FC2ブログ

ナイスな心意気(5人)

ナイスな心意気 ⑱ 上

 ←Petit Love so sweet 2 →ナイスな心意気 ⑱ 中


「ん?」

サトシが顔を上げる。

鼻だけがピクッと動いて辺りを窺う。

「どうしたの?」

俺は片目を開けてサトシを見る。

「ん……匂いがした……。」

俺も鼻を上げて、クンと匂いを嗅ぐ。

「ああ……。」

今年もまたこの季節がやってきた。

金木犀の咲くこの時期になると、マサキの調子がちょっとおかしくなる。

元気がなかったり、そうかと思うとはしゃいだり……。

理由はなんとなくわかってる……。

俺はサトシの鼻を舐める。

「ショウちゃんさ……散歩、ちょっと遠くまで行ってやんなよ。」

サトシが俺の顔の前まで来て、俺の鼻をペロッと舐める。

「いいけど……遠くったって、人間のサトシのとこまでは行けないよ?」

「行けるよ。歩いてたらいつか着く!」

「そりゃ、そうだけど……。俺、サトシがどこに住んでるか知らないし。」

「その立派な鼻はなんの為についてんの!」

サトシが爪で俺の鼻を叩く。

「い、痛いってば~。」

俺は両足で鼻を押さえて伏せる。

「あんなに人間のサトシはいい匂い~って言ってんだから、

 家ぐらいすぐわかんだろ?」

「わ、わかんないよ~。前に来たのいつだか覚えてる?

 もう、半年くらい会ってないんだよ?匂いなんてもうしないよ。」

「は、はんとしってなんだよ!そんなの知らないよ!」

サトシには時間の感覚がない。

ってか、時間なんか気にしない。

サトシがプイッとそっぽを向いて、毛を立てる。

あ、怒った。

顔が膨らんで、サトシの体が大きくなる。

それでも小さくて可愛いけど。

「わかった!もうショウちゃんには頼まない!

 おいらがマサキを連れて行く!」

「え?どうやって?」

「どうやってって……、どうやってでも!」

「ちょ、ちょっと待って……。」

怒ったサトシは俺の話なんて聞いてくれない。

スタッとソファーの上に上り、カズナリに声を掛ける。

「ね、ね、カズ、どうしたらいいと思う?」

カズナリは俺らの話を聞いていたのか、片目を開けてサトシを見下す。

「そうだね、サトシに会いたいって言ってみれば?」

「ダメだよ~。マサキはおいらの言葉、わかんないじゃん。」

「じゃ、私が言ってあげましょうか?」

「ホント?カズが言ってくれる?」

「いいですよ。」

カズナリは人間の言葉がしゃべれる。

最初は真似てただけだけど、今じゃちゃんと意味も理解してる。

しゃべれる言葉は少ないけど。

カズナリは、自分の籠の戸を器用に嘴で開ける。

開いた隙に頭をねじ込み、グンと首を伸ばして外に出る。

もう、カズナリにとってはなんでもないことみたいに、

普通にサトシの隣にやってくる。

マサキはほんとに気付いてないのかな?

「その代わり、私にチューしてください。」

「チュー?」

サトシが首を傾げる。

「私の嘴をペロッと舐めてくれればいいんです。」

サトシがまた首を傾げる。

「そんなことして欲しいの?」

「ついでに私からえさを貰ってください。」

「えさ?」

「口移しで。」

カズナリがニヤッと笑って俺を見る。

さ、させるか!そんなこと!

「サ、サトシ、それはちょっとどうかな?

 鳥のえさはサトシには美味しくないと思うけど……?」

「でも……カズは食べてるんでしょ?」

サトシが意地悪く笑う。

「カズが食べられるんなら、食べられないもんじゃないよね?」

サトシの顔がカズナリの顔に近づいて行く。

「ダ、ダメ~!」

俺が勢い込んでソファーに乗っかると、ソファーが沈んでカズナリが飛び上がる。

「ショウちゃん、何すんですか!」

空中でバタバタと羽を羽ばたかせ、怒りながらも静かにソファーに降り立つ。

「ダメだから!サトシと口移しなんて、絶対ダメ~っ!」

俺が叫ぶと、水槽に乗っかった金網の間から、ジュンが顔を出す。

「Hello、子猫ちゃん♪それなら、俺が脱走してやろうか?

 きっとマサキはびっくりして追いかけてくるよ?」

「ジュン!」

サトシの声と同時に飛び出したジュンが、体をクネクネさせながらソファーに上って来る。

「ジュンは人間のサトシの家がわかるの?」

ジュンは片目をつぶって首を傾ける。

「さぁね。でも、ほら、俺には天性のカンがあるから!」

「そうだね。ジュンくらいキラキラしてたら、

いつの間にか人間のサトシのとこに着いててもおかしくないよね?」

サトシとジュンは見つめ合ってうなずいてる。

ど、どんな理屈?

サトシの顔を見ると、ふざけてるわけじゃなさそう。

マジで信じてるっぽいとこが怖い。

派手なナリしてたって、道に迷ったら終わりだって、

ジュンとサトシにはわからない……?

俺はそっとカズナリを見る。

カズナリは面白そうにクックと笑ってる。

「天然って怖いよね~。」

カズナリが口を開けて、舌を震わす。

「その代わり……。」

ジュンが、サトシの足の間に体を寄せて、サトシを見上げる。

「俺にもチュ~♪」

「チュ~?」

「ついでに俺の卵を産んでくれ。」

「たまご……?」

サトシが首を傾げて、そのままジュンの顔に顔を近づける。

「待て、待て。トカゲと猫なんて無理に決まってんだろ!」

俺が慌ててジュンを退けようとしたその時、

近づいたサトシの鼻に、ジュンが飛びついた。










関連記事
スポンサーサイト






総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
総もくじ  3kaku_s_L.png Sunshine(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png 時計じかけのアンブレラ
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 白が舞う
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png Happiness(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png 夏疾風(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png STORY
【Petit Love so sweet 2】へ  【ナイスな心意気 ⑱ 中】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【Petit Love so sweet 2】へ
  • 【ナイスな心意気 ⑱ 中】へ