「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -9-

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「ふぅ……。」

大野に覆いかぶさったまま、櫻井が体の力を抜く。

「重……てぇ!」

大野が櫻井を押し返すと、櫻井の体は、大野の左側に仰向けになって沈んでいく。

繋がった部分が外れ、ダラリとしたそれを、櫻井が手早く処理する。

大野も両足を伸ばし、息をつくと、枕元の煙草に手をやる。

一本口に咥え、火を点け、ティッシュに包んだゴムを、

枕元のゴミ箱に捨てる櫻井に差し出す。

「ほら、点けてやったぞ。」

「ん……。」

パクッとそれを咥え、大きく煙を吸う。

大野の隣にドサッと体を沈めると、灰が落ちないよう、顔だけ上に向ける。

「珍しいね。honeyが点けてくれるなんて。

 頑張ったご褒美?」

「んなわけあるか。」

大野は、もう一本口に咥え、火を点ける。

「お前に頼みがある……。確かめて欲しいんだ。」

「……何を?」

首を傾げる櫻井を横目に、大野が白い煙を吐き出した。



「二宮さ~ん!」

事務所のドアが勢い良く開く。

「どうしたんですか?」

驚いた二宮が振り返ると、半べそを掻いた有岡が二宮に抱き着いた。

「うわっ。ちょ、ちょっと!」

「母さんが今すぐ戻って来いって!

 30年も音沙汰ない叔父さんが見つかるわけないって……。」

有岡は泣きながら二宮を見上げる。

「どうしよう……。」

「どうしようって言われても……。」

二宮は表情を変えず、有岡の腕を肩から外す。

「仕方ないですよ。ここは恋人を連れて戻ればいいじゃないですか。」

「そんなことできません!」

有岡はそれでも尚、二宮に抱き着こうとする。

それを遮るように、二宮は有岡の腕を掴む。

「どうしてです?お母様に会わせて認めてもらえば?

 今までのやり方がおかしい。

 今はそんな時代じゃないって、言ってやればいいじゃないですか。」

「そんなこと言えます?」

有岡は二宮の腕を返して、逆に二宮の腕を掴む。

「言うしかないでしょう?」

「それができれば苦労しませんよ……。」

二宮は溜め息をついて、有岡を見つめる。

「相手が……男だから?」

ギクッとした有岡は、目を瞠って二宮を見る。

「どうして……。」

「わかりますよ……。

 でも、最近じゃ、そういうのも市民権を得てます。

 ここは自信を持って、相手を連れて行けば……。」

「で、できません……。」

「……どうして?」

二宮が首を傾げると、有岡がつぶやく。

「……あいつ……仕事してないんです……。」

「仕事……してない?……ヒモ?」

有岡は困ったように笑って、小さくうなずく。

二宮は深い溜め息を着き、腕を外すと、ガシッと有岡の肩を掴む。

「悪いことは言わない……実家に帰って家を継げ。」

二宮の射るような視線が有岡に突き刺さる。

「嫌なんですってば~!」

有岡の叫びに、マイガールにいた相葉が、ん?と天井を見上げた。



仕方なく、有岡を宥めるように応接室のソファーに座らせる。

「ご依頼の……叔父さんは見つかりました。」

「え……。」

有岡の顔がパァーッと華やぐ。

「ですが、叔父さんにまだお話はできていません。

 どうなさいますか?ご自身でお話しますか?

 それとも……私共からお話しましょうか?」

「あ……そうですね。

 やんわりと……実家に顔を出すように促してみてもらえませんか?

 いきなり甥が現れても……。

 俺、会ったことないし……。」

有岡は居心地悪そうに体をもぞもぞさせる。

「それより……。二宮さん……どうして俺にの…付き合ってる奴が

 男だってわかったんです?

 二宮さんも……。」

「違います。」

二宮がきっぱり言い切る。

「私は好きになれば男でも女でも構いませんが……。

 好きになればの話です。

 決してそっちなわけじゃありません。」

「お、俺も同じです!なぜか初めて男を好きになっちゃって……。

 お金もないし、すっごくいい男ってわけじゃないけど……。

 好きなんです。」

「だったら、なおさら、実家にお連れすれば?」

「でも……わからないんです。」

二宮は不穏なものを感じ、腰の位置をずらす。

「何が……?」

「二宮さんに会ったら……。」

両足に体重を掛け、いつでも立ち上がれる姿勢を取る。

「二宮さんもいいなぁって!」

有岡は言うが早いか、二宮に抱き着く。

すかさず身をかわす二宮。

有岡の腕が空を切る。

「二宮さん!」

「断る!」

「おかしいんです。男はあいつだけのはずなのに……。」

有岡が切なそうな顔で二宮を見つめる。

「簡単なことです。」

二宮は後ろ向きのまま、応接室のドアを開ける。

「目覚めちゃったってことです!」

身を翻すようにドアの外に出ると、勢いよく閉める。

バタンと音が響いて、マイガールにいる相葉が、また、ん?と天井を見上げた。










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