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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -36-

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ノートは厚い表紙に覆われた、1センチ位の厚さのものだった。

開いたページには日記の様に日付が添えられている。

「誰の?」

「この部屋にあんだから、有岡の父ちゃんじゃねぇの?」

「でもだいぶ古そうだし……。」

櫻井がノートを取り上げ、表紙を見る。

黒い表紙にも裏表紙にも何も書かれていない。

「普通、日記に名前書くか?」

「書かないか。」

櫻井がクスッと笑う。

「さっき見た、お祖父さんの字に似てるような気がするんだけど?」

「確かに、これも達筆だな。」

二人は素早く横書きの文字を追っていく。

左から右に流れる視線が、徐々に鋭いものに変わっていく。

大野のページを捲る指が早い。

頭を擦りつけるようにして、読み進めて行く。

数ページ読み終わり、一段落すると、大野がふぅと溜め息をつく。

「見つけちまったんだな。」

「そうだね。お祖父さんの……軍が残していった資料の研究と……。」

「自分の心の奥底……。」

二人は顔を見合わせ、ノートを閉じる。

「だから、一人は家を出たのか?」

「そうだろうね。ここじゃ……こんな閉鎖的な空間じゃ、二人でいるのは難しい。」

大野も小さくうなずく。

すると、バタバタと階段を上る足音が聞こえてくる。

大野は目配せすると、引き出しを開け、そっとノートをしまう。

櫻井はその大野の前に立ち、顎に手を掛け、唇を合わせる。

有岡が部屋に入って来るのと同時に、大野の尻で引き出しがしまる。

「大野さ~ん、母さんが夕飯だよって……。」

櫻井の唇が大野の唇を貪る。

左手で大野の手を握り、右手で大野の顎の向きを変える。

「ん、んぁっ。」

大野の吐息に、有岡の顔がカァッと赤くなる。

櫻井の膝が大野の膝を割って入る。

大野の腰が、櫻井の足にすり寄って行く。

黙って見つめる有岡に、大野が鋭い視線を向ける。

「何、見てんだ。」

「あ、あの……夕飯は……まだ、いらないですね……。」

有岡はクルッと踵を返すと、そそくさと部屋を出て行く。

バタバタと階段を下りる音が遠ざかっていく。

「夕飯だって。」

櫻井がクスッと笑うと、大野の顎を指先で撫でる。

「行きますか?」

「ああ……。」

櫻井が、チュッと唇を合わせ、大野を離す。

「なんだ、今の?」

「今のって?」

二人は並んで部屋を出る。

「今のは今のだよ。最後のやつ。」

「これこそ、愛情表現。」

櫻井が、またチュッと大野の頬に唇を寄せる。

「はぁ?ばかか?」

大野が先に立って階段を下りて行く。

「恋する男はばかになるって言うじゃない?」

「はぁあ?」

大野はブルブルっと体を震わせ、二の腕を撫でる。

「ムシズが走るからやめろって言ってんだろ?」

「そろそろ薬が効いて……俺が欲しくなってんじゃない?」

「ばぁか。あんな少しでなるか。」

「今だって、疼いてたくせに。素直じゃないなぁ、honeyは。」

「うっせぇ。ちっと黙れ。」

大野がダイニングに入って行くと、二人の箸をしまおうとしている有岡と目が合う。

「あらあら、兄弟げんか?」

菊代が笑って二人に目をやる。

「すみません、遅くなりました。」

櫻井が丁寧に頭を下げる。

「いいの?まだ食べたくないんじゃなかったの?」

菊代がチラッと有岡を見る。

有岡が何か言い掛けると、その肩を大野が掴んでにっこり笑う。

「いえ、頂きます。お母さんの料理はおいしいって、兄に話してたとこなんですよ。」

「料理上手なお母さんに育てられて、大貴君は幸せですね。」

櫻井も菊代を見てにっこり笑う。

「まぁ、嬉しいわ。大したものはないけど、食べてくださいね。」

大野と櫻井は顔を見合わせ、有岡を見る。

有岡はしまい掛けていた箸と茶碗をダイニングに戻しながら、大野を見上げる。

「い、いいんですか?」

「いいから、ほら、お前も座れ。」

「は、はい……。」

有岡は茶碗にご飯をよそって大野の隣に座る。

「ご飯食べたら、順番にお風呂に入っちゃってね。」

台所から菊代が声を掛ける。

「はい、遠慮なく、いただきます。」

大野は首を伸ばし、台所に向かって声を張る。

有岡は、大野と櫻井の顔を交互に見、恐る恐る口を開く。

「本当にいいんですか?」

「何が?」

「お二人のラブラブタイ……。」

大野の手が有岡の口を塞ぐ。

「お前、バレてもいいのか?」

声を殺してそう言う大野に、有岡も声を殺して答える。

「ものは相談なんですけど……。」

有岡は箸を持ち、大野を見上げる。

「お風呂に三人で……なんて、無理…ですよね……?」

上目使いで見つめる有岡に、大野が冷たい視線を送る。

「無理に決まってんだろ?」

「……ですよね……。」

有岡が箸を咥えると、櫻井がクスッと笑う。

「すまないねぇ。風呂くらいは二人っきりにさせてくれるかな?」

「それもねぇわ!」

大野は箸を手に取り、魚の甘露煮に手を伸ばす。

「照れちゃって。」

「照れてねぇわ。」

「じゃ、じゃ、俺と二人ってのはどうですか?」

有岡が期待の交じった、キラキラした目で大野を見つめる。

「ねぇわ。」

大野が口いっぱいにご飯を詰め込むと、大盛りの肉じゃがを手にした菊代がやってきて、

にっこり笑う。

「大貴、男同士でも、恥じらいって大事だと思うわよ、母さん。」

有岡がびっくりして菊代を見る。

「母さん……あっという間に順応してるね?」

「あ……そうね?どうしてかしら?」

菊代が首を捻ると、大野と櫻井が顔を見合わせ、クスッと笑った。










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