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「大人の童話」
15th moon(やま)

15th moon ①

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むかし、むか~し。

あるところに一人の男がおりました。

男は竹を切ってはいろいろな物に作り替え、

それを生業(なりわい)として暮らしておりました。

男の作る物はとても美しく、丈夫で使い勝手がよかったので、

売れ行きはたいそうよかったのですが、さほど金に興味がない男は、

日々の糧が得られるだけの物しか作りませんでした。

そんな男の所に嫁に来てくれる女などいるわけもなく、

男は一人、気ままに竹を取りつつ、釣りなどして暮らしておりました。

そんな男の名は智。

竹細工の智と呼ばれておりました。



さて、ある月の綺麗な晩のこと。

智が、ほろ酔い気分で月を見ていると、何かが自分を呼ぶような気がします。

「俺を呼ぶのはだぁれ~?」

と、いつもは行かない竹林の方に千鳥足で向かいます。

なぜそんな気になるのか、不思議な気はしましたが、

何せ、酒に酔っているのであまり深く考えられません。

首を傾げながら、それでもふにゃりと笑って竹林に入っていきます。

竹林は月明かりに照らされ、それは幻想的な風景です。

ですが、それ以上に不思議なことが起こっていました。

青い竹の織りなす綾の中、一本の竹が光っているではありせんか。

「これはどゆこと~?」

智が竹に近づいて行きます。

近づいても竹は光を弱めるどころか、さらに輝きを増していきます。

「わぁ、きれい……。」

智はうっとり見惚れます。

青い竹が、明るく辺りを照らし、まるで夜空に輝く月のようです。

智が光に見入っておりますと、

竹の中の一節に、何かが動いているような影が、ちらちらと見えます。

少し考え、腰に下げていたナタを振り上げます。

仕事終わりに呑み始めたので、腰に付けたままだったのです。

酔っているとは言え、毎日のように使っているナタです。

えいっとばかりにナタを下すと、竹は見事に切り落され、

光っていた節がさらに眩しく輝きます。

「うわ~っ!」

智が眩しさに手を翳すと、光の中にさらに輝く何かが見えるではありませんか。

「え……?これは……。」

眩しさを我慢して、そっと薄目を開けます。

「赤…ちゃん……?」

智の酔いが一気に覚めます。

竹の中から赤ちゃんが出て来たのですから、驚かないわけありません。

赤子は智が見てもわかるほど美しく、聡明そうな瞳をキラキラと輝かせています。

しかも、抱いて欲しいと言わんばかりに両手を智に伸ばします。

智は、おっかなびっくり赤子の頬を突きます。

柔らかい頬がブニッと凹みます。

赤子がきゃっきゃと笑います。

智はどうしたものかと悩みましたが、辺りを見回しても誰もいません。

そりゃそうです。

こんな夜更けに竹林に入り込むなど、狸が智くらいしかいません。

智は赤子を抱きあげ、胸に抱いてみます。

赤子の温かさで、ぽわんと心が和みます。

今までずっと一人で生きて来た智には、感じたことのない温もりです。

智は、赤子を連れて帰ることにしました。

そのままにして帰ることなど、智にはできなかったのです。



赤子は不思議なことに乳がなくてもスクスク成長しました。

それはそれは綺麗な男の赤子です。

色白の肌、大きな瞳、つやつやと光る黒い髪。

どれをとっても完璧な美しさです。

赤子が来て、3日ほど経つと、智は赤子に名前がなかったことに気が付きます。

「こんなに綺麗なんだから、綺麗な名前がいいよなぁ~。」

縁側で、胡坐を掻き、籠を編みながら考えます。

「輝くように綺麗だから、かぐや?」

智は首を振ります。

「家具屋と間違えそうじゃないか?」

智には今一つ、ピンときません。

「そうだな……竹林で見つけたんだよなぁ。」

智は竹林の方に視線を向けます。

竹林の上の青い空を、とんびが大きな羽を広げて飛んでいくのが見えます。

「ん~、はばたく……天駆ける……、

 飛ぶ……飛翔……翔……がいいか?」

智は隣の座布団の上に寝かせた赤子を見つめます。

赤子は嬉しそうに笑って智に両手を伸ばします。

智もにっこり笑って赤子を抱きあげ、頬に頬を当てます。

「そうか、翔がいいか~。じゃあ、お前は今日から翔だぞ。

 翔。俺の翔……。」

翔は、んぱんぱと口を開き、智の頬を甘噛みします。

涎が頬に着き、片手でそれを拭うと、翔の唇は智の唇に吸い付きます。

「あはは、これこれ、それはおっぱいじゃないぞ。

 吸っても乳はでんぞ。」

それでも翔が吸い付くので、胸の前に横抱きにしてやります。

「本当の乳はこっちから出るんだぞ。

 俺のは出ないけどな?」

智は乳首の位置に翔の顔をあてがいます。

雰囲気だけでも味合わせてやろうと思ったのです。

案の定、翔は智の胸に吸い付きます。

「はぁんっっ!」

智の声が漏れます。

小さな乳首に一生懸命吸い付く翔に、智の頬が赤く染まります。

乳を飲まなくても育つ翔なのに、一心不乱に智に吸い付く姿がいじらしく、

智は翔が飽きるまで、吸わせてあげたいと思いました。

時折、智の口から声が漏れましたが、声が漏れると、

俄然、翔の吸い付きがよくなります。

智はできるだけ声を堪えて、翔に吸わせてやりました。

吸い疲れた翔が眠りに着く頃には、智の乳首は赤く腫れあがっておりました。










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