか……。

チラッとサトシを見ると、サトシが欠伸をしながらマサキの膝で丸くなる。

なんだよ。全然気になってない……。

ナナが俺の耳元ではぁはぁと息を吐く。

「ね?あそぼ!ショウ君、あそぼ!」

ナナの鼻が俺の首周りをなぞる。

「や、やめろって!」

嫌がった俺がマサキとアスカの間に入ると、二人が俺の背中を撫でる。

「ナナ、ショウ君が大好きだから。」

「ショウ、モテモテだね。」

「二人の赤ちゃんなら、きっと可愛い!」

アスカの笑顔がさっきと違ってる。

うん、こっちの方が好感が持てる。

あ……サトシが大人しく抱かれてたのって……。

アスカが本当はそんなに悪いメスじゃないってわかってた?

でもマサキが全く警戒心ないから……。

お、俺だってわかってたよ?

匂いだって、すっげぇ嫌な匂いじゃなかったし。

俺を追って、ナナが二人の間にやってくる。

「ショウくぅ~ん♪」

ナナの甘ったるい声ににじり寄られて……。

体をできるだけ小さくする俺。

誰か、助けてよ~っ!

声にならない心の叫び!

それが聞こえたのか、サトシがニッと笑って俺の背中に飛び乗った。

「サトシ!」

「ショウちゃん、眠い。」

俺とサトシは顔を見合わせ、ソファーを飛び降り、窓に向かう。

窓の下で体を伏せると、いつものように足の間に入り込むサトシ。

俺はサトシの頭の匂いを嗅ぐ。

うん、いつもの匂い。

大好きなサトシの匂い。

「やんっ、可愛い~っ。」

アスカが携帯を取り出し、俺達に向ける。

「写メ、撮っていいですか?」

「いいよ、いいよ。可愛いでしょ~。

 ショウはサトシが大好きだから。

 サトシもね、ショウが大好きなんだよ。」

こっちに来れないナナは面白くなさそう。

なんとか逃げられた~。

「ショウちゃんは、一生おいらのベッドだかんな。」

足の間でサトシが言う。

「も、もちろん。」

ずっとサトシと一緒にいるよ。

例え繁殖させられても、俺が好きなのはサトシだから。

サトシがチラッとナナを見る。

「ショウちゃんも、若いメス犬に鼻の下伸ばしてたね?」

「えっ?」

驚く間もなく、サトシの爪が俺の鼻をひっかく。

「い、痛いよサトシ~。」

「あれ?ひっかかっちゃった?ごめんね~。」

サトシはすまして丸くなる。

「あはは。ああ見えて、サトシはショウが大好きなんだよ。」

言い訳するようにマサキが頭を掻く。

そうだよ。きっとサトシは……俺が大好き。

……と思っておこう。

俺も、サトシの尻に顎を乗せ、瞼を閉じる。

マサキにも……いい番が見つかったってことなのかな……?

ま、……ただの繁殖相手でもいっか。

そこは……俺のことも許してね。

繁殖は、ペットの責務だったりするんだから!

いや……サトシは許してくれそうにない……かも?

それがなぜか嬉しい俺って……どうなの?

「ショウちゃん、変なこと考えてない?」

「考えてないよ。」

「うそつけ。やらしい顔してるっ!」

声と同時に激痛が鼻を走る。

「うっ。」

サトシと一緒にいるってことは……これも一生続くってことだよね?

それが嬉しい俺は……M?










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