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「大人の童話」
15th moon(やま)

15th moon ⑫

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三人が失敗したと言う噂はあっという間に広がります。

人の口に戸は立てられません。

姫について、あれやこれや言う者もありましたが、

智と翔は穏やかな日々を過ごしておりました。

家の周りに集まっていた男どもも、さらに減って行き、

とうとう、誰もいなくなってくれました。

これで、心置きなく智も声を出せます。

もちろん、今までも、それを我慢することなどありませんでしたけど。

「あ、あんっ。しょ……翔っ。」

「……これ?これがいい?」

「あ……そこばっかり……また……イッちゃう……!」

「いいよ、ほら、イケよ。」

肌のぶつかる音が響きます。

二人は相も変わらず夢中で腰を打ち付けます。

翔はさらに雄々しく成長し、都に行っても見劣りしないほど

美しい筋肉とスマートな物腰を身に付けました。

「そう言えば……。」

翔は智の隣に寝そべって言います。

「福沢先生の所で聞いたんだけど……。」

智は気だるい体を蒲団に預け、目をつぶっています。

「帝が……鷹狩りに来るらしいよ。」

翔は肘枕で智の顔を見つめます。

「へぇ……。それは雅びなんだろうねぇ。

 俺も見てみたいなぁ。」

翔の指が智の首筋を撫で、柔らかく微笑みます。

「……噂の姫を見に来るらしいよ?」

智の目がパチッと開きます。

「……噂の……姫?」

翔がにっこり笑います。

「そうだよ。俺と智の姫……。」

智の顔が見る間に青くなっていきます。

「まさか……騙してたなんて知れたら……。」

「大丈夫。バレやしないって。」

「でも……。」

智が翔の腕を握ります。

「大丈夫だから……。智は心配しなくていいよ。」

翔は智の額に唇を当てます。

チュッと音をさせ、唇を離しても、智の眉は下がったままです。

「もし、姫に合わせろって言われたら、どうするの?」

「そうだなぁ……。」

翔はちょっと考えます。

「その時はその時。今は……。」

そっと手を伸ばし、智の頬から首筋を撫でます。

その手は背中を滑り、腰をなぞり……。

「あぁん……。」

智が腰を捩ります。

翔の手は智の腰を引き寄せ、さらに下に向かいます。

腰と腰がこすれ合い、翔の指が肉の間を彷徨います。

「ふぁ……んっ……しょ……。」

智の腕が翔の首に絡んで……。

こうなっては、心配していた智も、帝のことなど忘れ、

翔の指の行方と重なった腰の圧迫感のことしか考えられなくなります。

「智……。」

「翔ちゃ……んっ!」

二人の楽しい時間は、尽きることなく続きます。



噂通り、帝は鷹狩りにやってきました。

そんなこととは露知らず、智は縁台で籠を編みます。

蓬莱の珠の枝で生活はできましたが、慎重な智はできる限り籠や筆筒を作りました。

今後どうなるかわからないからです。

なんせ、翔は竹林で見つけた子供で、成長もかなり早く、智は不安を感じていました。

今となっては、翔のいない生活など考えられず、

何があっても、できるだけのことはしようと心に決めていたのです。

愛する翔の為、ひいては自分の為。

そう思って竹籠を編みます。

一目一目、翔のことを思いながら。

そんな折り、帝からの使者が智の家を訪れます。

鷹狩りで疲れた帝を休ませて欲しいと言うのです。

この辺一帯で一番大きな家は智の家です。

受領の家は、ちょっと休憩するだけには、確かに遠すぎます。

公達相手なら断ることもできますが、相手が帝ともなると、簡単に断ることもできません。

しかたなく、帝の来訪を受け入れることにしました。



「面をあげよ。」

鷹狩り姿の帝は、胡坐を掻いて言います。

智はそっと顔を上げます。

細面の綺麗な顔に髭を生やした帝が、智を見て、お言葉を掛けてくれます。

「今日は世話になる。楽にせよ。」

楽にしろと言われて、楽にできるわけがありません。

緊張した面持ちの智が強張った顔を帝に向けます。

「時に……この家にはたいそう美しい女子(おなご)がおるそうじゃが……。」

智は、やっぱり来たかと思いました。

今まで帝がこの辺に鷹狩りに来たことなどありません。

姫目当てに違いないのです。

「滅相もございません。帝の周りにおわします美姫たちと比べましたら、

 大したことは……。」

智はなんとかやりすごそうとします。

事前に翔が用意してくれた台本通りに話を進めていきます。

「そんなことはなかろう?家の周りに人が集まるほどの美しさだと聞いている。」

「それは……。」

声を聞きに集まっているなどと、帝には言えません。

「ぜひ、会いたい。ここへ連れて参れ。」

帝はぞんざいに言い放ちます。

「ですが……。」

「いいから、連れて参れ。」

「それは……。」

帝の目は有無を言わせぬ光を発し、

何か言い掛けた智を、一睨みで黙らせます。

仕方なく立ち上がり、姫を連れてくることにしました。










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