a Day in Our Life -19-

レッスン室で松本は今まで以上に翔にくっついてきた。

腕に、肩に、触れてくる。

翔はちょっと困った顔をするが、笑顔で答える。

その光景を二宮にからまれながら、大野が見ていた。

「翔君てさ、好きな人とかいないの？」

松本はあれ以来、翔のことを「翔君」と呼び始めた。

「どうだろ？」

「モテそうなのに。」

「そんなことないよ。」

「彼女とかいそうだよ？」

「彼女はいるよ。」

「えっ？彼女いるの？彼女が好きな人じゃないの？」

翔はハッとする。

確かに、彼女なのに好きな人って聞かれて思い浮かばなかった。

思い浮かんだのは…。

「大野君…。」

「えっ？」

びっくりして松本に向き直る。

「今、こっち見てたみたい。」

翔は振り返って大野を見る。

大野は二宮に抱きつかれながら、チラッとこっちを見た。

ニノ！くっつきすぎ！

また怒鳴りたくなるのをぐっとこらえる。

そんな翔を見て、松本は考え込む。

「どうした？」

松本の態度の変化に戸惑う。

「翔君さぁ、なんでそんなにニノのこと気にするの？」

「えっ？そう？気にしてるかな？」

「それとも大野君？」

「え？」

「違うか…。ニノ以外が大野君にくっついてても

　翔君そんな顔しないもんな。」

「……。」

翔は大野と二宮に目をやった。

二人はくすぐり合って笑っている。

二人がじゃれあってると、イライラする自分が確かにいる。

大野に他の誰かがくっついていても、そうイライラすることはない。

翔は視線を松本に戻す。

松本の言う通りだ。

どっちが気になってる？