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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -31-

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「お前、上るのは平気なのな?」

「下が見えないからね?」

外に通じるドアを開き、櫻井が眩しさに目を細める。

「じゃ、おめぇ、泉に飛び込んだのも……怖かったんか?」

大野が楽しそうに口の端を上げる。

それを見て、櫻井が恥ずかしそうに笑う。

「そうだった……かな?」

素直じゃない返事に、大野が満面の笑みを見せる。

「そうか、そうか。怖かったのか。」

櫻井のうなじをグッと掴んで、撫でる。

ポンポンと二度叩き、満足そうに櫻井を見上げる。

「これからは怖かったら、その場で言うんだぞ?

 俺がよしよししてやるからな?」

「よしよしって、あなた……。」

櫻井が困った顔で目尻を下げる。

「そんなに子供扱いしたい?」

「おう!したいしたい!」

がははと笑いながら、大野も櫻井に続いて外に出る。

「いつも可愛げがねぇんだよ、お前は。」

櫻井より前に出て、空を見上げる。

青く澄み渡った空は、気持ちいい。

「そんなことないでしょ?honey、そういうの好きじゃない?」

「……そういうのってなんだ?」

大野が振り返る。

「そういう……可愛げなく、強めにいじめられるの……。」

櫻井がクスクス笑う。

「ば、ふざけんなっ!俺がいつ……。」

「いつでも……俺に泣かされたいくせに、強がっちゃって。」

櫻井が大野の肩を抱いて、耳元で囁く。

「そんなhoneyが可愛いんだけど。」

チュッと耳元に口を当てると、弾かれたように大野が離れる。

「やめれって言ってんだろ!時と……。」

「場所を考えろ?」

櫻井が下目遣いで笑い続ける。

「考えてるって、俺、言わなかったっけ?」

櫻井は楽しそうに大野の腕を掴み、引き寄せる。

「なるほど……強気の態度で……グッと鷲づかみ……っと。」

後ろでブツブツ言う声が聞こえる。

振り返ると、少し遅れて着いてくる有岡が、

小さなメモ帳に顔を近づけ、真剣にメモしている。

櫻井も大野も首を捻る。

「何してんだ?」

「メモ取ってるんですよ。少しでも師匠のテクを盗もうと思って。」

最後にペンで点を打ち、有岡が顔を上げる。

「どうぞどうぞ、続けてください!勉強になります!」

「有岡ぁ~。」

大野があっけに取られて有岡を見つめていると、櫻井がグッと大野を抱き寄せる。

「いいじゃない?教えてあげようよ。大人の恋愛。」

「ばぁか、何言ってんだ?ここでは、俺とあいつは恋人同士なんだぞ。

 外でそんなことできるか!

 見られたらなんて思われるか……。」

櫻井は面白そうに顎を撫でる。

「じゃ、俺はhoneyの元カレか、奪いに来た次のカレって感じかな?」

「ふざけんな、行くぞ。」

大野はジロっと睨んで歩きだす。

笑いながら、櫻井も続く。

「ど、どこ行くんですか~!」

遅れた有岡が小走りにやってくる。

「決まってんだろ?お前の母ちゃんのとこだよ。」

あっと思い出した有岡が、櫻井の後ろにピタッとくっつく。

「あれ?honeyの隣に行かないの?」

「二人のお邪魔はしません。師匠!」

櫻井は笑ってスタスタと歩き続ける。

「いい心がけだ。」

「でも、できれば……たまに混ぜてくれると……嬉しいです……。」

「混ぜる?」

「はい……夜のお誘いに……ぜひ。」

下手に出ながらもしっかり主張する有岡に、櫻井も声を上げて笑う。

「あ、あの、たまにでいいんです。ま、混ぜてくれたら嬉しいけど、見てるだけでも……。」

一生懸命取りなす有岡に、櫻井の笑いが止まらない。

「うっせぇぞ!ばかなことほざいてないで、早く歩け!」

ジロッと睨む大野に、有岡の歩みが早まった。



「ね、母さん、どこにあるか知ってる?」

「え?水鏡に使うお神酒(みき)のこと?」

菊代は祭り用なのか、大量のコップと皿を洗いながら有岡の話を聞く。

「お神酒なの?」

有岡が驚いた顔をすると、菊代も驚いた顔をして洗い物の手を止める。

「知らなかったの?」

「うん……。」

菊代が大きく溜め息をつく。

「本当に興味がなかったのね。父さんの言う通りだわ。」

「父さんが?なんて?」

有岡の目が大きく開く。

菊代はふぅと息を吐き、にっこり笑う。

「大貴は家がきらいなわけじゃないけど、神様には興味がない。

 だから、好きなようにさせてあげようって。」

「父さん……。」

「無理に継がせる必要はないって……。

 そうは言ってもウチは神社だし、大貴は一人息子でしょ?

 いつかは継いでもらわないとって、母さんとケンカ。」

菊代が懐かしそうに笑う。

「それはなんとかするからって、父さん、言ってたんだけど……。

 まさかあんなに早く逝ってしまうと思わなかったから……。」

有岡の目にじわっと涙が溜まっていく。

「……父さん。俺、父さんに諦められてるのかと思ってた。」

菊代が大げさに笑う。

「まさか。そんなことあるわけないでしょ?」

「父さん……全然仕事の話してくれなかったし……。」

「それは……大貴に押し付けたくなかったんでしょ。

 プレッシャーにしたくなかったんじゃない?」

「父さん……。」

有岡の目から涙が溢れる。

大野と櫻井は両脇から有岡の肩を掴み、優しく握る。

それに気づいた有岡が、二人を見上げ、嬉しそうに笑う。










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