「ふたりのカタチ」
ふたりのカタチ(やま)【121~140】

ふたりのカタチ (131)

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ショウ君が行っちゃった後、急いでショウ君のキャリーバックを開ける。

だって……、ほら、スーツ、ガビガビになってるから……。

備えあれば憂いなし、のショウ君でよかった!

一泊なのに、替えのスーツ持ってく人なんて、そういないよね?

おかげでなんとかなったけど……。

ガビガビのシャツとスーツを広げて見つめる。

見ていると、昨日の夜のことが蘇って来て……。

おいら……にしては大胆だったよね……?

やばい。

顔が熱くなってきた……。

てか、おいら……。

下を向いて、見てみると、そこが微妙に反応し始めてて……。

ダ、ダメだ。

違うこと考えきゃ。

スーツのガビガビしてるとこを軽く手洗いして、ハンガーに掛ける。

洗濯物もまとめて、洗濯機へ。

その合間にポットでお湯も沸かす。

家事をしていると無心になれる。

何も考えず、やらなきゃいけないことを黙々とこなせる。

最後にお土産をダイニングに置いたところで携帯が鳴る。

見てみると、類さんからで、おいらは急いで携帯を開く。

「もしもし。」

「サトシさん?」

「はい。」

おいらは返事しながらキッチンへ行く。

マグカップを取り出し、台の上に置いて、スプーンも取り出す。

「京都には……行ったんですか?」

「はい……類さんに背中を押してもらったから。」

おいらはクスッと笑って、インスタントのコーヒーを脇に挟んで蓋を開ける。

「そうですか。それはよかった。」

「行って……よかったです。

 今まで、あんまり自分から行動したことなかったから……。」

「行動しなくても、周りが動いてくれてたんでしょ?」

「んふふ。そうみたいです。」

開いた瓶を台に乗せ、そっとコーヒーを掬う。

「それも人徳のなせる業(わざ)。サトシさんの力です。」

「そんなこと……。」

マグカップに入れて、砂糖も少し。

「本当ですよ。サトシさんには見えない力がたくさん備わってる。

 でもそれは、見る人が見たら、わかるから。」

おいらは恥ずかしくて、なんて答えていいかわからない。

類さん、ショウ君に対抗できるくらい、ストレートだから……。

「はぁ……。」

おいらは溜め息みたいな返事をして、ポットからお湯を注ぐ。

立ち上る湯気とコーヒーの香り。

「あ、そうそう、ポスターは順調ですか?いつ頃できあがります?」

「ラフはできてるから、色を入れる前に一度見てもらいたいかな……。」

「そうですね。9月のイベントに合わせて打ち出したいので、

 できるだけ早めにお願いします。」

類さんのテキパキとした口調が、おいらを仕事モードにしていく。

「わかりました。CMも?」

「そうです。全て、9月に合わせてます。」

「映画の公開はいつでしたっけ?」

「12月ですね。9月からはずっとイベント続きです。

 ちょっと櫻井さんには寂しい想いをさせますが……。」

類さんがクスッと笑う。

「これで、大野サトシの名前はさらに広がります。」

「お、おいら、別に広がらなくても……。」

「いえいえ、黙ってたって広がるんです。

 さっきも言ったでしょ?見る人が見たらわかるって。」

「だから、そんなことないって……。」

「どうせ広がるなら、俺の手で、大きく広げさせてください。」

「類さん……。」

「俺は、サトシさんの一番のファンを自負してますから。」

……一番のファンって……。

田村さんも佐々木さんも言ってたような……。

冷蔵庫から牛乳を出して、マグカップに入れる。

今日は少し多めに。

牛乳を入れると冷めるから、おいらにはちょうどいい。

「あ、ポスターは描き上がった順に見てもらってもいいですか?

 幾つも平行しては描けなくて……。」

一つの絵の世界に浸ると、他の絵に移るのに時間がかかる。

一つ一つこなした方が効率がいい。

「構いません。その分、サトシさんと会える時間が増える。」

クスッと笑う声がして、おいらの頭にはショウ君の顔が浮かぶ。

仕事だから……しょうがないんだよ。ショウ君!

「そうだ。もし時間が合えば、夜、食事に一緒に行ってもらえませんか?」

食事……はさすがにまずいよね?

前回が前回だっただけに……。

「それは……。」

「大丈夫。二人っきりってわけじゃありませんから。

 前にも話したことがあると思いますが……。

 俺の憧れの人、あの人にサトシさんを会わせてみたくて。」

「あのポスターの人……?」

「そうです。彼がサトシさんに会ったらどう思うのか……。

 興味ありませんか?」

「え……。」

確かにちょっと興味はある。

あんなポスターを作る人が、どんな人物か……。

でも、行きますとは……言えないよね?

「それじゃ、もし時間が合ったら……。」

「ええ、もちろん。仕事の方が優先です。

 でも、きっといい影響があるんじゃないかと思いますよ。

 サトシさんにとっても。」

類さんは、最後にスケジュールの確認をして電話を切る。

おいらにいい影響……。

ショウ君も、羽ばたいておいでって言ってくれてたけど……。

取りあえずは、仕事、仕事!

おいらはサボった二日分の仕事をしに、アトリエに向かう。

カフェオレのようなコーヒーは、飲みやすくって、リラックスするのにちょうどいい。

「ショウ君……何時頃帰って来るかな……。」

時計を見ると、2時を少し回ったとこ。

さ、仕事しなくっちゃ。










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