ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑳-2

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運動会の惨状を見たマサキが、空笑いしてメス達を玄関で待たせる。

「ショウ、急いで片づけて!」

わかってるよ。

俺はゴミを咥えてはゴミ箱へポイ。

マサキも落ちてるフィギュアや写真立てを拾っては戻していく。

掃除機をかける時間はないから……カズナリの羽も拾えるだけ拾う。

「短時間でよくこれだけ散らかすよなぁ。カズナリの籠には鍵をつけるからね!

 ジュン!お前まで出たの~!お前の網にも鍵付ける!」

あ、ジュンのフンが落ちてたのかな?

ジュンはカズナリと違って羽根がないから……。

マサキの小言を聞きながら、サトシは大きな欠伸をする。

「サトシもちょっとは手伝えよ。」

「めんどくさ~。」

サトシは欠伸で溜まった涙を肉球で撫でる。

「ショウちゃんがおいらに命令するの?

 おいら、ショウちゃんより年上!サトシ君!」

「わ、わかってるよ、サトシ君!」

“君”にわざとアクセントを付けて言うと、サトシが横目で俺を見る。

そんな顔しないでよ~。

わかってるから……。

サトシもカズナリもジュンも……たぶん、メスの存在に気付いてる。

この部屋にメスが来るなんて異例中の異例。

マサキのお母さんだって滅多にこないのに!

「あんたに彼女ができて、突然私が来たら困るでしょ?」

前に来た時、マサキのお母さんが言っていた。

マサキも繁殖期だから、お母さんも心配らしい。

でも、マサキの周りに発情中のメスがいないんだから、

マサキだって発情するわけない。

いたら、いくらマサキだって、家に連れて帰って来るはず。

交尾しなくちゃ始まらない!

……と言うことは、マサキが連れて来たのは……マサキの番(つがい)?

……俺らの飼い主になるかもってこと……?

あらかた片付け終わって、マサキがメスをリビングに招き入れる。

「ごめん、散らかってて。室内で飼うとどうしてもね?」

マサキはキッチンに行って、何やらごそごそ始めてる。

廊下から、メスの声が聞こえてくる。

「気にしないでください……ウチも同じですから……。」

高いけど小さな声。

リビングに入って来た、一人と一匹は……。

あ、知ってるこの匂い。

ドッグランでたまに会う……。

「アスカさん、適当に座ってて。あ、ナナちゃんっ!」

マサキの叫びも空しく、ナナが俺に向かって走って来た。

「ショウくぅ~んっ!」

弾けんばかりに尻尾を振り、俺の首回りの匂いを嗅ぎまくる。

なんとか首を伸ばして逃げるけど、ナナは飛び上がって俺の顎を舐める。

チラッとサトシを見ると……。

全く気にする風もなく、ソファーの上で丸くなってる。

ちょっとは気にしてくれてもいいのに……。

ナナは俺と同じゴールデン。

色もゴールドで並ぶと兄弟みたいとよく言われてた。

ナナの方が若干若いから、メスだけど、勢いが……。

「ショウ君、会いたかった!全然ドッグランに来てくれないんだもん。

 ナナ、ずっと待ってるのに。」

ナナが大きな目と鼻をウルッとさせて俺を見上げる。

待ってなくていいから!とも言えず……。

「ナナ、繁殖するならショウ君って決めてるの!

 ショウ君以外なら全部拒否っちゃう!」

いやいや、好きに繁殖してよ。

なんなら、10匹くらい産んで、肝っ玉母さんみたいになってよ。

俺がナナの勢いにビビり、後退りしながら逃げると、

ナナがじわりじわりと追い詰めてくる。

籠の中でカズナリがケケケと笑う。

水槽の中のジュンが、ガラスに貼りついてこっちを見てる。

お前ら~、楽しんでるだろ?

ナナの勢いは止まらない。

俺はとにかく避難!と、キッチンに向かう。

マサキの後ろなら、さすがにナナも来れないだろ。

「なんだよ、ショウ。あっちでナナと遊んでろよ。」

マサキがお茶を淹れながら、俺を足で押しやろうとする。

させるか!

俺の危機だって、わかってるのか?マサキ!

「なに?そんなに俺の側にいたいの?」

ああ、こんな時、ほんと思う。

どうしてマサキには俺の言葉が通じないんだって!

ナナはキッチンに入りたそうに、リビングとの間でソワソワしてる。

キッチンには入っちゃダメって躾られてんだな。

「ナナ。」

ナナの飼い主がナナを呼んで自分の側に座らせる。

ホッとしてマサキを見上げると、トレイにお茶を乗せたマサキが、

俺を避けてリビングに向かう。

俺ももちろん後に続く。

マサキから離れたら……またナナがやってきそうで……。

「さ、お茶でも飲んで。ちょっと落ち着こうか?」

テーブルにトレイを置き、サトシを抱いたマサキがナナの飼い主の隣に座る。

間は一人分くらい空いてて、飼い主の方に体を向ける。

人間のサトシやカズが来た時とは違う距離感。

この人、本当に番……なの?

俺はナナとは逆側のマサキの下に伏せる。

いつでも逃げられるよう、耳だけちょっと上げ気味で。

「落ち着いてきた?」

マサキがお茶を飲みながら飼い主に聞く。

飼い主もお茶を両手で持ちながら、コクッとうなずく。

サトシはマサキの膝の上で眠ってる。

サトシ……本当に気にならない?










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