「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【121~140】

ふたりのカタチ (137)

 ←ふたりのカタチ (136) →Love so sweet №75


おいら達はマリナちゃんと一緒にエレベーターに乗る。

「マリナんちには来ないの?」

「ごめんね。今度ね?」

おいらが言うと、マリナちゃんはふくれっ面でショウ君を見上げる。

「マリナちゃんには……なんてったっけ?

 ケンイチ君だっけ?ケンタロウ君だっけ?」

「ケンタ君!」

マリナちゃんが、プリプリした口調でショウ君に噛みつく。

「そう、ケンタ君!ケンタ君がいるんだろう?」

ショウ君がちょっと屈んでマリナちゃんの顔を見る。

「ケンタ君なんて、全然オトメゴコロがわかんないんだもん。」

「乙女……心?」

おいらとショウ君は顔を見合わせて笑う。

「そうだよ!アユミちゃんのシャンプー、いい匂いだね、

 なんてマリナの前で言うんだもん!」

マリナちゃんの階でエレベーターが止まる。

「マリナもプリキュアのシャンプーじゃなくて、ママのシャンプー使うって

 言ったら、ママに怒られたの……。」

マリナちゃんはしゃべりながらエレベーターを降りる。

「ケンタ君のせいだから!」

マリナちゃんの思いっきり怒った顔でエレベーターが閉まった。

閉まった後、おいらとショウ君は顔を見合わせて笑う。

「バズーカだな。しゃべりっぱなし!」

「可愛いねぇ。ケンタ君が大好きなんだ。」

「俺も、サトシ君が大好きだったけど?」

おいらはショウ君を見て笑う。

「今もだけど。」

エレベーターが開く寸前、ショウ君がチュッとおいらの唇に唇を当てる。

「ショ、ショウ君!」

ショウ君は悪戯っ子みたいな顔で笑って、おいらの手を握る。

マリナちゃんに会って、幼稚園の頃に戻った気分?

「さぁ、ちゃっちゃと渡してちゃっちゃと帰ろう!」

ショウ君は楽し気にエレベーターを降りる。

手を繋いだままがちょっと恥ずかしくて、手を離そうとしたら、ぎゅっと掴まれる。

「え……でも恥ずかしくない?」

「全然。」

「ショウ君だって、仕事関係の人に見られたら恥ずかしいでしょ?」

「全く問題ないけど?なんなら、会わせたいくらい。」

ショウ君が勝ち誇ったように笑う。

これが彼女でも、きっと恥ずかしいと思うんだけどなぁ……。

おいらは仕方なく、手を繋いだまま類さんの部屋のチャイムを鳴らす。

前もってメールしておいたから、いると思うんだけど……。

すぐに鍵を開ける音がして、ドアが開く。

いつもの優しい笑顔で類さんが顔を出す。

「いらっしゃい……。あれ?櫻井さんもご一緒ですか?」

「ええ。その節はウチのサトシがお世話になりまして……。」

ショウ君の作った笑顔が……怖い。

「ショ、ショウ君!おいらが悪いんだから……。」

おいらはギュッと繋いだ手を引っ張る。

ああ、チャイム鳴らす前に釘を刺しておけばよかった……。

「いえいえ、こちらこそ。」

類さんも負けずにニコッと笑う。

……怖い……。

さっさと渡して帰ろう……。

「こ、これ、お土産です。類さんのおかげで……京都に行く決心がついたから。」

おいらは持っていた紙袋を渡す。

「ありがとうございます。上がってってください。

 妻がちょっと買い物に行っていて……すぐ帰って来ますから。」

「いえ、今日は帰ります。」

「とてもサトシさんに会いたがってたから……上がってください。」

類さんが体を引いて、おいら達を中へ促す。

ショウ君の顔を見ると、ショウ君も小さく首を振る。

「ああ、俺とサトシさんを少しでも一緒にさせたくないですか?

