「短編」
短編(いろいろ)

OK!ALL RIGHT!いい恋をしよう! ⑥

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なんとか仕事を終えて家路につく。

今日はちゃんと2時半に帰れた。

班長も、よしよしと言った顔でおいらを見てたから、

ちょっとホッとした。

アパートの階段に足を掛けると、昨日の翔さんのことを思い出す。

昨日は一緒に上ったんだよな……。

すっごい音させて、びっくりしたよな、きっと。

……たった一日。

なのに、こんなに考えちゃうのはなぜなんだろう?

翔さん、男にも女にもモテそう……。

おいらをその友達の一人にしてって言うのも……ちょっと図々しいかな。

もう、会えないんだから、それもお願いできないんだけど。

考えれば考えるほど、気持ちが沈んでいく。

昨日が……きっと楽しかったんだよね。

久しぶりに一人じゃなくて、しかも、あんなにキレイな人で。

おいらは音をさせないよう、ゆっくりと階段を上る。

重い足取りは、誰もいない部屋に帰るせい。

翔さんにもう会えないからじゃない……。

はぁ……なんか、おいら翔さんに恋してるみたいだ。

あ、しまった。

鍵……。

おいらはゆっくり戻り、ポストを確認する。

鍵は……入ってない?

ポストの隅から隅まで確認する。

ない……。

翔さんが間違えたのかと思って、他の部屋のポストも見てみる。

でも、鍵は見つからない。

まさか……ポストに入れるの忘れて、持って帰っちゃった?

それは困る……。

あんな狭い部屋だけど、おいらがいられるのはあそこだけなんだから!

でも、もしかして……。

逸る気持ちを抑えて、階段をゆっくり上る。

音が響く階段がもどかしく、それでも階段を上りきると、

一目散に自分の部屋のドアに手を掛ける。

ノブが回る。

部屋が開く。

「え……?」

開いたドアの中に、背中を丸めてコタツに入った白いシャツが見える。

ドアが開いたことに気付いて振り返った顔は、まさしく寝ぼけ眼の翔さんで……。

「翔さん……?なんで……。」

びっくりしてるおいらを他所に、翔さんが勢いよく立ち上がって、玄関にやってくる。

「え?あれ……?」

翔さんが大きく息を吸う。

「3億円なんて、どこにもなかったぞ!」

アパート中に響き渡るような声で、翔さんはそう言って、頬を膨らませる。

「え……?」

「智君があんなこと言うから……探したんだよ。この部屋。」

「この……部屋?」

「屋根裏から、畳の下まで!!」

「ええーーーっ?」

「何にも見つからなくって……。そうしたら、文句言うまで帰れなかった!」

「帰れなかったって……。」

翔さんはふくれっ面のまま、腕を組んでおいらを見てる。

それが、可愛くって、おかしくって、だんだん笑いが込み上げてくる。

「あは……あははは……翔さんってば!」

おいらの笑い声が響いたのか、隣のドアが開く。

「うるせぇぞ!何時だと思ってるんだ!」

怒鳴られて、小さな声で謝って、部屋の中に入る。

ドアをしっかりしめて、声を押し殺しながら笑った。

すると、釣られたように翔さんも笑い出して……。

二人でコタツの中に入って、コタツ布団を被って笑った。

「まさか……んふふふ、翔さんが信じるとは思わなかった!」

「ば……信じたわけじゃないよ。あんなことする人には見えなかったし……。」

「……じゃあ、なんで?」

「それは……。」

翔さんが、ちょっと言いよどんで、コタツから顔を出して、おいらを見て言う。

「これで終わりにしたくなかったって言うか……。」

照れたように視線を外す翔さんを見て、嬉しくなる。

「おいらも!おいらも……いてくれたらいいなぁと思ってた……。」

「智君……。」

翔さんも、嬉しそうに笑う。

「と、友達の一人にしてください!」

おいらは翔さんの前に手を差し出す。

「友達?」

「うん……、ダメ?」

「ダメだね。」

「……嘘ついたから?」

謝れば許してくれるなら、いくらでも謝るよ。

だから、翔さん!

「違うよ……たぶん、友達じゃないから……。」

「え……?」

翔さんの手が、おいらの頬を包む。

「たぶん……恋だと思うんだ。」

「恋……?」

まさかの言葉にびっくりして、それ以上何も言えなくなる。

言えなかったけど、近づいてくる翔さんの顔を、避けることもできなくて……。

そして気づいた。

おいらのも……きっと恋だって。

男同士だけど……これは……恋!



「ね……本当に探したの?」

「探したよ……畳剥がして、押し入れの天井開けて……。」

「うっそ……。」

翔さんの手がおいらの髪を梳く。

「もし……本当にお金があったらどうしたの?」

「お金があったら?」

「うん。」

おいらの指が翔さんの指と絡まる。

「その金持って、二人で逃避行!」

「……まじ?」

「まじ。」

翔さんがクスクス笑う。

「なんにしても……きっと帰って来るまで待ってたよ。」

翔さんのつま先が、コタツの中でおいらのつま先にくっつく。

「だから……いい恋をしよう。」

翔さんの唇がおいらの頬を掠め、おいらの唇も、翔さんの頬を掠める。

翔さんのシャツ……買ってこなきゃダメかも……。

頭の片隅でそんなことを思いながら、翔さんの唇に唇を合わせた。



……これが、おいら達の恋の始まり。

んふふ。いい恋……だと思う!










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