「大人の童話」
Wonderful(やま)

Wonderful ⑤

 ←Wonderful ④ →Wonderful ⑥


下まで滑り落されたショーは少々不満です。

もうちょっとで頂上だったのに、それを阻まれたのですから、

闘争心に火が点きます。

ですが、どう考えても、これ以上登るのは不可能です。

また、落とされるのが落ちでしょう。

仕方ありません。

お腹もいっぱいになったことですし、

そろそろ戻らなければ、いつサトシが寝返りを打つかわかりません。

そこで、ショーは先に進むことにしました。

ショーは男です。

後戻りなんて絶対しません。

真っ直ぐ前を見て、突き進むのみです。

巨木を背に、ズンズン歩き出すショーでしたが、すぐに足元がなくなりました。

「あ~れ~~~っ!」

叫び声と共に、ショーは真っ逆さまに落ちて行きます。

そうです。

そこは崖になっていたのです。

幸いにも、両側の壁に手を着きながら落ちたため、

ストンとお尻から落ちることができました。

下は蒲団ですから、そうそう痛くはありません。

お尻を撫で撫で立ち上がると、目の前の崖にも蜜の滴った跡があります。

ショーはそれを手でなぞり、ペロッと舐めてみます。

確かに蜜の味です。

よく見れば、下の方の壁に裂け目があるではありませんか。

ショーは、その裂け目に沿って手で撫でてみます。

すると、ズズズズ~と両側にあった壁が開き、

裂け目が伸びたではありませんか。

いえ、伸びたのではありません。

裂け目が広がり、少し上を向いたのです。

まるで開けゴマ!で開く、魔法のようです。

ショーは裂け目の間に入って行きます。

壁は柔らかく、もちもちとした感触です。

やはり、若干湿り気も帯びています。

手探りで裂け目を進んでいくと、目の前に、ピンク色の綺麗な花が咲いています。

そうです。

綺麗なピンクの菊の花です。

ショーは菊の花から生まれました。

目の前のピンクの菊は、優しい母のように、ショーを誘います。

ショーは、温かかった花の中を思い出し

今日は、ここで寝よう……、

と、花の中心に手を入れます。

ショーの細い腕は、なんなく中心に入って行きます。

そんなにきつくはありません。

もう片方の腕も入れてみます。

両腕をグルグルと回し、中心を広げてみます。

ジワジワと広がったような気がします。

もうちょっと広がれば、ショーくらいなら入れそうです。

ショーは力を入れて広げて行きます。

下から、上から、左右にも広げます。

上の方を広げた時、遠くの方で呻き声が聞こえました。

サトシが起きたのかと思い、ショーは両手を抜いて、体を固くします。

動かれれば、あっという間に下敷きですから、身構えるのは当然です。

ショーは耳をそばだてます。

サトシの、どんな小さな動きにも瞬時に反応できるよう、腰を落として様子を見ます。

サトシが動く気配はありません。

ホッと安心したショーは、また、花に腕を入れ、広げて行きます。

「あ……ぁあんっ。」

今度ははっきり聞こえます。

あれはサトシの声です。

ショーはもう一度、上の方を大きく広げてみます。

「はぁ……やんっ……。」

ビクンっと壁が揺れ、ギュッと花が締まります。

確認の為、もう一度、上の方をグルグルと押し広げてみます。

「やぁ……ぁんっ。」

開いていた壁が、閉じかかり、閉じる直前で止まります。

少しして、ゆっくり開くと、花に向かって、あの蜜がしたたり落ちて来ます。

これはショーにとって嬉しいこと、この上ありません。

温かい寝床に、甘い蜜です。

盆と正月が一緒に来たようなものです。

ショーは花の中心に足を掛けると、両足を揃えて中に入って行きます。

蜜と共に滑り込むと、これがすんなり首まで入ります。

中は柔らかく、プニュプニュした感じです。

ヌメヌメしているので、体が自然と動きます。

「はぁ……もっ……もっとぉ……。」

両側の壁が震えるように揺れ、覆いかぶさっていた蒲団が落ちて行きます。

蒲団が無くなって、ショーは初めて、自分がどこにいるのか、わかりました。

ここは危険じゃね?

そう思いましたが、花の中が収縮し始めて、自分では簡単に出ることができません。

「もっ……動ぃ…て……。」

サトシの声が聞こえます。

「動くのか?」

ショーはちょっと大きな声で聞いてみます。

「お……ねが…ぃ……。」

ショーがいる所もろとも、小刻みに揺れ始めます。

ショーは振動に気をそがれながらも、体中で動き回って見ます。

纏わりつく粘膜と壁に、思うように動けない中、それでも懸命に手足を動かします。

「ぁあ……いぃ……きもち…ぃ……。」

サトシの振動が大きくなります。

ショーはその振動に合わせて、動き回ります。

「ああっ……ダメ……イク……イッちゃう……。」

ショーには、サトシがどこに行くのかわかりません。

でも、動きを止めてはいけないことはわかります。

懸命にジタバタすると、サトシの腰が宙に浮きます。

「ぁああっ!」

サトシの声と共に、腰が止まります。

「うわっ!」

ショーは思わず、花の中に顔まで入り込んでしまいました。

数秒後、内側から、ドクドクと大きな波がやってきて、

ショーを外に押し出します。

宙に浮いていたサトシの腰も、ゆっくりベッドに沈みます。

花から追い出されたショーは濡れたTシャツを引っ張りながら、

股の間からサトシを見上げました。

楊枝が、するどく上を向いているのが、少々恥ずかしかったのです。










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
もくじ  3kaku_s_L.png つなぐ
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【Wonderful ④】へ  【Wonderful ⑥】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【Wonderful ④】へ
  • 【Wonderful ⑥】へ