 自信のないことで……。」

最後の言葉を小さな声で言う類さん。

ショウ君の耳がピクリと動く。

「いえね?サトシと一緒のところを奥さんに見られるのは、

 花沢さんの方が嫌だろうと思いまして。」

「とんでもない。ウチは大歓迎ですよ。

 妻はとてもできた嫁で、小さいことにはこだわりませんから。」

「小さいことだと……?」

「ええ。本当に信頼しあえていれば、わかりますよね?

 あれ?櫻井さんにはわからなかったんですか?」

ああ……類さん……そんなにショウ君を煽らないで……。

せっかく仲直りできたのに……。

ショウ君の機嫌が……。

おいらがショウ君を見上げると、ショウ君の目が三角に変わろうとしてる。

ショウ君の手をギュッと握って、おいらの方に向けようとしてみる。

「ショウ君……。」

「わからないわけないでしょう?」

ショウ君は全くおいらを見てくれない。

ショウ君と類さんが……見つめ合う?

いや、睨み合ってる?

「本当かな?」

類さんがクスッと笑って、おいらの頬に手を添える。

「愛してます。」

おいらを真っすぐに見つめて優しく笑う。

すかさず、後ろから腰を引っぱられ、抱きしめられる。

それと同時に、斜め後ろから伸びた手が類さんの頭を叩く。

「そんなことばっかり言ってるから、みんなに迷惑かけるんでしょ!!」

片目をつぶって頭を押さえる類さんを、

ショウ君並みに目を三角にして、もう一度叩いたのは……。

「奥さん!」

隣の奥さん……類さんの奥さんが、いつの間にかおいらの後ろに立っている。

奥さんは、申し訳なさそうにおいら達を見て、ニコッと笑う。

「ウチのが迷惑かけたみたいで……ごめんなさいね。」

そう言って、おいら達の背中を押す。

おいら達は類さんちの玄関へ押しやられ……。

この流れでいくと……お邪魔することになる?










関連記事
スポンサーサイト



 関連もくじ一覧 ▼ 
総もくじ 3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ 3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ 3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ 3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ 3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ 3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ 3kaku_s_L.png season
総もくじ 3kaku_s_L.png 夏の名前
総もくじ 3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ 3kaku_s_L.png Deepな冒険
総もくじ 3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ 3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ 3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
総もくじ 3kaku_s_L.png 大人の童話
総もくじ  3kaku_s_L.png a Day in Our Life
総もくじ  3kaku_s_L.png Kissからはじめよう
総もくじ  3kaku_s_L.png Step and Go
総もくじ  3kaku_s_L.png 果てない空
総もくじ  3kaku_s_L.png タイムカプセル
総もくじ  3kaku_s_L.png Hello Goodbye
総もくじ  3kaku_s_L.png season
もくじ  3kaku_s_L.png 五里霧中(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png 夏の名前
もくじ  3kaku_s_L.png Troublemaker(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png Crazy Moon(5人)
総もくじ  3kaku_s_L.png Welcome to our party
総もくじ  3kaku_s_L.png Deepな冒険
もくじ  3kaku_s_L.png 花火(やま)
もくじ  3kaku_s_L.png miyabi-night(5人)
もくじ  3kaku_s_L.png ZERO-G
もくじ  3kaku_s_L.png 復活LOVE(やま)
総もくじ  3kaku_s_L.png 三日月
総もくじ  3kaku_s_L.png WONDER-LOVE
総もくじ  3kaku_s_L.png みんなと作ったお話
もくじ  3kaku_s_L.png Believe
もくじ  3kaku_s_L.png コスモス
総もくじ  3kaku_s_L.png 大人の童話
もくじ  3kaku_s_L.png 智君BD
もくじ  3kaku_s_L.png ブログ
もくじ  3kaku_s_L.png ティータイム
【ふたりのカタチ (136)】へ  【Love so sweet №75】へ
  • TB(-)|
  • CO(-) 
  • Edit
  • 【ふたりのカタチ (136)】へ
  • 【Love so sweet №75】へ