「テ・アゲロ」
テ・アゲロ 番外編

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櫻井が声を上げて笑うと、二宮が顔をしかめる。

「話が脱線!このO、結婚を渋ってる?」

「渋ってるかどうかはわからないけど、仕事がしたいならちょうどいいんじゃない?

 結婚相手はいます、でもすぐには結婚できない相手ですっていうのは。」

櫻井も、二宮のパソコン画面に視線を向ける。

「もし仮に、本当に付き合ってるとして、

 結婚となると、どちらかが仕事を辞めなきゃなくなる。」

「そうですね……。いろいろ面倒ですもんね。局が違うと守秘義務とか。

 大丈夫ですって言ってもねぇ?」

「それぞれの局で取材の内容も違うしね。万が一、情報漏えいなんてあったら……。

 誰にも言ってないって言っても、それを会社が信用してくれるかどうか……。

「ですよね。」

二宮が感心したようにうなずく。

「Sが大事な時期なら……わざと撮らせるはないか?」

大野が櫻井と二宮の顔を交互に見る。

「ないでしょう。Sが仕事を投げるなんて、考えづらい。」

二宮は、デスクの上のボールペンを手に取り、クルッと回す。

「Oにしても、仕事がしたいなら、わざとはないか?」

大野が、パソコン画面の中のSを見つめる。

「結婚したいなら、また話は別だけど。」

櫻井が軽く笑う。

「女は結婚したくなる時期があるらしいし。」

「まぁ、そうですね、子供が産める内にってのはあるでしょうねぇ。」

二宮が、またクルッとボールペンを回す。

「俺達にはわかんねぇな?」

大野が笑って二宮の肩を叩く。

「取りあえず、まだまだ結婚はねぇよ。」

「ちょっと待ってください!結婚はなくても付き合ってるって言うんですか!?」

「逆を言えば……。」

櫻井は雑誌を手に取り、目を走らせる。

「この記事から、付き合ってるって確証はどこからも取れない。」

「それじゃ……!」

二宮の目が輝く。

「でも、付き合ってないとも言い切れない。」

大野が意地悪く笑う。

「大野さん!」

二宮に腕を叩かれ、大野が痛そうに腕を擦る。

「いいじゃん。結婚はないんだから。」

「付き合ってるのも嫌なんです!」

「この記事が女の策略なら、これを機に別れるんじゃねぇの?」

二宮が、あ、と小さく声を上げる。

「こんな小賢しいマネする女、俺なら嫌だね。」

大野が、ふんっと腕を組む。

「そうですよね?私も嫌です!」

「わざとじゃなく、撮られちゃったんだとしたら、

 それでも付き合い続けるのは難しいんじゃない?

 それこそ、局が違うんだから。」

櫻井も二宮に向かって優しく笑う。

「そうです、そうです!」

二宮が目を輝かせて、櫻井を見つめる。

「そうですよねぇ。いやぁ、ありがとうございます。」

「と言うことで、ちょっとhoney、借りてくね。」

櫻井は二宮にウィンクして、大野の肩を引き寄せる。

「どうぞどうぞ。今日もどうせ暇ですから。」

二宮は画面のSをじっと見つめ、小さくうなずく。

「ちょ、ちょっと待てよ。いいのかよ!」

大野は肩をゆすって櫻井の腕を退け、二宮に詰め寄る。

「いいですよー、櫻井さんにはいつもお世話になってるし。

 たまにはサービスしないと。」

「サービスって!」

「あ、サービスするのは大野さんでしたね。」

二宮が櫻井と大野を交互に見て、ニヤリと笑う。

「しねぇよ!サービスなんて!」

「次、またいつ助けてもらうかわかんないんだから、

 今の内に貸し、作っといてくださいね。」

「貸しって!」

不満そうな大野をよそに、櫻井がさわやかに笑う。

「ありがとう。できる人間は話が早い。」

櫻井は大野の肩を掴むと、出入り口に向かう。

「ちょ、ちょっと待て!」

「お許しがでましたからね~。さ、行きますよ!」

「行くって、どこへ!」

「そんなの決まってるでしょ……言わせたい?」

櫻井が大野を抱き寄せ、ニッと笑う。

「い、言わなくていい!」

「場所はどこでもいいんですけどね……。なんなら、ここでってのも……そそられる?」

櫻井の楽しそうな顔に、大野が身震いする。

「そ、そそられるか!」

「じゃ、行きますよ。」

「や、やめっ!」

櫻井は、嫌がる大野を無理やりドアの向こうに押しやる。

二宮は、二人の後ろ姿を手を振って見送るり、

ドアが閉まる音と共に、パソコン画面のSの写真を変えていく。

「あ……、Sって櫻井さんに似てる?

 育ちがいいし、イケメンだし……頭もいい?」

二宮は何枚目かの、ドヤ顔で笑うSの写真に見入る。

「ん~、Sの方がカッコいいか。」

ボールペンを置いて、ん?と考える。

「そういや、あの二人もSとO……。

 こっちはなかなか別れそうにはないけど。」

ははっと笑って、雑誌を閉じると、立ち上がる。

「さ、下でチャーハンでも食べますか!」

事務所を出ようとして立ち止まる。

「電話……鳴るかな……?

 ま、いっか。大野さんもいないし……。」

二宮の背中でドアが閉まる。

階段を駆け下りる音と共に、事務所に鳴り響く電話の音。

電話を……取る者は誰もいない。

ただ、パソコン画面のSだけが、ドヤ顔で笑うだけ……。










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