「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【141~160】

ふたりのカタチ (146)

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「ご、ご飯作るね。」

おいらはショウ君に背を向けてキッチンに向かう。

「サトシ……。」

「今日は、あんまり時間なかったから……冷凍餃子でいい?」

冷凍庫を開けながらそう言うと、ショウ君が背中から抱き着いてくる。

「ひゃっ……。」

少し前かがみになった体勢のまま、ショウ君の体がおいらを包む。

「ショウ……君?」

首だけ後ろを向けると、ショウ君の頬をおいらの髪が撫でる。

「俺……サトシの前だけでいいから。カッコイイの。」

まだ情けない顔のショウ君。

「ショ……。」

ショウ君の腕の中で振り返って、ショウ君を見上げる。

「他のやつが何と言っても……そんなのはどうでもいい。

 サトシが、サトシだけが俺をカッコいいと思ってくれれば。」

ちょっとうつむき加減のショウ君なんて珍しい。

おいらは両手でショウ君の頬を挟む。

「そんなのきっと無理。だって、ショウ君は誰が見たって、こんなにカッコいい。」

顔を近づけてじっとショウ君の顔を見つめる。

大きな瞳。

スッと通った鼻筋。

厚めで、艶っぽい唇。

誰が見たってかっこいい。

誰が見たって好きになる。

誰が見たって……この唇に触れたくなる。

おいらはそっとショウ君の唇に唇を重ねる。

柔らかく挟んで、ちょっと引っ張って、力の抜けた唇の間に舌を差し込む。

ショウ君の舌が、力強くおいらの舌を巻き込んでいく。

それと呼応するように、ショウ君の両腕にも力が入る。

「あ、んっ……。」

一瞬、苦しいくらいになって、おいらも背伸びして、ショウ君の首に腕を回す。

どうしたって止められない。

ショウ君を欲しいと思う気持ち。

きっと、ショウ君に会った、誰もが一度は思うはず。

この人を手に入れたい。

この人の腕に包まれたい……。

それを今、一人占めしてる優越感。

それと同時に起こる不安。

本当に一生、一人占めできる?

おいらにそれだけの魅力がある?

「ショ……、抱いて……。」

びっくりしたようなショウ君の顔。

その顔はすぐに嬉しそうな顔に変わる。

ハッとして我に返る。

おいら……何言ってんだろ……。

「ごめん、ご飯、すぐ作るね……。」

「いいよ。飯なんて、いつでも食べれる。

 それよりも……大事なこと言ったでしょ?」

おいらは恥ずかしくって、ショウ君から顔を背ける。

「いや……あの、違うの……。」

「何が違うの?」

「だから……その……。」

「……サトシ。」

ショウ君はおいらを真正面に見据え、両手でおいらの顔を自分の方に向ける。

開けっ放しの冷凍庫が、プププと鳴る。

「……ショウ君……。」

「サトシが俺を欲してるなら、俺はいつでもウェルカム。」

そう言って、にっこり笑ってくれる。

「でも……、今日は、話をしてからの方がいいみたいだね。」

「どうして……。」

「サトシの顔がそう言ってる。」

ショウ君の親指がおいらの頬を撫でる。

優しい笑顔で、おいらを見つめる。

ショウ君にはなんでもわかっちゃう。

でも、なんて話せばいいんだろう?

おいらが黙っていると、ショウ君は頬を撫でてた両手でおいらの肩を叩く。

「まずは、一緒にご飯作ろうか?」

「……うん。」

ショウ君は、開いてる冷凍庫から、餃子を取り出し、コンロの方に持って行く。

「え?ショウ君が焼くの?」

「これくらいできるだろ?」

「……できる?麦茶しか作れない人が……?」

ショウ君はコンロと冷凍餃子を見比べて、口をへの字に尖らせると、

おいらに向かって餃子を差し出す。

おいらはクスッと笑って、それを受け取る。

「ショウ君はレタス出して、サラダ作って。」

フライパンを取り出してコンロに掛けると、ショウ君は笑顔で冷蔵庫を開ける。

十分熱したフライパンに餃子を並べると、ジュゥッと美味しそうな音がする。

隣でショウ君がレタスをちぎってボールに入れる。

その不器用な手つきが可愛くて、知らず知らずのうちにおいらも笑顔になっていく。

レタスがボールいっぱいになると、ショウ君が言う。

「サトシさ……最近、田村さんに会ってる?」

「田村さん?」

おいらはフライパンに蓋をして、ショウ君を見る。

大きくなっていた油の音が小さくなる。

「あんまり会えてない……。忙しいみたいで。」

「そっか……。」

「何かある?」

「いや、それならいいんだ……。」

……ショウ君、もしかして、類さんのこと気にしてる?

聞きたいけど、聞けないから、田村さんのこと聞いてみた?

おいらはショウ君を見上げる。

ショウ君の表情からは、そんな雰囲気は読み取れないけど……。

「田村さんが忙しい分……類さんがいろいろやってくれてる。」

「花沢類?」

「うん……。最近は、仕事で外に出る度、類さんが気を遣ってくれてる……。」

ショウ君はキュウリをまな板の上に置いて、包丁を握る。

「何も……されてない?誘われたりとか……してない?」

「全然。仕事だもん。」

おいらが笑うと、ショウ君は笑顔でキュウリを見つめる。

「あいつはフレンドリーを装って、すぐに触るから……、

 そこも気を付けるんだよ。」

ショウ君がキュウリの端っこを真っすぐに切る。

確かに類さんはスキンシップ、多い方かも。

でも、それを言ったら、ジュン君やカズも多いし……。

「首から上、腰、太腿、手に触ったら、グーパンチね?」

「グーパンチ?」

「そう。あいつ、いい子いい子とかすぐしそう。」

そう言って、ショウ君は拳を作ってパンチを繰り出す。

「あ、肩もダメね。」

「触られてもいいとこの方が少なくない?」

ショウ君が、ん~と首を捻る。

「じゃ、背中と二の腕以外はダメだ。エスコートするなら、それだけで十分だろ。」

おいらは二の腕を見て、肩越しに背中を見る。

「……わかった。」

「背中と二の腕も、手の平以外はなし!」

ショウ君はズバッときゅうりをぶった切る。

「あいつ、背中と二の腕はいいって言ったら、唇とかで触りそうだからな。」

おいらはショウ君の妄想力がおかしくて笑う。

さすがに……仕事中だよ。ショウ君!










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