「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【141~160】

ふたりのカタチ (156)

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「な、なんでもない……。」

やっぱり……聞けないよ……。

ショウ君はちょっと困った顔をして、おいらをソファーに座るよう促す。

おいらも、素直にソファーに座る。

隣に座ったショウ君が、おいらの手を優しく握る。

「今日は……家で仕事?」

「うん……そう……。」

家で仕事してたけど……。

「でも……田村さんに会った。」

ショウ君、田村さんのこと、気にしてたのって……。

ショウ君をチラッと見る。

ちょっとショウ君がギクッとした。

ギクッと?

やっぱり……ショウ君……。

「ショウ君……。」

涙目で見上げると、ショウ君が顔を背けた。

「ショウ君……。」

おいらはショウ君に抱き着いて、その胸に顔を押し付ける。

嫌だ!

絶対嫌だ!

ショウ君と別れるなんて……絶対できない!

なら、このまま何も言わず、黙って過ぎ去った方がいいのかな……。

そうすれば、別れるなんて言われなくてすむ?

「ご、誤解だ。誤解なんだ。」

ショウ君が、おいらの頭を両手で挟む。

おいらを引き離し、観念したようにおいらを見つめる。

「誤解……?」

「だから……田村さんに見られたのは……。」

「でも……。」

抱き合ってたんでしょ?

若い男の子と抱き合ってたって……。

「あ、あれは、突然で……避けることもできなくて……。」

本当に……誤解?

何もないの?

「ショウ君……ほんと?」

「本当だよ。俺がサトシ以外にあんなこと、するわけないだろ?」

「でも……おいらも見たんだ……。汐留で……仲良く歩いてるとこ……。」

「だから……。」

ショウ君はおいらの顔をギュッと握って、顔を近づける。

「全部誤解。あれは、可愛がってる後輩。

 大学の後輩で、俺を慕ってうちの会社に入って来たんだよ。

 だから、相談なんかに乗ってて……。

 それだけ。それだけだから!」

「ほんと……?」

「当たり前だろ。」

「本当に……?」

「信じてくれないの?」

ショウ君がちょっと不満そうに口を尖らせる。

良かった……。

なんでもないんだ……。

本当になんでも……。

ホッとしたら、涙が溢れてくる。

「サ、サトシ……。誤解なんだよ?わかってる?」

「うん……わかってる……わかってるけど……。」

溢れる涙にショウ君がオロオロしだして……。

良かった……。

本当に……。

泣きながら笑ったら、ショウ君がおいらの涙を親指で拭ってくれた。

「心配……したの?」

ショウ君の声が、ちょっと上がる。

「うん……。他の人、好きになったのかと思って……。」

「ばかだね……そんなこと、あるわけないでしょ。」

ショウ君の手が優しくおいらの髪を撫で上げる。

「若くて……可愛い子だったし……。」

「サトシ以上に可愛い子なんていないよ。」

「仲良さそうで……。」

「……確かに仲はいいけど……。」

ショウ君の顔がグッと目の前まで近づく。

イケメンが嬉しそうに笑ってる。

「後輩としてね?こういうことしたいのは、サトシだけだよ……。」

ショウ君の唇が近づいてきて……。

おいらの唇に優しく重なる。

重なって、すぐに舌が差し込まれる。

舌先を絡めて、吸い付くようなキスを交わす。

優しいのに、肉感的なキス。

舌の根元をくすぐられて、ゾクゾクっとして……。

いつの間にか、おいらの腕もショウ君の首に絡みついてた。

「ショウ……く……。」

クチュクチュと唾液の音が響いて、心の中の心配の泡も一緒に弾けて行く。

「サトシ……信じてくれる?」

「う……うんっ……。」

キスが続いて……。

下腹部が疼いたけど……。

グ~。

おいらの腹の虫が鳴った。

「ショ……ご飯……食べ…よ?」

恥ずかしくて、視線を下げながら言う。

「あはは、いいよ。俺も腹空いてるし。」

ショウ君の声が楽しそう。

余計恥ずかしくなって、ショウ君に背を向けてキッチンに向かう。

今日は……たくさんのみじん切りを入れたハンバーグとスープ。

「すぐ焼けるから……待ってて。」

おいらはフライパンと鍋に火を入れて、冷蔵庫からタネを取り出す。

ショウ君が後ろから近づいてきて、おいらを抱きしめる。

「ショウ君……。」

首だけで振り返ると、イケメンが、イケメた顔で笑ってる。

「俺も手伝う……。」

「いいから……シャワー、浴びてきちゃえば?」

「シャワーは……後でサトシと一緒に浴びる……。」

ショウ君の唇が、おいらの耳を甘噛みする。

「やんっ……。それじゃ、手伝いにならないから!」

むしろ邪魔してる?

「うそうそ。」

ショウ君は笑っておいらから離れると、隣で食器棚からお皿を取り出す。

お皿を台の上において、ほら、お手伝いだろ?って顔でおいらを見つめる。

「んふふ。ショウ君は……。」

ショウ君がニコニコ笑って、皿の縁を弄る。

「いやぁ、言えてよかった。気になってたんだ。

 あんな場面を田村さんに見られちゃったし……。」

「……見られなかったら……言わないつもりだった?」

「それは……いらぬ心配させても……。」

おいらが口を尖らせると、ショウ君の手が肩に回る。

「言って欲しい……見られてなくても……。」

「……わかった。言うよ。でも……なんて言う?」

「それは……そのまま……言うしかないんじゃない?」

フライパンに油を流し込む。

油はすぐに広がって、フライパンの底がキラキラ光る。

「え……、キスされましたって、言うの?」

…………。

…………。

キス……?

ショウ君、キスされたの?










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