Your Eyes(やま)

Your Eyes ②

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おいらは手帳とにらめっこ。

明後日の19時。

櫻井君と飲みに行く約束の書き込み……。

37と22歳……。

金○先生なら、子供と言ってもおかしくない歳の差。

おいらと飲んで……楽しいかな?

楽しくなかったら……1回で終わるだろう。

それでも、全く面白くないと思われるのもシャクなので、

今年の新人、宇宙人の伊野尾に声を掛ける。

「お~い、伊野尾ぉ!」

「はい!」

「お前たちの世代って、飲みに行って、何の話する?」

「え?お、俺ですか?わ、話題?」

人の話をちゃんと聞いてるのか……。

手ぶり身振りを加え、ガチャガチャしながら話す伊野尾。

今の話のどこに、身振りが必要なんだ?

櫻井君と同じ歳とは思えない……。

「何のって言われても……特にこれと言っては……。」

なのに、振った話の答えは出てこない。

「もう、いい。」

おいらは溜め息をついて、伊野尾から視線を外す。

見た目は女の子かと思うくらい可愛いのに。

なぜかパッとしない……。

「伊野尾、お前、彼女いないだろ?」

「い、いませんけど、何か?」

開き直るように胸を張る。

「それじゃ、できねぇわな?」

「イ、イマドキは彼女作りたくないってやつが多いんです!」

「ほんとかぁ?」

「ほんとですよぉ。彼女にかけるお金があるなら、趣味に使いたいって男が多いんです!」

「まじか。」

「まじっす!」

伊野尾が真剣な目でおいらを見る。

「時代も変わったな?」

「面倒なんですよ。彼女とデートするのも、話を聞くのも。」

おいらは溜め息をついて伊野尾を見る。

これじゃ、一生結婚なんてできないな。

「もういいわ。ありがと。」

伊野尾に背を向け、スケジュール帳に戻る。

「お、大野さんと、の、飲みにいくなら、喜んで……。」

おいらの背中に話しかける伊野尾を無視して、スケジュール帳を睨みつける。

会って、何を話せばいいやら……。

手帳を閉じ、目の前のパソコンに視線を向ける。

櫻井君のあの調子じゃ、仕事の話は抜きって感じだったよな……。

頭の後ろで両手を組み、背中を伸ばして伸びをする。

まぁ、話す話がなければ、おいらが面白くない男だって、バレちゃうだけの話だ。

なんとなく、そうは思われたくない自分に口を尖らす。

仕方ない。

本当のことだ。

おいらはそんなに面白い男じゃない……。

椅子を揺らすと、目の端に戻って行く伊野尾の後ろ姿が映る。

そう言えば……新卒の伊野尾に見られても、ドキッとはしなかった。

やっぱりキラキラした櫻井君だからか?

櫻井君は……モテるだろうな……。

「課長、この稟議書、見てもらっていいですか?OKならそのまま回してください。」

事務の女の子から書類を手渡され、それを目で追う。

「いつまで?」

「今日中です。明日の会議用ですから。」

おいらは慌てて書類を読み始める。

おいらの他に3つもハンコを貰わなくちゃいけない。

役員は帰るのが早い……。

おいらの目は書類に集中し……櫻井君のことは、それっきり考えるのをやめにした。



待ち合わせ5分前にやってきた櫻井君。

二人で、おいら行きつけの飲み屋に向かう。

櫻井君が、おいらが普段行く店で飲みたいと言って……。

キラキラに押され、おいらは本当にいつも行く店に連れて行く。

「ママ、奥、いいかな?」

「ああ、おおのさん、どうぞどうぞ。」

綺麗なママは韓国人。

ここら辺は最近、中国、韓国の人が多い。

奥のカウンター席に腰を下ろす。

櫻井君が隣に座ると、おいらの名前のある焼酎のボトルとウーロン茶が、目の前に置かれる。

「櫻井君は何を飲む?これでいいなら……。」

焼酎のボトルを目で示すと、櫻井君はさわやかに笑ってうなずく。

「じゃ、ママ!グラス2つ!」

「はい~!」

幾つか韓国系のお惣菜を注文し、グラスに焼酎のウーロン茶割を作る。

「あ、僕がやります!」

「いいから、いいから。」

おいらの手からグラスを取ろうとする櫻井君を嫌がって、

櫻井君の分もおいらが作る。

「ま、飲もうか。」

グラスを櫻井君の前に置くと、櫻井君はグラスに向かって小さく会釈し、

両手で大切そうに持ち上げる。

「いただきます。」

嬉しそうにおいらを見つめ、グラスに口を付ける櫻井君。

ぷっくらした唇に氷が当たり、カランと回る。

「うん。美味しい。」

上唇を舐めて、おいらを見る真っ直ぐな瞳。

「んふふ。よかった。韓国の焼酎なんだよ。」

「へぇ~。」

櫻井君が、グラスを目の前に翳し、クルッと回す。

「これが、大野さんがいつも飲む味なんですね……。」

「まぁ、そうだな?」

おいらもチビチビ、グラスに口を付ける。

櫻井君はおいらの目の前で、ただのウーロン茶割を、美味しそうに喉に流し込む。

綺麗な横顔。

上下する喉元。

赤い唇が、より赤くなって……。

おいらは焼酎と一緒に唾も飲む。

やっぱり若さかな……それだけに酔いそうになるよ。

グラスを置いて、おいらを見つめる櫻井君の瞳は……。

やっぱりキラキラしてて、そっと視線を逸らして、グラスを撫でる。

「大野さんは……。」

櫻井君は楽しそうにおいらに語り掛ける。

おいらは隣が眩しくて、カウンターのメニューに目をやりながら、うなずく。










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