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つなぐ(やま)

つなぐ 十二帖

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「イチャイチャできるのも今のうちだぞ?

 痛いめに合いたくなかったら、身ぐるみはいで置いて行くんだな。」

一際体の大きな山賊が、肩に大きな刀を掛け、一歩前に出る。

山賊達の低い笑い声が響く。

「全部置いていけ!」

「着てる物もだぞ!」

「ついでに俺達も楽しませろ!」

はっはっはと山賊達が笑う。

山賊達から見れば、細く白い櫻井達など、女子供にしか見えない。

櫻井と男は顔を見合わせ、首を傾げる。

「わしはお前たちではあまり楽しめん。」

「私は……楽しめそうな気がします。」

櫻井がニコッと笑う。

「なら、お前がなんとかしろ。」

「そこは……狐殿の出番ですよ。

 ほら、私は女のように白くてひ弱……。」

そう言っている櫻井の腕を、山賊の一人が鷲掴み、櫻井をクルッと振り向かせる。

「ぐだぐだ言ってねぇで、さっさと脱げよ!お嬢ちゃん!」

山賊達がやぁやぁと囃し立てる。

「私が脱いで、何が楽しいんでしょう?」

「脱いでみりゃわかるさ。すぐに体中、穴だらけだ!」

山賊は、がははと笑い、櫻井の荷物を取り上げ、仲間へ投げる。

からかうように笑う仲間に、調子に乗った山賊が櫻井の帯を引っ張る。

「ひゅーっ!いいぞ~!」

周りが、やれやれと煽ると、櫻井の胸元に両手を掛け、強引に広げる。

「そんなことしたら、着物が乱れます。」

「乱してんだから、いいんだよ!」

帯がパサリと解かれ、先が地面を擦る。

「困りましたね……。汚すと雅紀さんに怒られるんです。」

「なぁに、全部ここに置いて行くんだ、怒られることもねぇよ。」

「それでは……角が生えてしまいます。」

「はははっ!怖い女房だな?」

山賊達がゲラゲラ笑う。

男は櫻井と山賊のやりとりを、ニヤニヤしながら腕組みして見ている。

「狐殿!見てないで助けてくださいな。」

「それくらい、お前ならなんとかできるだろ?」

「私、力仕事は苦手なんですよ……。」

「なんだかんだと苦手が多いな。力仕事もたまには楽しいぞ?」

ニヤニヤし続ける男に、山賊の一人が後ろから抱き着こうとする。

すばやく肘で鳩尾(みぞおち)を突き、うずくまる山賊は、男に触ることもできない。

山賊達の目付きが変わる。

それまで、薄ら笑いを浮かべ、黙って見ていた大きな刀の山賊が、刀を持ち変える。

「なかなか威勢のいい姉ちゃんだな?俺ごのみだ。」

大きな山賊が、刀を揺らし、舌なめずりする。

「強気なのも今のうちだ。最後には、あんあん泣かせてやるわ!」

山賊達が煽るように笑う。

「あんあん泣くのはどっちかな?」

男は袖を払って、スッと立つ。

隙だらけに見えるのに、打ち込むことができず、大男が身構える。

「お、お前ら、行け!」

下っ端の、男の妖気がわからぬ山賊たちが、一斉に襲い掛かる。

が、男は身動ぎ一つせず、そこに立っているだけなのに、

刀は一向に男に切り込むことができない。

切り込もうとしても、男の周りで跳ね返される。

「な、なんだ、こいつ!?」

「化け物か!?」

「やっと気づいたのか?馬鹿者め。」

櫻井を脱がそうとしていた山賊にも、男の得体のしれない強さが伝わり、

おろおろしながら櫻井の首に刀を当てる。

「そのわけのわからない術を外せ!でないとこいつの命がないぞ!」

櫻井の腕を後ろで締め上げる。

「気を付けてください。それ以上締めあげたら、腕が折れてしまいます。」

「う、うるせぇ!生意気な口を叩くな!」

山賊が喉に当てた刀をスッと動かす。

じわっと、櫻井の首筋に赤い線ができる。

「あ、着物に垂れたら取れないんですよ、血は。」

「知ったことか!」

「雅紀さんが角を生やすと、なかなか引っ込めてくれなくて、大変なんですから。」

「うるせぇ!もうしゃべるな!」

山賊は男に向き直る。

「いいのか?このままこいつが八つ裂きになっても?」

虚勢を張るように、刀をキラッと光らせる。

「いいぞ。その方が好都合だ。こいつがいなくなれば、わしは晴れて自由の身だ。」

「そんなこと言わないで、助けてくださいな。」

「助けてもいいが……、結界と封印、解いてもらうぞ?」

「それはできません。」

「なら、自分でなんとかするんだな。」

男がニヤリと笑う。

「仕方ありませんねぇ。」

櫻井がチラッと山賊を見ると、締め上げられていた腕に一瞬力を込め、山賊の手を振り払う。

「うっ、逃がすか!」

山賊の刀が櫻井の喉に食い込む。

見た目通り、柔らかい肉の感触。

山賊が力を入れるまでもなく、刀は櫻井の喉を掻き切る。

飛び散る血しぶきに、山賊が視線を逸らすと、

腕の中にいたはずの櫻井の姿がなくなっている。

「え?あ……?」

キョロキョロと手や周りを見回し、櫻井を探す。

すると、いつの間にか、男の隣に並ぶ櫻井が目に入る。

「いつの間に!?首は!?」

仲間に同意を求めるように見回すが、山賊達には何が起こっているのかわからない。

ただ、不意を突かれて櫻井が逃げただけにしか見えていない。

櫻井は男に笑い掛け、首筋を撫でる。

「これくらいなら、着物は大丈夫。」

手に着いた血を親指で擦って伸ばす。

「自分の命より着物の方が大事か?」

呆れたように男が眉を顰めると、櫻井がクスッと笑う。

「命も大事ですけど、着物を汚さない、と言挙げしたので……。

 守らないと。」

「本当におっかない嫁さんだな?」

「嫁ではありません。」

櫻井がふふっと笑う。

「後は狐殿がなんとかしてくれるでしょう。

 ここに居れば。」

櫻井は笑って男の後ろに隠れる。










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