ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑳-3

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「少しウチで遊んだら、送ってくよ。」

「ご、ごめんなさい……。」

ナナの飼い主の声は小さい。

見た目も小柄で大人しそう。

髪は茶色いけど、一つにまとめてきちんとしてる感じ。

服装も、マサキや人間のサトシが着る感じじゃなくて……。

フワフワのヒラヒラ。

「気にしなくていいから。」

マサキがいつもの笑顔でナナの飼い主を見守る。

周りがホッと安心する、いつもの笑顔。

ナナの飼い主の頬がポッと染まる。

あ、これ、なんかいい感じなんじゃないの?

サトシに同意を求めたくて、首を伸ばしてサトシを覗くと、

サトシは片耳をピクッと上げただけ。

マサキの将来がかかってるんだぞ!

少しは親身になってやれよ。

……と思ったけど、声には出せず……。

マサキだってさ、いつまでも人間のサトシを追いかけるわけにはいかないんだよ。

人間のサトシには番(つがい)がいる……。

認めたくないけど、人間のサトシがショウのこと思ってるのは……誰にでもわかる。

犬の俺でも。

だから、マサキにも、動物好きのいい相手がいれば……。

ナナの飼い主なら、動物好きはクリアだし。

黙ったままの人間たちに、仕方なく俺が会話の口火を切る。

「お前の飼い主、何かあったの?」

俺に話しかけられて、ナナは喜んで尻尾を振る。

「え~、よくわかんない。でも、突然泣き出して、電話してたから~。」

泣き出して電話?

マサキに?

「なんで泣き出したの?その前に何があった?」

「ああ、心配しなくても大丈夫だと思うよ。泣き真似だもん。」

……泣き真似……?

「ナナ、ショウ君と遊びたい?」

ナナの様子を勘違いしたナナの飼い主が、ナナの首を撫でる。

どこの家でも、飼い主はペットの気持ちがわからない。

「うんうん!遊びたい!私、ショウ君、大好きだもん!」

ナナを見たマサキが笑う。

「いいよ。少し遊んで。走り回っちゃダメだけどね?

 二人とも大きいから。」

「やたっ!」

ナナが嬉しそうに答え、テーブルを回って俺の方に来る。

え?ちょっと待って!

いや、こっち来なくていいから!

ナナは嬉しそうに俺の尻の匂いを嗅ぐ。

「や、やめろよっ。」

「なんで?いつもしてるじゃん。」

「いつもなんてしてないだろ!」

「してるしてる!」

ナナは嫌がる俺をよそに、尻の匂いを嗅ぎ続ける。

「やめろ、ばかっ!くすぐったいし……。」

「既成事実が大事なんだって、アスカが言ってたもん!」

「既成事実……?」

「うん、そうなんだって。家行っちゃえばこっちのもんなんだって。」

え……なんか、言ってる意味よくわかんないし……、

でも……ナナの飼い主、見た目の印象と……違う?

俺がマサキを見ると、マサキはナナの飼い主、アスカの話を聞いてる最中で……。

「……たぶん、ストーカーなんだと……。」

「ストーカー!?すぐ警察に……。」

立ち上がろうとしたマサキの腕をアスカが止める。

「警察は……。」

ゆっくり首を振り、大きな目でマサキを見つめる。

「でも……。」

「いいんです。おおごとにしたくないから……。」

アスカはマサキの膝の上のサトシを撫でる。

「毎日変な手紙が送られてきて……。

 見られてるみたいで……。」

サトシを撫でる手が、スルスルとズレてマサキの手を握る。

「怖くて……。」

マサキのもう片方の手がアスカの手を上から握り締める。

「大丈夫。俺も力になるから。

……やっぱり警察、行った方がいいんじゃない?」

アスカは潤んだ目で首を思いっきり振る。

「大丈夫……。気持ちの……問題だと思うから……。」

「アスカさん……。」

「マサキさんがいてくれれば……。」

アスカがマサキの手を握り返し、下からそっと顔を近づけていく。

これは……チュー……なんじゃないの?

でも、待てよ。

既成事実って……まさか、こういうこと!?

まずい!

マサキが罠にはまるっ!

俺が掛け寄ろうとするより早く、サトシが顔を上げ、鳴き声を上げる。

「世の中、いい人間ばっかじゃないぞ?」

「ん?サトシ、どうした?」

マサキがサトシに顔を寄せる。

これでアスカとの顔の距離は取れたけど……。

アスカを見ると、さっきまでとは似ても似つかない怖い顔で……サトシを睨んでる。

おお~~怖っ!

これが本性か!

「可愛いですね。この猫ちゃん。」

「そうでしょ?俺、この子にぞっこんなの。ね~サトシ!」

マサキがサトシの鼻にチューする。

いつもは嫌がるサトシが、ペロッとマサキの唇を舐める。

「今日はご機嫌だね?」

嬉しそうなマサキがサトシを胸に抱きかかえる。

よしっ。

マサキの胸元でアスカを睨むサトシがいれば……アスカも簡単には近寄れまい。

「私にも抱っこさせてもらっていいですか?」

「いいよ、いいよ。」

マサキがアスカにサトシを差し出す。

サトシは黙ってアスカに抱かれる。

……明らかに気に入ってないアスカに抱かれて全く嫌がらないって……?

サトシらしくない……。

俺が首を捻っていると、ナナがすり寄って来る。

「アスカさぁ、モテるんだよ?見て。人間は乳のでっかいのが好きらしいの。」

言われるままに見てみると……確かにでかそうに見える。

でも、マサキの好みは人間のサトシだからなぁ。

サトシに乳はなかったぞ?

胸元で大人しいサトシの前足を使って、アスカが襟を広げる。

「うふふ。くすぐったい。」

笑いながら胸に視線を促すアスカ。

マサキは……。

ダメじゃん!鼻の下伸びてる!!

マサキもでかい乳には弱いのか!?

「マサキさん……。」

アスカがマサキを見上げる。

「私……マサキさんのことが……。」

鼻の下の伸びたマサキが、えっ?と身を引いた瞬間、

アスカの手がマサキの手を握り締める。

「マサキさんのことが……好きです。」

キターーーー!

直球!

マサキ、変化球より直球に弱そうだよな……。

どうする?マサキ!?

このまま……まさか、既成事実!?










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