「テ・アゲロ」
テ・アゲロ the twins (5人)

テ・アゲロ  the twins ⑧ -3-

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「毎日、進捗状況の説明はさせて頂きますが、あまり期待はしないでください。」

二宮がにこやかにドアを開ける。

「わかりました……、連絡は……二宮さんから?」

「はい。私がすると思いますが……。」

「そうですか。」

有岡は嬉しそうに笑って、事務所を後にする。

ドアが閉まると、二宮は両手を上げて伸びをする。

「はぁーーっ!見つかりますかねぇ?」

上げた両手を、デスクに戻ろうとする大野の肩に掛ける。

「さぁ、どうだろ?ま、見つからなくても……。」

「ん?見つからなくても……なんなんです?」

肩を揉みながら、大野の顔を覗き込む。

「他に手はあんだろ?」

大野は肩にかかった二宮の手を両手で跳ね退ける。

「ありますかね?神主ですよ?継がないわけにはいかない感じ、するじゃないですか。」

二宮はそのまま、自分のデスクに座り、パソコンの画面に目を向ける。

「まぁな。あいつが彼氏を連れて帰るしかねぇか?」

「……彼氏~?」

目を見開き、デスクに足を投げ出す大野を見つめる。

「どう見てもそっち系だろ?気を付けろよ。気に入られてんぞ。」

「まさか!」

「まさかもくそもあるか。最後のあの顔見て、何も感じなかったのか?」

「まったく。」

大野は笑って、投げ出した足を重ね、両手を頭の後ろで組む。

「ニノ見て、Mっ気が疼いたか?ニノのSは一味違うからな~。」

ケラケラと笑う大野をよそに、二宮はパソコンを叩く。

「ああ、出ました。スネイル……ビジュアル系バンドの走りですね……。」

返事をしない二宮を見て、大野が肩を竦める。

「ほらな?放置プレイもお手のもんだ。」

二宮は、また、カチャカチャとキーを叩き、画面を見つめる。

「ん~、これだけメイクしてたら、誰だかわかんないなぁ。」

「ニノ~、聞いてんのかぁ?」

手元にある、写真と画面を交互に見ながら、二宮が首を捻る。

「ニノ~!」

「ああ、うるさい。こっちは仕事してんの。

 うちがこんなに貧乏なのは誰のせいだと思ってるんです?」

大野はキリッと顔を作り、真面目な口調で聞く。

「今も活動してんのか?」

二宮は溜め息をついて、画面に目を走らせる。

「……一度解散したみたいですけど……、有名歌手がカバー曲を歌ったみたいですね。

 それがそこそこ売れて、1年前くらいにアルバムが出てます。」

「じゃ、まだ事務所に所属してる可能性はあるな。」

「ありますね。取りあえず、連絡してみます。」

「おぅ、頼む。」

大野が釣り雑誌を広げると、デスクの上の携帯が震える。

めんどくさそうにデスクに手を伸ばすが、

上体を背もたれに預けた姿勢のままでは手が届かない。

携帯の振動がデスクに響く。

指先を震わせながら指を伸ばす大野を見て、二宮が一喝する。

「ああうるさい!早く出てください!こっちはうるさくて仕事もできない!」

ビクッとした大野が足を下し、慌てて携帯を取る。

「怒んなよ。」

「怒ってるんじゃなくて、呆れてるんです。」

二宮はそのまま、どこかに電話をかけ始める。

大野は携帯をタップして耳に当てる。

「Hi,honey?」

「…………。」

「honey?どうしたの?俺の声に聴き入っちゃった?」

「ばかか。」

大野は背もたれに体を預けると、デスクに足を乗せる。

「ふふふ。honeyは本当に照れ屋さんだね。」

「切るぞ。」

「今晩、空いてる?」

「空いてねぇし。」

「知り合いの店でショーがあるんだけど、そこのシンガーがイイ声でね。

 ぜひhoneyを連れて行きたいんだよ。」

「空いてねぇって言ったの、聞こえてねぇのか?」

「ギターの弾き語りなんだけどね、やけに色っぽくて。

 あれを聴いた後のhoneyを想像すると……たまらないね?」

「勝手に想像してよがってんじゃねぇよ。」

「じゃ、今晩、8時にいつものとこで。迎えに行くから待ってて。」

「空いてねぇんだって!」

「口説かれてもついて行っちゃダメだよ?」

「だ、か、ら!」

「じゃ、夜。」

通話の切れた携帯から、プーと高い音が響く。

「ったく、どいつもこいつも人の話を聞け!」

大野はデスクに携帯を投げつける。

「あ~、壊れたら自腹ですからね!」

二宮がジロッと大野を見ると、大野は慌てて携帯を開く。

「大丈夫。壊れてない。」

ホッとした顏で二宮を見ると、当然、と言うように、二宮が大野を下目遣いで見返す。

「夜は櫻井さんですか?その前に、ここ、行って来てください。

 さっきのバンドの事務所です。」

二宮は地図がプリントされた紙を大野に渡す。

「まだいたのか?」

「ええ、所属はしてるみたいです。この中に本人がいるかどうか……。」

二宮はモニターの中の4人に視線を向ける。

「ギターが上手かったってことだから、このギターかボーカルか……。」

「とも限んねぇぞ?」

「事務所に行けば、メイク前の顔もわかるかもしれません。

 そこは上手くやってくださいよ?」

「わかってるよ。」

「ほら、早く行った!」

二宮が、立ち上がれと両手で煽る。

「行かないなら、浮気した彼氏にやり返す依頼、引き受けますよ?

 相手はボクサーだって言ってたよなぁ。

 当然、バイオレンスは大野さんの担当ですし~。」

「わ、わかったよ!」

大野はデスクから足を下し、上着に手を掛ける。

「いってらっしゃい。」

にこやかに手を振る二宮に、大野は溜め息をついた。

「俺の話は聞かないくせに……。」

「何か言いました?」

「……なんでもねぇよ!」

大野は上着に袖を通し、出入り口に向かう。

「いってらっしゃい。ちゃんと話、聞いてきてくださいね。」

「うるせぇ。」

大野の背に向かって、ニコニコ笑う二宮を、出入り口のドアが遮った。










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