「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【161~180】

ふたりのカタチ (178)

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椅子に座ると、SHOさんがクルッと椅子の向きを変えてくれる。

おいらと、その後ろに立つSHOさんが鏡に映る。

「うん、今日も色っぽい。ね?」

最後の、ね?はメイクさんに向かって。

「色っぽくなんか……。」

むしろ、SHOさんはこの間よりも色っぽく見える。

メイクさんもうなずきながら、おいらの首周りに布を掛ける。

SHOさんは椅子から離れて、おいらがさっき座っていた椅子に座る。

「美術館っていいですよね?建築物まで美術品みたいで。」

雑誌を開く音。

やっぱりアイドルって忙しいんだね。

少しの時間も無駄にしない。

おいらは返事したいけど、メイクさんに顔を弄られてて返事できない。

「大野さんにこの美術館、とっても似合います。」

「は、はぁ、ありがとうございます。」

やっとしゃべれて、お礼を言う。

顔は動かせないから、鏡の端に映るSHOさんを見ると、

さすがアイドルって感じの爽やかな笑顔で、ゆっくり長い足を組む。

「ショ、SHOさんて、おいくつなんですか?」

「僕?36。」

おいらよりちょっと年上……。

だからかな?

見た目は20代でも通るくらい若く見えるのに、

落ち着いた雰囲気は、包容力を感じさせる。

組んだ膝が細くて、シュッとしてる。

……ショウ君にも、やっぱり……ダイエットしてもらおうかな。

ショウ君だって太ってるわけじゃないよ?

今のままでも十分カッコいいし。

でもちょっとお腹のお肉が……。

そ、それもフニフニできて気持ちいいし、可愛いんだけどね……。

「大野さんは?」

「おいらは……あ、僕は32です。」

ふふっとSHOさんが笑う。

「いいですよ。普段通りで。大野さん、自分のこと、おいらって言うんだ。」

SHOさんの声も、ショウ君に似てて、低めの優しい声。

「そ、そうなんです……昔からで……すみません……。」

「普段通りにしてください。その方が親しみがもてる。」

「そ、そうですか?ちゃんとしなくちゃいけないのに、ちゃんとできなくて……。」

「そんなことないですよ。大野さんはちゃんとしてる。

 ああ、マネージャーさんが、もっとしっかりしてるのか。」

突然、ショウ君のことを振られて、ドキッとする。

「そ、そうなんです。ショウ君……あ、櫻井さん、本当にしっかりしてるから。」

SHOさんのクスクス笑う声。

「ああ、いいですよ。本当に普段通りで。僕も普段通りにさせてもらうから。」

「はぁ……。」

おいらの顔を覗き込むメイクさんから、目を逸らして、答える。

こんなに近くで顔を見られたら……目をどこにやっていいかわからないよ。

「マネージャーさんのこと、ショウ君って呼んでるの?」

「は、はい……。幼馴染なんです。」

「幼馴染?」

「幼稚園から一緒で……。」

「幼稚園から……ずっと?」

「はい……高校まで一緒で、大学は別々だったんですけど……。」

「そうなんだ。いつからマネジメントを?」

い、いつ?いつって言われても、先週から?

SHOさんの時だけなんて言えないし……。

「さ、最近です。おいらを見かねたショウ君が……。」

「……心配して?」

SHOさんのクスッと笑う声が聞こえる。

「ま、まぁ、そうです。」

おいらが答えると、メイクさんに顎を持ち上げられる。

「ちょっと、目だけで向こう、見てもらえますか?」

目玉だけをSHOさんの方に向ける。

視界のほんの隅の方にSHOさんの靴が見える。

おしゃれさんだなぁ。

いい艶感。

ショウ君に似合いそう。

「仲がいいんだね。」

「え?」

言い方に含みを感じて、ドキッとする。

顔を見たいけど、見えないから……。

なんだろ?

ずっと何か言いたいような雰囲気なんだけど……。

メイクさんがいるから言えないのかな?

「花沢さんと一緒に仕事するの、嫌がらない?」

突然の類さんの名前にまたドキッとする。

「え、いえ、そんなことは……。」

「花沢さん、カッコいいよね。仕事はできるし、仕草がスマートで。」

「は、はぁ。」

「女なら、すぐ惚れちゃいそう。」

メイクさんもクスッと笑う。

「でも、花沢さん、結構固いんですよ。私の友達、飲みに誘ってフラれてました。」

「そりゃ、素敵な奥さんがいるから。」

おいらが上目遣いでメイクさんを見ると、クスッと笑うSHOさんが雑誌を閉じる。

「花沢さんは好みがうるさそうだからね。

 でも、大野さんは好みのタイプって感じ。」

「そんなこと……おいら、男だし。」

さらにクスクス笑うSHOさん。

「好みなら、男も女も関係なさそうじゃない?」

メイクさんがおいらから離れて、顔が自由になると、

鏡の中のSHOさんが、ゆっくりと足を組み直した。

「それは……。」

そんな姿も優雅でセクシー。

なんだっけ?

昔の映画で、色っぽい女の人が足を組むやつ。

あれの男バージョン?

男前を見せつけるように、人差し指で唇を撫でる。

ゾクッとするほどの色気に圧倒されていると、

控室のドアが開いて、ショウ君がゆっくり入って来た。










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