「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【181~ 】

ふたりのカタチ (183)

 ←ふたりのカタチ (182) →忍びの国 智Ver. 上

「ショウ君……。」

「ん~?」

「ショウ君!」

「……なに?」

「もう、SHOさんもいないし……。」

「……うん。」

「そろそろ離して欲しい。」

ショウ君に後ろから抱きしめられた体を捻って、ショウ君を見上げる。

「もうちょっと……。」

「……撮影……始まっちゃうよ?」

「大丈夫。始まりそうになったら誰かが呼びに来てくれるだろ?」

「……今日はショウ君がマネージャーなのに?」

「……そうだけど……。」

「しかもその顔!」

ショウ君は、眉も目も下げてニヤニヤ笑ってる。

「そんな顔?」

おいらがちょっと嫌みっぽく言っても、全く顔を変えず、

嬉しそうにニヤニヤしながら、おいらを抱きしめ続ける。

「なんでそんなデレデレした顔してんの?」

「そりゃ……サトシの人生のパートナーだから。」

ショウ君は思い出したのか、さらに目尻を下げる。

そんな顏……二人っきりだからって!

誰か入ってきたらどうするの?

しかも、この体勢のまま!

おいらが心配していたら、ガチャッとドアが開く。

「全く……何をしてるのかと思って、来てみれば……。」

ドアを開けて入ってきたのは類さんで。

「る、類さん!?」

類さんを目にしたショウ君の腕に、さらに力が入る。

類さんがツカツカと近づいてきて、ショウ君の腕を離しにかかる。

さらにおいらを抱きしめるショウ君。

「ショウ君!苦しっ!」

おいらがもがくのと類さんの手助けで、ショウ君の腕から外れておいらが飛び出る。

離された拍子に、大きく息を吸う。

本当に苦しかったんだよ、ショウ君!

「もう撮影始まりますよ、サトシさん。」

「う、うん。」

ショウ君を見ると、ショウ君はふて腐れたような顔で類さんを睨んでる。

「ショウ君!」

おいらはショウ君の手を取り、ギュッと握る。

「今日はマネージャーなんだよね?」

「そ、そうだよ。」

「類さんは取引先。仕事相手だよ。わかってるよね?」

「わ、わかってるよ!」

ショウ君は投げるてるように言って、大きく息を吐く。

「花沢さん、おはようございます。」

一瞬で作る営業スマイル。

さすが!

類さんは呆れたように笑って、おいらを見る。

おいらも、困ったように笑って、ショウ君の隣に並ぶ。

「そろそろお時間ですか?」

ショウ君はそんなおいら達を無視して、すまして言う。

「ええ、そうです。そろそろ呼ばれますよ。」

「ありがとうございます……で、花沢さんはどうしてここへ?」

ショウ君の顔が嫌みっぽくなる。

「いえね、今日の撮影の話を聞きまして……。

 これは映画の宣伝をしないとと……。」

類さんも、ニコッと営業スマイル。

「わざわざ、ありがとうございます。

 ですが、今日は私がおりますので、心配ご無用。

 しっかり宣伝しておきますので、花沢さんはどうぞ、お帰りください。」

紳士然とした言い方なのに、ものすっごく嫌みったらしいショウ君。

ショウ君っ!

おいらが心配して類さんを見ると、類さんも嫌みっぽい笑顔に切り替わる。

「それはそれは。よろしくお願いします。

 サトシさんを前にして、仕方がないことだとは思いますが、

 隙あらばサトシさんに抱き着くようなマネージャーに、どこまでできますかね?

 精々、宣伝してくださいね!櫻井さん!」

ショウ君の頬が上がって、ムッとする。

ああ、ショウ君……。

「あんなに素敵な奥様がいらっしゃるのに、サトシにフラフラした花沢さんなら

 お分かりになって頂けますよね?

 サトシを目の前にした時の心境は。

 しかしながら、サトシの人生のパートナーは私です。

 いつ抱きしめようと、キスしようと、許されているのです。私は。」

ショウ君が、握ったままのおいらの手をグイッと引く。

「ええ、もちろん存じ上げておりますよ。

 櫻井さんが嫉妬深いヤキモチ焼きだってことくらい!」

類さんも表情は変えず、ショウ君を見下すように見てる。

ど、どうしよう?

今、仕事中だってわかってるよね?

二人とも!

「さ、サトシさん、時間です。」

類さんの手が、おいらの背を押すように触れると、その手をショウ君がパシッと跳ね返す。

明らかにムッとした類さんが、もう一度おいらの背に手を伸ばす。

今度は触れる前に払い落すショウ君。

二人の手が、おいらの背中で何度も攻防を繰り返す。

類さんの手はおいらに向かい、それを次々払い退けるショウ君。

だんだんスピードも上がってきて……。

まるで格闘してるように、両手でせめぎ合う。

「ショウ君!類さん!」

思わず叫ぶと、二人がおいらの方を見て手を差し出す。

「サトシさん、行きましょう!」

「サトシ、俺と行くだろ?」

二人にじっと見られて……。

おいらは二人の手を跳ね上げる。

「大丈夫!おいら一人で行けるから!

 今は仕事中!」

頬を膨らませて二人を見ても、二人はまだ睨み合ってる。

「それとも、なに?三人で手を繋いでいく?」

おいらが、怒った調子でそう言うと、二人もちょっとシュンとする。

大きな体でシュンとする二人が可愛くて、おいらは二人の背に手を添える。

「ほら、行こ。二人とも、ちゃんとお仕事して!」

二人の間を通ってドアに向かうと、

「ふんっ!」

と二人の声がして、思わずクスッと笑う。

子供みたいだよ!二人とも!

なんか、この二人、仲良くなりそうな気がしない?










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ふたりのカタチ (182)】へ  【忍びの国 智Ver. 上】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (182)】へ
  • 【忍びの国 智Ver. 上】へ