「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【121~140】

ふたりのカタチ (135)

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カズはやっぱりマー君にもペットボトルのままお茶を出して。

みんなでお土産の八つ橋を摘まむ。

「おっ、やっぱりうまい!」

「ニッキの、マサキに上げるから。」

カズはマー君の前に白い八つ橋を積んでいく。

「いいよ、食べたい時に食べるから!」

「遠慮するなよぉ……。」

カズは山積みになった八つ橋を見てにっこり笑う。

「お前が好きじゃないからって~。」

「マサキが好きだから、わざわざあげてるのに。」

「嘘着くなよな!」

相変わらずのマー君とカズ。

ご近所になったから、いろいろ楽しいね?

おいらとショウ君は顔を見ながらクスクス笑う。

ひと悶着あった、犬のショウ君とサトシ君は、窓辺で日向ぼっこ。

犬のショウ君のお腹の辺りで丸くなるサトシ君が可愛い。

犬のショウ君の鼻の上にはくっきり2本線がついてるけど。

「ま、新婚旅行みたいなもんかな?」

カズが八つ橋を食べながら、ニタニタする。

「いやいや、旅行はちゃんと行くよ?まとまった休みもらって。」

ショウ君がおいらを見て、にっこり笑う。

「そうだね。ショウ君がこれでひと段落なら……、

 おいらのイベントが終わったら行ける?」

「何があっても有給取るから!」

ショウ君の鼻息が荒くて、カズとマー君が笑う。

「お前ら、こうやって男同士で遊んでたら、彼女もできねぇぞ。」

笑われたお返しのようにショウ君が言う。

「彼女なんていいですよ。めんどくさい。」

カズがペットボトルのお茶をゴクッと飲むと、マー君がニヤニヤ顔でカズを見る。

「そんなこと言って~、知ってるんだかんな~。

 沙良ちゃんと連絡取ってるんだろ?」

「……沙良?あの沙良?」

ショウ君が目をまん丸くしてびっくりする。

沙良ちゃんは、ショウ君の従妹で、田舎で小学校の先生をしてる。

去年、みんなでショウ君の田舎に行った時に初めて合ったんだけど、

真っ直ぐで可愛い女の子。

そうか……あの時から?

「連絡は取ってるけど……そういうんじゃありませんよ。」

カズが言わなくてもいいことをって顔でマー君を睨む。

「じゃあ、どういうんだよ?」

「どういうんでもいいでしょ?」

「俺らの仲で隠し事すんなよな!」

「隠してないでしょ?隠してるんなら、よっぽどマサキの方が……。」

カズが言いかけて、ニヤッと笑う。

「お、俺は隠し事なんかないよ?」

「じゃあ、サトシに言った?新しく入ったバイトの子に迫られたって。」

「バイトの子?」

おいらがマー君を見ると、マー君は慌てたように顔の前で手を振る。

「違う違う!何にもないから!」

「何もないんだ?」

ショウ君も楽しそうにマー君を追い詰める。

「ないよ、ない!何にも!」

「そうですかぁ?胸のでかい、可愛い子だったんでしょ?」

「ええ?そうなの?」

おいらもマー君をガン見する。

「そうだけど……迫られただけで、何にもないから!」

「せっかくなのに、胸も触らなかったのかよ。」

ショウ君が楽しそうに目を輝かせる。

「触ったら、どんな目に合うか……。」

「そうだよ。気の無い子にそういうことは……。」

おいらがマー君を助けようとそう言ったのに、ショウ君が煽る。

「でも、据え膳喰わぬは男の恥!」

え?据え膳?

「あ、ショウ君は据え膳、食べちゃうの?」

おいらがショウ君を見つめると、ショウ君がハッとして、シュンと小さくなる。

「た、食べないよ、食べないけど……昔からそう言われてるから……。」

「ふぅん……ショウ君、食べちゃうんだ……。」

おいらは横目でショウ君を見る。

ショウ君がさらに小さくなる。

「そうだよ。サトシ。ショウちゃんは食べちゃうんだよ、きっと。

 止めるなら早めの方がいいよ。」

マー君は、矛先がショウ君に向かって、逃すものかと後押しし出す。

「そうだね。おいらも今、そう思った!」

「サトシ!絶対そんなことないから!第一、俺にとってサトシは……。」

ショウ君が慌てて弁明を始めると、カズもマー君もおいらも、大きな口を開けて笑った。

「ショウちゃんの顔!」

カズが可笑しそうにお腹を抱える。

「慌てちゃってさ。」

マー君もひゃっひゃっひゃと笑う。

「あ~、笑ったら、なんかちょっとお腹空いたね。俺、チャーハンでも作るよ。」

マー君がキッチンに向かう。

「あ、おいらも手伝う!」

「ここはショウちゃんに手伝ってもらいましょ?

 なんせ、据え膳の男ですから!」

カズがクククと笑う。

「わ、わかったよ。俺が手伝うよ!」

珍しく、ショウ君がキッチンへ向かう。

おいらとカズは顔を見合わせて笑う。

「やらせないとダメですよ。ショウちゃんみたいなのは、亭主関白気取って、

 全然立たないんだから。」

「そんなことないよ?結構手伝ってくれるし……。」

「ほら!手伝うになってる。二人とも働いてるんだから、公平に。

 でないと、サトシがいつかパンクするから。」

「うん。ありがと。」

おいらのことを心配してくれるカズ。

いつでも、どこでもカズはおいらのことを考えてくれる。

優しいカズに、ちょんと頭をくっつける。

カズもおいらの肩をポンポンと叩いてくれる。

「……で、沙良ちゃんとはどんな連絡取ってるの?」

おいらが上目遣いで聞くと、カズがクックと笑う。

「……ゲーム。沙良ちゃん、ゲーマーだから。」

「ゲ、ゲーム?」

「私のことを師匠と呼ぶ。」

カズがフッフッフと笑って、携帯ゲームを始める。

おいらはそれを覗き込みながら、大騒ぎのキッチンと、こんなにうるさいのに、

気持ち良さそうに寝てる犬のショウ君とサトシ君を交互に見て、

ああ、今日も幸せだなって、思わず頬が緩んだ。










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