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「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -26-

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「水鏡?」

「でやるって雑貨屋の奥さんが言ってたぞ?」

有岡は、軽トラの荷台に腰を乗せ、足をぶらつかせながら考える。

「……父さんも使ってたのかな……。家に帰ればわかるけど。」

「お前にわかるのかぁ?」

大野が見下したようにそう言うと、有岡が頬を膨らませる。

「神事はほぼ伝承だけど、じいちゃんがまとめたのが家にあるんです。」

「伝承なのに、文字にしたってこと?」

櫻井が不思議そうに首を傾ける。

「うん……。うちの村は跡継ぎに困ることはほとんどないんだけど、

 叔父さんが出て行っちゃったり、俺が一人っ子だったりしたから、

 じいちゃんが心配したんだと思う。

 その俺も家を継ぐ気はないし……。」

有岡が珍しくすまなそうな顔をする。

おじいちゃん子だったのかと、

大野が近寄り、項の付け根の辺りをポンポン叩く。

「なぁに、仕方ねぇだろ?自分の気持ちには逆らえねぇ。」

「うん……。」

見上げる有岡の目はじわりと潤み、太陽を映してキラキラと輝く。

泣かせたのかとドキリとした大野に向かって、有岡が両手を広げる。

「大野さぁ~ん!」

大声と共に大野に抱き着くと、素肌の胸に顔を擦りつける。

大野も、よしよしと有岡の背中を撫でる。

「じいちゃんの分まで長生きすれば十分……。」

言い終わる前に、胸に異様な冷たさを感じ、ビクッとする。

胸元の有岡を見ると、舌を長くだし、大野の胸をペロペロと舐めている。

「あ~り~お~かぁ~!」

大野が目尻を吊り上げ、威嚇するように睨むと、

頬を赤らめた有岡が、潤む瞳で大野を見上げる。

「いやだなぁ。……大貴って呼んで。」

勢いよく有岡を離し、舐められた胸をパッパと払う。

「んふふ~、大野さん、しょっぱくって男臭い!

 モロ好みの味~!」

有岡がペロッと唇を舐めると、後ろから両耳を摘ままれ、逃げる間もなく引っ張られる。

「い、痛いっ!いたたたたっ!」

「有岡君、少しおイタが過ぎるみたいだね?

 なんなら俺がお相手するけど、どうかな?

 俺の相手は少々ハードになるけど、君、そういうのきらいじゃなさそうだしね。」

両手で引っ張り、ピンと離すと、櫻井の腕から有岡が逃げる。

「痛いですぅ~、櫻井さん!」

「そりゃ痛いよね?君、痛いの好きそうに見えたんだけど、

 そうでもなかった?それは、悪い事したねぇ。」

櫻井が冷ややかに笑い、両手をパンパン払う。

有岡は両耳を撫でながら反論する。

「し、仕方ないじゃないですか!

 誰だって、目の前に美味しそうなスイーツがあったら

 舐めたくなるでしょ?

 美味しそうなトウモロコシがあったら撫でたくなるでしょ!」

「トウモロコシを撫でるか!」

大野のツッコミも空しく、有岡と櫻井の応酬は止まらない。

「だからって、なんでも食べて言いわけじゃない。

 スーパーでだって、売っている物を舐めたりしないだろ?」

「でも、試食コーナーってのもあるし。」

「honeyは試食できるって言いたいのか?」

「そうです!試食してみなきゃ、美味しいかどうかわからない!」

「君は大きな勘違いをしているようだね?

 honeyは試食できるような素材じゃないんだよ。

 一玉2万円はする、太陽のマンゴーだ!」

「だから余計に食べたくなるんです!!」

「ばかを言ってもらっては困る。honeyが誰のモノかわかっているのか?

 私のモノだ。私の許可なく味見なんかされてたまるか!」

言い合う二人の間に割って入って大野が叫ぶ。

「ふざけるな!俺の意思はどうなってるんだ!」

櫻井と有岡は顔を見合わせて、ハッとする。

「ね、大野さん!いいですよね?ちょっとくらい味見しても!」

「honey、拒否できないhoneyだとは思ってないけど、

 俺のhoneyだってこと、忘れてはいないよね?」

大野は二人を両手で押しのけ、耳を塞ぐ。

「ああ、うぜぇっ!俺は俺だ!好きにさせろ!」

その大野を後ろから抱きしめ、櫻井が囁く。

「そうだよ。honeyは好きにすればいい。

 俺の腕の中で。」

勝ち誇ったようにチラッと有岡を見ると、有岡が走ってやってくる。

「大野さん!好きです!

 俺、結構縛らないタイプです!俺の気持ち、受け取ってください!」

大野を前から抱きしめ、陽に輝く胸の筋肉に頬を寄せる。

「だぁ~っ!うざいっ!離れろ!」

大野は前も後ろも払い退けると、軽トラに向かって歩き始める。

「どっちでもいい!運転しろ!」

濡れたシャツを肩に掛け、荷台に飛び乗る。

「待ってください!大野さ~ん!」

有岡が大野を追うと、櫻井はそれを軽やかに抜きさり、大野の隣に乗り込む。

「さ、運転手君、早く出したまえ。」

櫻井がニヤリと笑う。

「ずっるー!」

有岡が不満そうに口を尖らせると、大野がその口をパンと叩く。

「いいから、早く出せ。暑くてかなわん。」

大野は濡れたシャツを、今度は頭からかぶった。










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