Your Eyes(やま)

Your Eyes ⑥

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「ん……んん……。」

ズキッと頭が痛くて、顔をしかめる。

ボーっとする意識。

ゆっくり目を開ける。

白い……天井……?

あれ……、おいら、どうしたんだっけ……。

確か、飲んでて……。

ズキズキと痛む頭。

口の中が気持ち悪い。

……飲んでて……それから……。

「あ、気が付きました?」

ああ……櫻井君の声だ。

そうか、おいら櫻井君と飲んでて……。

右側の頭を押さえて櫻井君を見上げる。

上半身を起こそうとすると、グワンと視界が歪む。

「少し、お水飲んでください。体液を薄めないと、酔いが残りますよ。」

首の下に腕が入れられ、そっと頭を起こされる。

グラスが見える。

それを口にあてがわれ、コクっと飲まされる。

口の端から零れる水。

「あ……だいじょぶ……自分で飲めるから……。」

一度口を離し、そう言ってグラスに両手を添える。

「大丈夫ですか?しっかり持って……。」

櫻井君に抱き起こされたまま、両手でグラスを握り、水を飲む。

ああ……おいら、喉が渇いてたのか……。

コップ一杯の水を飲み干し、ホッと息をつく。

そうだ……濃い目の酒を飲んで、酔って……。

酔ったのには他にも理由があったような……。

櫻井君は、おいらをそっと寝かせると、コップを持って、どこかに消える。

あれ……ここ、どこだ?

ボーっとする意識が徐々に覚醒していく。

とりあえず、終電……まだあるか……。

目をパチパチと瞬きさせ、はっきり天井が見えることを確認して、ゆっくり上半身を起こす。

やはり、ズキッと頭が痛む。

「うっ……。」

こめかみ辺りがズキズキする……。

「大野さん、大丈夫ですか?今日は泊まっていってください。」

「泊まる……?」

ここは……。

おいらがキョロキョロ辺りを見回すと、櫻井君がクスッと笑う。

「僕んちです。酔いつぶれた大野さんをあのままにはできないし、

 大野さんの家がわからなかったので……僕んちに連れて来ました。」

明るい笑顔で、楽しそうに笑う。

櫻井君の家……。

少し広めの1Kか?

……一人暮らしの若者にはちょうどいいくらい。

ベッドも……一人には大きなセミダブル?

「いや……帰るよ。そこまで面倒かけるわけにはいかない……。」

蒲団を剥いで、ハッとする。

「……おいらの服は……?」

いつの間にやら、おいらは仕事用のスーツから、紺色のパジャマに着替えさせられている。

櫻井君が困ったように、壁に掛けられたおいらの服を見る。

「大野さん、タクシーで吐いて……。

 ちょっと汚れちゃったので、着替えさせてもらいました。」

「櫻井君が……?」

「はい。」

にっこり笑う櫻井君はキラキラに磨きがかかり、頬が若干染まってる。

「大野さん、見かけによらず……いい体ですね?」

櫻井君の嬉しそうな顔に、一気に記憶が蘇る。

そうだ……おいら、櫻井君に……。

見られた……?

いや、見られたって男同士だ。

しかし、相手はおいらに気があるって言った相手だぞ?

櫻井君が、ベッド脇に座り、おいらの髪に手を掛ける。

ビクッと体が跳ねる。

「そんなに怖がらないでください。

 何も取って喰いやしないから。」

櫻井君の笑顔はキラッキラのまま……おいらの跳ねた髪を撫でつける。

さらに、潤いが増す笑顔。

う、潤い……?

これ以上どうやって潤うって言うんだ?

ピッチピチの若者が!

「お、おいら、帰らないと……。」

櫻井君の手を跳ね除け、立ち上がろうとすると、

櫻井君の手が、おいらの動きを止める。

「まだ、無理ですよ。今日は泊まって行ってください。」

「そういうわけには……。」

「スーツだって汚れてるし……。あれを着ていくんですか?」

壁にかかったスーツの裾には、綺麗に染みが広がっている。

「すぐに手洗いしたから、クリーニングに出せば大丈夫です。

明日は、ちょっと大きいかもしれませんが、僕のスーツを着て行ってください。」

櫻井君はキラッキラの笑顔のまま、おいらとの距離を詰めてくる。

それに比例するように、体を引くおいらを見て、クスッと笑う。

「大野さん……プライベートでは、おいらって言うんですね。」

「うっ……そうだよ。悪いか。」

だんだん開き直って来る。

こんな……大学卒業したての若造に舐められてていいのか?

おいらは社会人15年のおっさんだぞ!

「悪くないです。似合ってます。」

櫻井君が、おいらの顔を覗き込もうとする。

一気にいろんなことが蘇り、カァッと顔が熱くなる。

「ふふふ。そんな顔も見れてラッキー。」

櫻井君はおいらを見ながら、嬉しそうに笑う。

「お、大人をからかうな。」

「からかってなんかないです。僕はいたって真剣です。」

櫻井君は真顔になっておいらを見つめる。

真っ直ぐな視線……。

だから、その瞳からは目が逸らせないって……。

近づいてくる櫻井君の顔に、おいらは動けなくなる。










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