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「みんなと作ったお話」
Waiting for you(やま)

Waiting for you ⑦

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「お前、遅っ。」

やっと会えたのに、開口一番がそれ!?

にっこり笑って言うセリフ?

せっかく頑張って中間地点見つけたのに!

……サトシが現れたってことはここでいいんだよな?

サトシはふにゃりと笑ったまま。

口は悪いけど、機嫌は悪くないらしい。

「遅いってことは……待っててくれたってこと?」

「ばぁか。……待ってたわけじゃない。」

サトシは、少し頬を染め、恥ずかしそうに下を向く。

……なんだ、可愛いとこもあるんだ。

「僕じゃなく、T.E.P.O.が待ちくたびれてる。」

サトシは光の中から手を伸ばす。

袖の飾りがシャララと音をさせたような気がした。

俺はサトシの方に手を伸ばす。

指先が触れて、ドキッとする。

サトシは実体がある!?

そのまま指を滑らせるようにして手の平を合わせる。

しっかりとサトシの手を握ると、サトシがギュッと俺の手を引っ張った。

「あ……。」

考える間もなく、光の中に引き込まれる。

サトシに抱きしめられ、目の前の水が歪む。

「しっかり掴まっていろ!」

グワンと水がうねり世界が揺れる。

俺はギュッとサトシに抱き着く。

サトシは満足そうに笑うと、右手をスッと上げ、目をつぶる。

目の前にあるサトシの顔。

間近で見るのは初めてだ。

ドキドキが止まらない。

何が起こるかわからないドキドキなのか、

サトシが近いドキドキなのか、俺にもよくわからない。

でも、確実に言えるのは、近くで見てもサトシが綺麗だってことだ。

閉じた目を縁取る睫毛の長さ。

白い、透き通るような肌。

しっとりと濡れた赤い唇。

俺より少し背の低いサトシは、俺をちゃんと両手で抱きしめてくれてるけど、

どっちかって言うと、俺が智を抱きしめてるようで……。

気付けばサトシの唇と俺の唇は後2、3センチの距離。

サトシは、目をつぶってるから気付いてない。

気付いてない……?

揺れた瞬間にぶつかってもおかしくない……?

ばかっ。

何考えてんだ?

相手は男だぞ!

でも……、キスだけなら、男も女も変わらない?

心臓はまだドキドキしたままで、サトシの唇はどんどん近づいて行く。

男同士でも、キスなら変わらない!

俺が意を決して目をつぶろうとした瞬間、サトシの目が開く。

心臓が口から飛び出すかと思うほど跳ねる。

一気に血液が流れ出したように、体中が熱くなる。

「着いたぞ。いつまで抱き着いてる?」

ハッと気づくと、もう水の中ではなくて……。

不思議なことに体も服も濡れてない。

サトシが俺から腕を下す。

俺も下すと、二人の間が開く。

密接していた体が離れて、寒いような寂しいような……。

「行くぞ。」

サトシの服がシャラリと揺れる。

何でできているんだろう?

柔らかくて、サラサラしてて、しなやかな触り心地。

そんな布に付けられた、シャラシャラなる飾り。

「サトシの服、なんでできてるの?」

「僕の服?」

サトシは覗き込むように、自分の服を見る。

「さぁ、なんだろう?考えたこともない。」

「ないの?」

「ああ。」

「シャラシャラ鳴るのは?」

「これか?」

サトシが右手を上げる。

シャラシャラ揺れる袖の飾り。

「わからん。」

「いつも、右手が揺れて、綺麗だなって思ってた。」

普段の俺なら絶対言わないようなことが口を突く。

「左手の袖にもついてるんだね。気づかなかった。」

俺はサトシの左手の袖のシャラシャラを撫でる。

「左手はあまり動かしてはいけない。不浄の手だから。」

……?

宗教的なこと?

サトシの足が早まる。

遅れないよう、俺も早足になる。

「どこへ行くの?」

サトシは振り向かず歩き続ける。

「まずはT.E.P.O.に報告だ。」

「俺が来たってこと?」

サトシは静かにうなずく。

俺はキョロキョロと辺りを見回す。

蜃気楼の中に見ていた景色が広がっている。

鉛筆の先のような屋根。

茶色の土壁。

可愛らしい丸い窓。

童話や映画のような景色。

これが本当に存在してる?

しかも、地底に!!

サトシの美しさにばかり目を奪われていたけど、この世界も美しい。

でも、これは現実?

ニノのゲームの世界?

「開けるぞ。」

目の前には見上げるほどに大きな扉。

サトシが右手を翳すと、扉がゆっくり開く。

サトシは俺を気にすることもなく、中に入って行く。

俺も続いて中に入る。

中に広がっていたのは、街並みとは真逆の景色。

全面に並べられたデジタル装置。

いたるところで緑色の光が点滅したり、白く光ったりしている。

これは何の装置だ?

「サトシ、ここは?」

サトシは真っ直ぐ歩いて行く。

「これが全てT.E.P.O.だ。」

「全部!?」

俺は改めて部屋中を見渡す。

高さは何mくらいあるんだろう?

5m?10m?

部屋中、いや、たぶん、建物中が一つのコンピューターになってるんだ。

「T.E.P.O.の頭脳の役割をするのが、これだ。」

サトシが立ち止まり、その背にぶつかる。

「痛っ……。」

鼻を押さえながらサトシの横に並ぶ。

目の前に現れたのは、高さは2m位?

ロケットのような形をした機械。

「T.E.P.O.、翔を連れて来ました。」

サトシが右手を腰の辺りに当て、腰を屈める。

俺もサトシの真似して腰を折る。

「初めまして、翔。」

コンピューターから声が聞こえる。

思ったより柔らかい、女性の声だ。

「は、初めまして……。」

T.E.P.O.の周りを青と赤の光が走る。

「T.E.P.O.が喜んでる。」

サトシが俺を見て、にっこり笑う。

「翔、…………………。」










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