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「大人の童話」
15th moon(やま)

15th moon ⑨

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「……なんで?なんで勘違いなんか……。」

二人はここ数日のことを思い巡らせます。

特に変わったことなどありません。

あるとすれば、夜の睦言が始まったくらいです。

夜の睦言……?

「あ……。」

智が気づきます。

「あ……。」

翔も気付きます。

「……聞かれてる?」

「……見られてる?」

大きな家ではありません。

障子紙が破れている所もありますし、声など、押し殺さなければダダ漏れです。

「見られてたら、女なんかいないってわかるはず!」

翔が笑って、うなずきます。

「そうだね、きっと声だ。智のアノ時の声を聞いて……みんな勘違いしてるんだ。」

智の顔色が変わります。

気持ち良さのあまり、声を殺すなんて考えもしませんでした。

智のいつもとは違う声を聞いて、村人も都の人も勘違いしているんだと言うことに、

やっと思い至ります。

二人は顔を見合わせ、周りに散らばる手紙を見回しました。

「ちょっとの間……止めた方がいいね?」

智が言うと、翔は口を尖らせます。

「え~、逆に聞かせてやろうよ。面白いじゃん。」

翔は智の腰を抱き寄せます。

「え?……翔ちゃ……んっ。」

智が反対する前に、翔の唇が智の口を塞ぎます。



それからも睦言は続きます。

智に抵抗などできるわけありません。

可愛い可愛い翔に強請られて、無碍になどできるわけないのです。

智の声も響きます。

押し殺そうとしても、翔のテクニックに、声が次から次と溢れてくるのです。

その声を聞きに、男達も集まります。

手紙も毎日届きます。

その中でも、最初に届いた手紙の主、三人は、とても熱心な求婚者でした。



手紙の山が引き出しを三つ占領した頃、さすがに智も翔を拒みました。

「もう、限界だよ!みんなに悪くて顔も合わせられない!」

「どうして?」

翔はさりげなく、智の指に指を絡めます。

「みんな勘違いしてるんだよ。俺を女だと思って……。

 なのに、本当は俺の声だと知ったら……。

 騙してるみたいじゃないか。」

智は罪悪感を感じていました。

勘違いしているとわかってて続けているのですから、そう思っても仕方ありません。

「なんで智が騙してるの?

 みんなが勝手に勘違いしてるだけじゃない?」

全く翔の言う通りなのですが、性根が真面目な智には我慢できません。

絡められた手を振りきり、背を向けます。

「今日はしない!明日も、明後日も!」

「智……。」

翔は後ろから智の肩を抱きます。

「本当にいいの……?」

智のうなじに唇を当て、生え際に舌を当てます。

智の背筋がビクッと震えます。

「い、いい!」

智はぎゅっと目をつぶり、自分の体を抱きしめます。

「ほんとに……?」

「う、うん!」

智は体を小さく丸め、布団を肩まで被ります。

「智……。」

こんなことは初めてです。

智がこんなに頑なに拒むなんて。

翔は大きく溜め息をつきます。

「わかったよ。外の男達、なんとかしよう?」

「……なんとかって?」

「姫に断らせればいいんだろ?」

「どうやって?」

翔は、う~んと考えます。

「そうだな……。」

こそこそと智の耳元で囁きます。

智は時折、コクリコクリとうなずきます。

「うん……わかった。それなら上手くいきそうだね。」

「だろ?だから……。」

翔は智の蒲団の中に入って行きます。

智の腰に手を回し、智の首筋に唇を当てます。

「あ、あんっ……。」

智の吐息に、翔はシメシメと下着の間に指を入れます。

「ま、待って!」

智は翔の指を握り、翔を見つめます。

「何を待つの?」

翔は智をその気にさせる、魅惑的な笑みを湛えます。

「その姫役、翔ちゃんがやるんだよ?」

「……俺?」

翔が不思議そうに首を傾げます。

「そうだよ。だって、みんな俺のことは知ってるんだから、

 みんなの知らない翔ちゃんがやらないと。」

声の主は智なのに、体は翔がやる……。

なんだか変な気はしましたが、智の言うことにも一理あります。

「……わかったよ。俺がやるから……。」

翔の手は智の胸をまさぐります。

「ぁあ……んっ、そんなに急かさないで……。」

「だって、お預けくらってたんだよ?

 すぐにでもしたいじゃん。」

「お預けって……たかだか一刻(いっとき)にも満たないじゃん。」

「そうだよ。ちょっとだって待てないのに、一刻もまったんだよ。

 すぐにしたくなるの、当然じゃない?」

翔の指が智の肩から着物を剥ぎます。

露わになった肩に翔の唇が落とされると、智の声が一段と高くなります。

「やぁ……んっ、しょ、しょお…ちゃ……。」

「ほら、智だって……。」

翔がクスリと笑います。

その顔を見て、智は翔の姫姿を想像します。

それはそれは美しい姫が出来上がることでしょう。

明日にでも、女の着物を手に入れてこよう。

智がにっこり笑うと、その唇に、翔の唇が喰らいつきました。










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