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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -46-

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最初の舞は左右対称の踊りだった。

踊り手は子供で、赤青、左右対称の衣装を身に着けている。

青い袖が舞い、赤い袖が宙を切る。

誠を連れ立って神楽を堪能していた三人は、息を飲んで踊りに見入る。

子供の幼さと、大人びた振りの絶妙なコントラスト。

それが、篝火によって浮き上がる。

見ている者の目が、じっと踊り手を追う。

幻想的であり、神秘的であり、魅惑的でもある祭りの雰囲気が、徐々に高まっていく。

笛と太鼓の音が鳴り止み、踊り手が動きを止めると、

小さな神社に拍手の波が広がっていく。

我に返ったように目を瞬かせた大野も、大きな音を立てて拍手する。

隣で見ていた櫻井も、笑顔で手を叩く。

いつの間にか隣に来ていた有岡が、そんな大野を見てクスッと笑う。

「大野さん、踊りが好きなんてすか?

 子供みたいな目をして見てましたよ?

 かっわいー!」

有岡が大野の腕に抱き着く。

「や、やめれって!」

それを嫌がり、体を櫻井に寄せると、櫻井は笑いながら有岡を見下す。

「もう手伝いは終わったのかな?

 おイタが過ぎると後で泣くことになるよ?」

「で、でも、俺、大野さんの婚約者だし……。」

有岡が弱気ながら抗議すると、櫻井の視線が冷ややかに有岡を見下す。

「婚約者?それはいけないなぁ。それこそ人前でくっつくのはどうだろう?

 村の風紀にかかわるって村長さんに怒られるんじゃないかな?」

笑う櫻井の視線に、有岡はしぶしぶ大野から腕を離す。

それでも親指と人差し指だけで大野の袖口を摘まみ続けると、

櫻井が二人の間に誠を割り込ませる。

「え……?」

おどおどしながら、二人の間に入った誠は、キョロキョロしていた視線を有岡で留める。

「大貴……なのか?」

「え……、ええ~?

 ま、まさか、誠叔父さん!?」

有岡の目が見る間に丸くなり、大野に視線で質問する。

「ああ、そうだ。お前の叔父さんの誠さん。」

有岡がしげしげと誠を見つめる。

多少丸みを帯びてはいるが、はっきりとした目鼻立ち、綺麗な太目の眉は、

確かに昔の誠の面影を強く残している。

「叔父さん……歳とってもカッコいい……。」

有岡が誠の手を両手で握り締める。

「え……?」

誠が困ったように大野を見ると、大野は首を傾げて肩を竦める。

「誠叔父さん、お会いしたかった!」

有岡が感動の再会よろしく、誠に抱き着く。

あまりの唐突な展開に、ついて行けない誠は、おどおどしながら、有岡の背に手を回す。

「叔父さん……いい匂い。」

有岡が、うふっと笑う。

「え……えええ?」

誠が一歩後退ると、抱き着いたままの有岡も着いてくる。

甥とは言え、思っていた大貴と雰囲気が違い、誠が困っていると、

大野の手が有岡の頭を叩く。

「こら、初めましてなんだろ?最初からこれじゃ、戻ってきてくんねぇぞ?」

有岡がパッと誠から離れる。

「誠叔父さん、お願いします!戻ってきてください!

 でないと俺……。」

有岡が目を潤ませて誠を見上げると、次の舞いが始まった。



一通り舞いが終わると子供たちは菊代と村長の手から、

男花と女花をかたどった菓子をもらう。

「あのお菓子、祭りの日にしか作られないんですけど、

 すっごく美味しいんですよ。

 どう作ってるのかわからないけど、あの花の匂いがして。」

確かに辺りには花の匂いが漂っている。

切り花のせいかと思っていたが、花畑で嗅いだ匂いより、若干甘さが増している。

菓子をもらった子供達が、面を付け、追いかけっこをしている。

誠はその光景を見つめ、懐かしそうに目を細める。

菓子を配り終えた菊代が、有岡に気付き、ついで誠にも気づく。

ハッとして、動きの止まった菊代は、口をパクパクと動かし、

誠に向かって走り寄る。

「ま、誠さん……?」

「……久しぶり……。」

「ど、どうして……?」

「瑠加の……墓参りがしたくて……。」

菊代の顔が、優しく微笑む。

「喜ぶわ。あの人も。」

「菊ちゃん……。」

「ずっと心配してたのよ。口に出すことは少なかったけど、

 あの人が集めてたレコード、あなたのでしょ?

 芸能に疎いあの人が、それだけは大事に大事に聴いてたわ。」

「瑠加……。」

誠の目に涙が滲む。

「瑠加が結婚して、子供が産まれたのは風の便りに聞いていた。

 子供の名前も……。ずいぶん経ってからだけど。」

誠が潤んだ目のまま大貴を見つめる。

「大貴は菊ちゃん似だね。」

「そうなのよ。」

菊代がケラケラと笑う。

「あの人に似てたら、きっと手放せなくなるから、ちょうどよかったわ。」

誠は視線を大野に向ける。

「あの店で……最後に大貴と言う名前を聞いて、無性に瑠加に会いたくなって……。

 まだ連絡先のわかる、数少ない友人に連絡して……。

 瑠加が亡くなってることを知りました。

 会いたかった……。せめて最後くらいは……。」

誠が顔を伏せると、菊代がその肩を優しく撫でる。

「あの人も……会いたがってたわ。最後まで、あなたの歌を聴いてた。」

誠の目から、涙が零れる。

そんな誠を抱えるように、菊代の手が、誠の二の腕を擦った。










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