「大人の童話」
Wonderful(やま)

Wonderful ②

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家に帰ると、サトシは自分の赤いハンカチでショーのパンツを縫います。

ちょっと太い針を使うと、穴が空いてしまうくらい小さなパンツです。

楊枝の先が、そこから飛び出ては大変なので、

細い、細い針を使い、小さな小さなパンツを1時間かけて縫いました。

それをショーに履かせてみます。

ウエストには糸を通して結ぶようにしました。

当然、きつく結び過ぎると脱げなくなります。

「ショー君、トイレ行く時は、優しく結んでね。」

「優しく?」

「そう、これくらい……。」

サトシが器用にフワッと結びます。

それでもパンツは落ちません。

「わ、わかった。」

ショーはそれを解いて、自分で結んでみます。

なかなか上手く結べません。

「いいよ。トイレに行ったら、おいらのとこ来て。

 結んであげるから。」

サトシがにっこり笑います。

「う、うん……。」

ショーは、なんだか情けないような気がして下を向いてしまいます。

「大丈夫。ヒモが結べないくらい、大したことじゃないよ。」

サトシは優しくそう言って、ショーの頭を撫でます。

「そ、そうだよな。大したことじゃない!」

パンツだけを履いたショーが偉そうに胸を張ります。

サトシはその姿が可愛い反面、ちょっと物足りなさも感じます。

さっきまで見えていた……楊枝の先が見えなくなってしまったからです。

自分で作ったくせに、見えなくなると寂しいなんて……。

サトシはクスッと笑います。

まぁいっか?

トイレに行ったら見れるし……。

楊枝の先は、サトシのお気に入りになったようです。

さて、家の中ではこのままでもいいのですが、外に出るとなると、

上半身も隠さなければなりません。

サトシは時間を掛けて、Tシャツを縫いました。

ちょっと大きく作り過ぎてしまったので、着るとワンピースのようになってしまいますが、

そこはそれ、さらに萌え度が増すと言うもの……。

パンツがギリギリ隠れるくらい、太腿と太腿の間から見えるのは……。

エロティシズムの絶対領域です。

「なんか……女みてぇじゃねぇ?」

テーブルの上で、ショーが頭を掻きながら自分の恰好を見ます。

「そんなことないよ。似合ってる。」

「そうかなぁ……。」

Tシャツを下に引っ張ったり、持ち上げたりして、カッコいい着方を探します。

「ショー君はイケメンだから、何着ても可愛いよ。」

「そ、そっか?」

親指で鼻を擦り、ショーがサトシを見上げます。

サトシは大きな欠伸をします。

「ああ、おいら疲れちゃった……細かい作業が多くて……。」

サトシはそうそうに寝室のドアを開けます。

「あ、ショー君……一緒に寝る?

 でも、一緒に寝たら潰しちゃうか?」

サトシは一人でクスクス笑います。

サトシの頬の下で、うんうん呻くショーを想像したのです。

「いいぜ。一緒に寝てやっても……。」

そっぽを向きながら、強がってみせるショーですが、

外が暗くなってきて、一人になるのがちょっと怖いのです。

「潰しちゃうかもよ?」

「いいから、早く連れてけよ!」

ショーが乱暴に手を差し出します。」

サトシはクスッと笑ってショーを手の上に乗せます。

「危なくなったら逃げてね?」

「大丈夫。俺、寝ねーし。」

「寝ないの?」

「寝たことねーもん。」

サトシは首を傾げて考えます。

まだ生まれたばかりです。

夜を体験するのも初めてのはず……。

「そうか。夜は寝るも……。」

そこまで言って、思い留まります。

何も知らない無垢なショーです。

教えたら、それが全てになるのです。

だったら……。

サトシの頭に、フッとイケナイ妄想が生まれます。

あんなことや、こんなこと……教えたら……。

何せ、サトシには恋人はおろか、友達すらもできたことがありません。

みんな、サトシを大好きですが、サトシの清らかさにやられてしまうのです。

やはりサトシは、ブンブン頭を振って、そんな考えを吹き飛ばします。

純粋なショーにそんなことを教えてはいけません。

サトシはショーに向かって言います。

「夜はね、眠って力を蓄えるんだよ。」

「そうなのか?じゃ、眠たくなったら寝るよ。」

サトシは小さくうなずいて、ベッドに潜り込みます。

ショーもサトシの顔の隣で、小さな綿を枕に横になります。

掛け布団はハンカチの残り切れです。

「おやすみ、ショー君。」

「おやすみ。」

ショーがそう言って、サトシの方を向くと、サトシはすでに眠っていました。

よっぽど疲れていたのでしょう。

ショーはフッと笑って、両手を頭の下に入れます。

まだ眠くはありません。

隣を見ると、サトシの唇が、息を吸う度に震えます。

赤い唇が、柔らかそうで……ショーは立ち上がってサトシの頬に手を掛けました。

あの唇に触れたい……。

そう思うと、いてもたってもいられず、よじ登ろうとしましたが、

ツルツル滑って上れません。

サトシの頬はスベスベなのです。

仕方なく、首の方から顎に足を掛けてみました。

上手く上れそうです。

顎の上、すぐそこにサトシの唇があります。

「ふんっ!」

と、勢いを付けて顎に上りました。

顎に両手を掛け、落ちそうになりながら、上りきると……。

サトシの赤く、柔らかい唇がショーを誘うように、震えていました。










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