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「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【141~160】

ふたりのカタチ (158)

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「本当に?」

「うん、気にしてないよ。」

できるだけ平静を装って答える。

気になんか……。

ハンバーグはいい感じに焼けてきて、真ん中がフワッと膨らんで。

おいらは、もう一回ひっくり返す。

肉汁が染みだして焼ける音。

「……明日会うよ。その後輩と。」

「へ、へぇ~。」

あ、会うの?

なんで?

断ったんだから、もう会う必要なくない?

「仕事の相談だって。」

「そ、そうなんだ~。」

ショウ君はおいらの心を読んだみたいな答えをくれる。

おいらは冷静に返事して、ハンバーグをお皿に乗せる。

「気にならない?」

「だ、大丈夫だよ。後輩なんだもん、ちゃんと相談に乗ってあげないと……。」

二つのハンバーグがお皿の上で美味しそうな湯気を上げる。

スープの火を止め、蓋を開けると、コンソメの匂いが広がって……。

「ちゃんと相談に乗ったら……また、キスされちゃうかもね。」

「え?」

おいらが振り返ると、腕を組んだショウ君が冷ややかな目でおいらを見てる。

なんで?どうしてショウ君がその態度?

不可抗力とはいえ、キスしたのショウ君なんだから、

冷ややかな目で見るのはおいらの方じゃない?

「俺があいつに会っても……いいんだよね?」

「い、いいよ……。」

ショウ君の態度にちょっと腹は立ってるけど、ショウ君は断ったんだもん。

それ以上ショウ君の行動を制限するのは……大人じゃない。

「そんな顏……してるくせに?」

え……おいら、どんな顔してる?

「ちゃんと言いたいことは言わないと……。

 俺ら、家族なんだよ?」

食器棚にもたれたショウ君が、ゆっくりと組んだ腕を外す。

「い、言ってるよ……、おいら、ちゃんと言ってる……。」

「そんな泣きそうな顔して?」

今度は組んだ足を戻して、呆れたようにおいらを見つめる。

……そんな顏……してる?

おいらは怒っていいはずなのに、なんで泣きそうな顔?

「嫌なんでしょ?俺があいつに会うの。」

…………。

「俺だったら嫌だね。仕事だろうとなんだろうと、花沢さんにサトシが会うのは。」

「で、でも、仕事だし、会わないわけには……。」

「だから、我慢してる。でも、サトシが花沢さんと二人で会うなんて……、

 死んでも嫌だね!」

「ショウ君……。」

「サトシは?サトシは俺が後輩と二人っきりで会っても嫌じゃない?」

「…………。」

「あいつに見つめられて、手を握られて……。」

な、なんで手、握る?

「顔が近づいて……。」

そこ、近づく必要ないから!

「俺はちゃんと断ったけど、あいつが諦めてなくて。」

それはちゃんと諦めようよ!

ショウ君は断ったんだから。

「いつまでも待ってます。今の人と別れたらなんて……。」

「別れないから!絶対そんなことにならないから!」

おいらは思わず叫ぶ。

すると、ショウ君がクスッと笑ってハッとする。

「絶対ならない?」

「ならないよ……そいつの出る幕なんてない!」

「本当は二人で会うのも嫌でしょ?」

ショウ君の目が優しくおいらを見つめる。

「…………嫌だよ……。」

おいらは大人げない自分が恥ずかしくて……。

そんなおいらをショウ君に見せるのが嫌で……。

ショウ君から視線を逸らす。

「嫌で嫌でしょうがないおいらなんて……本当に呆れられちゃう……。

 ショウ君に相応しくない……。」

「相応しい?何?どういうこと?」

鍋の中のスープを掻きまわす振りをして、ショウ君に背を向ける。

「ショウ君みたいに……カッコ良くて、何でもできて……。

 そんな人の隣においらじゃ……。」

「ヤキモチ焼きは、俺に相応しくないと思ってる?」

そうじゃなくて……。

ショウ君の隣に並ぶなら、しっかりした大人じゃないと……。

会社でのショウ君は、とてもしっかりしてた。

大人で、カッコ良くて……。

見た目も中身も完璧にカッコいいショウ君。

その隣に並んでいくなら、おいらも大人でなくちゃ……。

「ヤキモチ焼くような可愛いサトシは俺に相応しくない?」

……全然可愛くない。

可愛くないどころか、カッコ悪い……。

「じゃ、俺もサトシに相応しくないね。いっつもヤキモチ焼いてサトシを困らせてる。」

「困ってないし、ショウ君はカッコいいもん。おいらにはもったいない。」

「もったいない?それ、ジュン達が聞いたら、

 俺にサトシがもったいないって言うんじゃない?」

「そんなことないし、言ったとしてもみんな思ってないから。」

「思ってるよ。俺が一番思ってる。

 俺にサトシはもったいない。もったいないくらいの伴侶だよ?」

伴侶……。

ショウ君の手がおいらの頬に伸びる。

「サトシは俺の伴侶なんだよ。

 これから先、ずっと一緒に連れだって歩いて行くんだ。

 なのに、ちゃんと本心を言ってくれないの?

 無理にカッコつけなくていいんだよ。

 ヤキモチ焼いてるなら、焼いてるってそう言って欲しい。

 誰かと一緒にいて欲しくないなら、ちゃんと言って?」

「ショウ君……。でも、そしたらおいら……呆れちゃうくらい子供だよ……。」

「子供でもいいから……そんなサトシも大好きなんだよ……。」

ショウ君の指が優しくおいらの頬を撫でる。

「ほんと……?……本当に……いいの?おいら、全然大人じゃないよ?」

ショウ君がクスッと笑う。

「そんなサトシもサトシなんだから……。」

ショウ君の唇が、優しくおいらのこめかみを撫でる。










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