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「時計じかけのアンブレラ」
GreenLight(やま)

Green Light ⑮

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ショウが洗い物をしている間、ショウのデータと画面を見比べる。

明らかに6番の女性に対するショウの反応は著しい。

他にも、7番、10番、12番にも反応している。

7番は35歳の男性だ。

普通のサラリーマンじゃなかったか?

ショウの方がスーツが似合うと思って、ほくそ笑んだような気がする。

これは6番の余韻の可能性もあるな。

もう少し間隔を空ける必要があったかもしれない。

10番は45歳男性。漁師。

漁師……ああ、覚えてる。

日焼けした、逞しい男性だ。

背も高かったし、おいらなんか、片手で持ち上げられそうな筋肉がついていた。

おいらは男の見かけよりも職業が気になって、そっちの話を聞きたかったんだが……。

実験中だから、終わったら聞いてみようと思っていたら、

何を勘違いしたのか、男がおいらを思いきり抱きしめた。

そりゃ、すごい力で。

おかげで3秒のキスの間中、苦しさで顔をしかめないではいられなかった。

12番も男性だ。

おいらの好きなミュージカル俳優にちょっと似ているイケメンで、

少しドキッとしたのを覚えている。

ああ、この男性に対してもショウの反応は大きい。

電圧、温度共に大きな波形を描いている。

システムの反応も大きな波を描いていることから、

ショウが確実に何かを捉えたことがわかる。

7番、10番に対しても、6番、12番ほどではないにしても、波形が描き出されている。

ショウは何を捉えたのか?

おいらがモニターとにらめっこしていると、ショウがタオルで手を拭きながら、

キッチンから戻ってきた。

「どうしたんですか、そんな変な顔をして。」

「変?」

「ええ、こんな顔してます。」

ショウはおいらの真似をして、眉間に皺を寄せ、眉毛を上げる。

「そんな顔してるか?」

「してますよ。とても難しい顔をしてます。」

ショウがクスッと笑う。

「そんな顔も可愛いですけど。」

拭いたタオルを丁寧に畳むショウの手は、白く綺麗で……。

「おっさんが可愛いか?」

おいらも笑ってショウに手を伸ばす。

その手に沿うように、ショウの体がおいらの腕の中に入って来る。

「可愛いですよ。サトシは何しても、どんな顔しても可愛い……。」

ショウの唇がおいらの唇に重なる。

唇で唇を捏ね、捩じって、舌を差し込んでくる。

ショウは覚えるのが早い。

キスもどんどん上手くなっていく。

「ん、んぁ…っ……。」

唾液の音に混じらせて吐息を漏らす。

きっと、次回はショウが吐息を漏らす。

ショウの吐息が聞きたい。

艶っぽく、色を含んだ声が……。

そこまで考えて、自分の考えを否定する。

ショウは恋人じゃない。

そんな機能は付けていない。

自分の愚かな考えが恥ずかしくなる。

ばかな。

これじゃ一人でヤッてるのと一緒じゃないか。

ショウがおいらから唇を離す。

プルッとした唇が離れて行くのに寂しさを感じる。

冷たくても甘い、ショウのキス……。

大好きで……可愛いのキス。

キスなど教えるんじゃなかった。

おいらの顔を見て、ショウが悲しそうな顔をする。

「私のキスは……お気に召さないようですね……。」

「そんなことはない。気持ちいいよ。」

おいらが否定しても、ショウは首を横に振る。

「サトシは嘘つきですね。」

「嘘つき?」

「優しい嘘つきです……。」

ショウはおいらの手から離れ、タオルを持つと、キッチンに戻って行こうとする。

おいらはそんなショウの腕を掴む。

「嘘なんかついてない。」

ショウが寂しそうに笑う。

「もう、いいですから。」

おいらの手を払おうとするショウの手を払う。

グッとショウを引き寄せ、もう一度キスをする。

激しく舌を絡ませ、ショウの体をソファーに押し付ける。

「んあっ……サト……。」

ショウの両手の動きを止め、さらに唇を押し付ける。

激しく舌を動かし、されるままのショウの中を吸い上げる。

「ぁんっ……。」

抵抗されないのをいいことに、自分がしたい、本当のキスを続ける。

利己的で、淫らで、凌辱的なキス。

相手の気持ちなど考えない……独りよがりなキス。

「あぁ……さと……さと……。」

ショウの声がおいらを昂らせるなんて、誰にも言えない。

「ん、んんっ……。」

息など吸わないショウが、吐息を漏らすのはおいらの真似。

おいらがして欲しいことだけするショウ……。

これはマスターベーションと一緒。

一人でヤルのと変わりない。

だけど……。

ショウから唇を離し、ショウの腕を解く。

「どうして、おいらが気に入らないなんて思ったの。」

ショウの上から体を退け、ショウを隣に座らせる。

「サトシが……悲しそうな顔をしたから。」

おいらはハッとする。

そうだ。

さっきからショウはそう言ってたじゃないか。

ショウはおいらしか見ない。

おいらのことしか考えない。

相手が変わろうと、ショウが見るのはおいらだけだ。

ショウはおいらの表情から予測する。

おいらが相手に対してどう思っているか、どうしたいのか。

ショウのデータはおいらのデータだ。

おいらが相手に対して“何か”感じたかどうか。

相手に対してショウが“何か”思っているわけではない。

「悲しいのは……ショウの唇が離れたからだよ。」

「サトシ……。」

そして、おいらが“何か”を感じると、ショウの作った新しいプログラムが作動する。

おいらがして欲しいことに向けて……。

ショウの唇がおいらの唇に触れる。

「いつまでも離れたくないのは私の方です。」

これも……おいらが言って欲しい言葉。

ショウはおいらの理想のアンドロイド。

理想の……。

おいらはショウを抱きしめる。

その仄かに温かい体を抱きしめて、なぜか涙が流れることを止められなかった。










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