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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -42-

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「有岡の親父の日記、見ただろ?」

「ああ……。」

櫻井は昨日のことを思い出す。

大野と二人で見つけたノートに書かれていたのは……、

双子の弟に対する葛藤と、その結果。

たぶん、本当に起こったであろう事実が、瑠加の手によって、事細かに記してあった。

瑠加の、誠に対する想いの変化と共に。

「有岡の親父たちには愛があった。

 やり方はよくなかったかもしれねぇが、その覚悟もあった。

 まだ若かったみてぇだしな。高校生……中学生くれぇか?」

大野は櫻井に同意を求めるように視線を投げる。

櫻井が小さくうなずく。

「そうだね。日付から考えると中学生……くらいかな?」

「中学生……思春期ど真ん中だな?

 でも……愛があったから離れる選択をした。

 薬を使ってまで……遂げた愛だ。

 薬の、もう一つの効果にビビっただろうが、親父さんの気持ちは実を結んだ。

 片割れの方も、たぶん同じだろう。

 結果として、二人の想いは通じ合ったんだろうよ。

 だが、トーマとニノは違う……。

 同じ兄弟でありながら、あいつにニノを思いやる気持ちなんて1ミリもない。

 あいつは……人を操る為に薬を使い、ニノの体と心を蝕んだ。」

「まさか……。」

「トーマにとって、血の繋がりなんて関係ねぇ。

 使えるものは使う。

 ニノの寂しい心に付け込んで……。」

大野が目を伏せ、ゆっくり首を振る。

「あいつの中にあるのは……自分の快楽だけだ。」

「じゃ、あの事件の実行犯は……。」

大野が顔を上げる。

鋭い光の中に揺らぐ瞳。

「まずは、薬の確認だ。」

「どうやって調べるの?まさか自分で?」

「ばぁか、できるかそんなこと。」

大野は櫻井に背を向け、宝物庫の一番奥まで歩いて行く。

「できるやつに頼むしかあんめぇ?」

奥に手を伸ばし、誠の人形を取るろうとするが、

大野の背では、人形まで届かない。

櫻井が、大野の肩に手を掛け、グッと腕を伸ばす。

「いるの?そんな人。」

櫻井が人形を大野に手渡す。

「……まぁ、たぶん、大丈夫だろ?

 だが、お神酒とあの日記だけじゃ……。」

大野は人形を凝視し、宝物庫の中を見回す。

「どうするの?それ?」

櫻井は人形を視線で示す。

「戻してやろうと思ってな。あの部屋に。」

「そうだね……。」

櫻井も同意するようにうなずく。

「さて、こっちをどうするか……。」

「有岡に……話すの?」

大野は人形を目の高さに掲げ、じっと見つめる。

「お前ならどう思う?

 自分の父親が双子の兄弟を愛していたって知ったら。」

櫻井も大野の隣で人形を見つめる。

「俺は……何も思わないね。

 人を好きになるのは理屈じゃない。

 フィーリングでしょ?」

櫻井がニヤッと笑う。

「そうだな。あいつもどうしようもない奴を好きになったみたいだし。」

「ふふふ。そうだね。……ん?」

櫻井は大野の手から人形を取り上げる。

クンと匂いを嗅ぎ、人形の背を撫でる。

「どうした?」

「いや、丁寧に作られてるにしては、ここの縫い目が荒いから……。」

「縫い目……?」

櫻井はポケットから鍵の束を取り出すと、その中で一番小さい物を

縫い目の間にねじ込む。

強引に糸を引っ掛け、勢いよく引くと、パチッと音がして、小さな穴が開く。

少し開いて中に指を押し込むと、何か固い物に当たる。

それを引っ張り出し、親指と人差し指で摘まんで見せる。

「……瓶?」

中に入っていたのは小型の瓶で、中に半分位の透明な液体が入っている。

「まさか……・」

「かもしんねぇな。」

櫻井が入口から入る明かりに翳すように瓶を向けると、入口脇に有岡が立っていた。

「それ……何?」

「有岡……。」

「二人にもやっぱり来て欲しくて……。

 探してたらぼそぼそ話し声がして……。

 怒られるから、タイミングみて入っていこうと思ったんだけど……。

 それ、叔父さんの人形の中から出て来たんでしょ?

 父さんと叔父さん、何したの?何かしたの?」

怯えるように問い詰める有岡に、大野が近づいて行く。

「おめぇ、どこから聞いてた?」

「どこからって……俺の名前が聞こえて……耳を澄ましてたら……。

 父さんは、叔父さんを……?」

大野が有岡の目の前まで行くと、有岡が大野を見上げる。

「父さんは……。」

繰り返す有岡を抱きしめ、宥めるように耳元で囁く。

「人を愛したんだ。ただそれだけだ。」

有岡の手が大野のシャツを掴む。

「……大野さん……。」

大野は有岡の頭を撫でる。

「お前だって愛してる人がいるだろ?同じだ。」

「……うん。」

有岡の額が大野の肩に当たる。

大野が頭を撫で続けると、有岡の腕が大野に背に回り、ぎゅっとしがみ付いた。

「おーのさーん……。」

「どうした?いつものおめぇじゃねぇみてぇだぞ?」

「お、俺、本当は繊細なんです~。」

大野は笑いながら、有岡の頭をポンポン叩いた。










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